式場には義妹夫婦のお祝いのために、煌びやかなドレスに身を包むたくさんのゲストたちが集まっています。
私と娘は結婚式が始まるのを楽しみにしていたのですが、何やら兄嫁が不満そうにしています。
「うちの娘がかわいそう!」
結婚式の会場に入ると、そこには兄嫁とその娘が座っていました。兄嫁の娘は華やかなピンクのドレスを着ていてお姫様のよう! 兄嫁いわく、イタリアから取り寄せたブランドものなのだそう。
しかし、兄嫁の娘はなぜか泣きそうな顔をしています。私の娘を見て「私も着物がいいー!」と大きな声で叫びながら、泣き出してしまいました。
すると兄嫁は一瞬私を睨み、自分の娘をなだめもせず「目立とうとして最低ね! 着物とドレス交換してよ! うちの娘がかわいそうだと思わないの?」と言うのです。
わけがわからず、私はあぜんとしてしまいます。
「いくら自分の子どもがかわいいからといって、この場で着ているものを交換しろなんて……」
交換できるものならどうぞ!
すると、これまで黙って見ているだけだった娘が口を開きました。
「おばさん、着付けできるの? 私がこの着物を脱いだら、誰が◯◯ちゃん(兄嫁の娘)に着物を着せるの?」
着付けができない兄嫁はタジタジ。
「あと私、◯◯ちゃんよりも背が高いから、そのドレスは着られないよ」
「な、なら、あなたは式場のドレスをレンタルしなさいよ!」と、兄嫁も折れずに応戦します。
「それって交換とは言わないよね? 私が式場から借りるドレスのレンタル代は、おばさんが払うの? そのドレスより高くなると思うけど、お金払ってくれる?」
兄嫁の娘のドレスについたままの値札に気づいていた娘。そのドレスがブランドものというのは真っ赤な嘘で、格安で購入したペラペラの安物でした。
見栄っ張り義姉の末路…
ブランドもののドレスと嘘をついて周囲にマウント取りたいだけだった兄嫁に対し、娘は「目立ちたいのは◯◯ちゃんじゃなくて、おばさんでしょ?」と核心を付きます。
何も言い返すことができない兄嫁。
「今日の主役は新郎新婦! おばさんたちは主役じゃないよ!」
ド正論を言う娘に、会場のゲストも拍手喝采!
ちょうどそのとき、兄嫁の夫である私の義兄が遅れて到着しました。
「あれ、まだ結婚式始まってないだろ? なんの拍手だ?」
不思議そうな義兄。一見穏やかそうに見える義兄ですが、怒ると怖いことを知っている私は黙っていることにしました。
しかし兄嫁の娘が事の顛末を義兄に話してしまい、睨みつけられる兄嫁。結婚式のあと、たっぷり絞られたようでした。
◇ ◇ ◇
結婚式の主役はあくまで新郎新婦。ゲストが着飾るのは、お祝いの気持ちを込めたり、その場に華を添えたりするためだと言われています。ゲスト同士で競い合うのはまったくのお門違い! 自分の虚栄心のために着飾るのは、マナー違反とも言えますね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。