夫の恭平と同じくらい稼ぐ妻の依子は、在宅で仕事をしています。
恭平はとてもしっかりしていてやさしい夫。
近くに住む義妹である美咲の仕事が見つかり、ある日突然、依子は恭平から「美咲の息子の面倒を見てほしい」と頼まれます。
育児の練習…!?
依子にとって美咲の子どもは義理の甥。
親戚関係とはいえ、子守りを頼まれた美咲の息子の太一はまだ2歳。
しかも、相談もなしに話が進んでいることに納得がいかない依子は、夫の恭平に直訴するも「美咲の仕事が急に決まって、太一を預ける先がなくて困っている」の一点張り。
恭平は自宅で仕事をしている依子ならと、依子の仕事の都合はお構いなしの様子。
「せっかくの機会なんだから、育児の練習しておけよ」と、半ば強引に子守りを押し付けてくるのでした。
結局、「平日だけ」「夫も休みの日は代わりに見る」という約束を交わし、預け先が決まるまで1カ月間ほど太一の面倒を見ることになりました。
あんたの子は産まない
1カ月後――。
仕事が休みの日は子守りを代わると言っていた恭平でしたが、毎日、しかも太一が熱を出して仕事が進まないときも、恭平は代わりに面倒を見てくれることはありませんでした。
依子はもうひとりで面倒を見ていくことは無理と判断し、太一の母である美咲に連絡をしようとしますが、恭平が必死に食い止め、しまいには「一時的な育児しかしていないくせに甘えんな」と吐き捨てるのでした。
それから1週間後、恭平が朝起きると依子の姿がありません。
依子にメッセージを送ると、「もう子どもは預からない。家を出て行くから」と返信がありました。
「この程度で嫌がるとか、俺らの子ができたときどうすんの?」
「大丈夫。あんたの子は産まないから安心して」
「は……?」
なんと恭平は、「依子はベビーシッターをしていた」「仕事が減っているみたいで小遣い稼ぎをさせてあげたい」などと妹の美咲に嘘を吹き込み、金欲しさに自ら子守りを買って出ていたのです。
ダメ夫との決別
密かに恭平の知らないところで連絡を取り合っていた依子と美咲。
恭平が2人に嘘をついていたことがわかると、依子と協力して恭平の近辺を探りました。
すると、飲み屋で散財したカードローンやホテルで宿泊した際のカード明細、さらにスマホからは見知らぬ女性とのやり取りも見つかります。
「妹からお金を騙し取っていた挙句、子どもを金稼ぎの道具と思っているあんたとは、もう離婚します」
恭平は真っ青になって平謝りするも、「借金しようが浮気しようが、もうどうでもいい。あんたがいかに使えない男で、ダメな父親になるってことがわかったから」と、依子はバッサリと切り捨てたのでした。
その後、恭平との離婚が成立し、義実家とも縁を切られたそう。
一方の依子は、義妹の美咲や太一と今でもたまに会う良好な関係を続けています。
元夫の家族とはいえ、自分にとってかわいい甥や義妹であることには変わらない――。そんな素敵な関係がずっと続いていくといいですね。