パニ子はアニメ制作会社に勤める30歳。
職場の同僚であり、結婚3年目だった夫タツミを突然交通事故で亡くし、悲しみに暮れていました。
夫の意志を引き継いで…
タツミの葬儀を終え、彼との日々を思い出すパニ子。
タツミがプロジェクトを任されていた「タイムゴーゴー」という作品の台本を見つけ、彼の代わりにこのプロジェクトを実現することを心に決めるのでした。
そんな思いを胸に、パニ子は職場復帰の日を迎えます。
会社でも「タイムゴーゴー」のプロジェクトを続行する方針が決まっていたようで、パニ子はタツミの仕事を引き継ぐことに。
しかし、会社にいるとどうしてもタツミを思い出してしまうパニ子。
完全に立ち直れてはいないまま、仕事を再開して1カ月が経ちました。
そんなある日、カズトという新入社員を社長から紹介されます。
パニ子は彼を見て動揺が隠せませんでした。
彼は、タツミと顔がそっくりだったのです……!
「僕は…なんです」新入社員からの衝撃告白!
カズトは、早速仕事に取り掛かります。
仕事をする彼の姿を見ながら、彼はタツミの肉親なのではないかなどと考えを巡らせるパニ子。
そんなことを考えながら1時間ほど経たったとき、カズトのむせび泣く声が聞こえてきました。
心配して声をかけるパニ子に、カズトは衝撃的な告白をします。
「僕、弟なんです……以前ここに勤めていた、パニ子さんのご主人の……」
タツミに弟がいることなど聞いたこともなかったパニ子は動揺しますが、カズトは話を続けました。
カズトは、タツミの父親とその再婚相手の間に生まれた子なのだそう。
彼は、自分にタツミという兄がいることは知っており、偶然タツミのSNSアカウントを見つけました。
そこで、タツミが世界一のアニメ映画を制作するという夢を持っていることを知ります。
カズトは兄とともに働きたいと思い、タツミにダイレクトメッセージを送るのですが、一向に返事は来ません。
諦めきれず会社に電話したところ、タツミが亡くなったことを告げられたのでした。
すべてを知ったパニ子の胸に、兄弟が共にこの会社で働く様子を見られなかった無念がこみ上げてきます。
そして、カズトの熱意を受け止め、世界一のアニメを一緒に作ることを誓いました。
ふたりが選んだ未来
「タイムゴーゴー」の制作に取り組むカズト。
兄の夢を自分が叶えるという想いに突き動かされ、新入社員とは思えない実力を発揮します。
それから1年半が経って「タイムゴーゴー」は完成し、全国公開されました。
公開以降、瞬く間に評判を呼んで大ヒットとなり、ついには海外での公開も決定。
そして、世界でも大ヒットを記録した「タイムゴーゴー」は、「世界スカデミー賞」の長編アニメ部門賞を受賞!
世界一のアニメを作るというタツミの夢が、実現したのです。
アメリカでの授賞式を終えて帰国したパニ子とカズトは、スカデミー賞受賞と、ふたりで決めた「あること」を報告するためにタツミのお墓に向かいます。
なんとふたりは結婚することに決め、それをタツミの前で誓いに来たのです。
そしてもちろん、これからも素晴らしいアニメを作っていくことも誓いました。
パニ子とカズトと、天国にいるタツミ。
離れていても心はつながっていて、3人の幸せな日常は続いていきます。
たとえツライことがあっても、前向きでいることが大切ですね。その先に人生を変える出会いが待っているかもしれないのですから。