結婚当初は義母と同居しており、顔を合わせるたびに「孫、孫、孫……」とプレッシャーをかけられていました。そんな私たちは5年ほど不妊治療を続けましたが、心身の疲労や金銭的な負担もあり、治療を断念。
夫が義母に、私へプレッシャーをかけることをやめるよう言ってくれたことで、それ以降、義母は何も言わなくなりました。
その後、義母とは同居を解消し、心機一転。夫婦2人の生活を大切にしながら、穏やかで幸せな日々を送っています。
緊急搬送され、うつろな義母が…
ある日、義母が倒れて病院に救急搬送されました。かなり危険な状態でしたが、なんとか一命を取り留めた義母。憎まれ口をたたかれて、いびられた相手とはいえ、ベッドで力無くぐったりしている義母の姿を見たときは、さすがにショックで、どこかさびしさも感じました。
その日、私たち夫婦は義母のそばに寄り添うことにしたのですが……。
天井を見つめて、ぼんやりしている義母。すると突然、私の知らない女性の名前を口にしました。夫はなぜか動揺し、「えっ、いや、ちょっとよく分からないな。誰のこと言ってるんだろう?」と過剰に反応。なぜ夫は慌てているのだろう……なんだか引っかかりました。
そこで、その人に会いたいのか、義母に聞いてみた私。すると、「会いたい。私の孫に会いたい……」と言い出したのです。
夫は冷や汗をかきながら、さらに慌てました。子どもを授かれなかった私への嫌みなのか、意識が朦朧としておかしなことを言っているのか……。
「お義母さん、私たちには子どもはいませんよ?」
私が、義母にそう伝えると、夫が急に大きな声で義母に呼びかけました。すると、義母は正気を取り戻したのか、ハッとした表情を見せたのです。それ以降、義母はその人の名前を口に出すことはありませんでした。
しかし、異常なまでにフォローする夫の姿と、動揺する義母を見て、私は明らかに何かがあると確信。浮気を疑った私は、すぐに調査機関に依頼し、夫について調べてもらいました。
真実を追求!病室は一瞬で修羅場に
その後、義母は順調に回復し、退院の目処も立ちましたが、今までのようにひとりで暮らすことは難しいようで、「家族の支えが必要」と医師からの説明を受け、私は考え込んでしまいました。
しかし、夫は「同居するってことでいいよな!」と軽く言います。その言葉にモヤモヤしながら病室へ向かっていると、背後から私たちを呼び止める声が。なんと、私の両親が義母のお見舞いにきてくれたのです。私はこの機会に、思い切って行動に出ることにしました。
私の両親の顔を見て、話し相手ができたと喜ぶ義母。元気になって、おしゃべりがしたくて仕方がなかったのです。義母も元気そうだったので、私はさっそく話を切り出しました。義母が会いたいと言った『孫』のことです。
私が調査機関に調べてもらったことを話すと、その場にいた全員が驚いていました。焦った様子で、私に背を向けた義母。しかし、私は確実な証拠を掴んでいるので、夫も義母も、もう言い逃れることはできません。
実は、夫はずいぶん前から不倫をしていました。5年ほど前、夫が不妊治療をやめようと言い出したときは、ちょうど不倫相手の妊娠が発覚した時期。義母にせっつかれてつらかったですが、私だって子どもはほしかったのです。しかし、子どもを作る努力をしなくなった夫。
当時は、つらい治療と義母からのプレッシャーに苦しむ私のために、治療をやめることを提案してくれたのだと、義母も苦しむ私の姿を見て、孫がほしいと言わなくなったのだと思っていました。
私は、淡々と調査結果を報告していたつもりでしたが、怒りと悲しみがどっと押し寄せてきて、気がついたら涙が……。私の両親も同じだったようで、涙ながらに夫と義母に詰め寄っていました。最終的には、病室に怒号が飛び交い、看護師さんが駆けつける事態に。
裏切りの二重生活の末、夫は…
不妊治療をやめてからは、お互いに趣味のひとり旅を満喫して、私たちらしく楽しい夫婦生活を送っていたと、勝手に思いこんでいた私。しかし夫は、ひとり旅と言って、不倫相手の家に滞在し、子どもまで作って、家族3人で楽しい時間を過ごしていたのです。
それどころか、不倫相手と娘を連れて義母にも頻繁に会いに行っていました。さらに夫は、仲の良い会社の同僚には、私と離婚して、不倫相手と再婚すると話していたそう。
そんな中、義母が倒れたことで、介護問題が浮上。なんと夫は、私との離婚を考え直し、義母の介護を丸投げしようと考えたようで、あまりにひどい仕打ちにあ然としました……。
「うちの娘を何だと思っているんだ!」
私がすべてを話し終えると、周囲の目も気にせず激怒する父は看護師さんに制止され、母はその場で泣き崩れ、病室はとんでもない空気になっていました。
夫の二重生活を暴いた私は、離婚を言い渡し、慰謝料を請求。入院費がかさんだので支払えないと夫は泣きついてきましたが、容赦しませんでした。義母は「ごめんなさい。許して」と懇願してきましたが、何年も息子の不倫と隠し子の存在を黙っていたのです。許すことなどできません。
慰謝料はきっちり請求しました。夫はさらに、自分の不倫相手との子どもの養育費や義母の介護費用も必要となり、経済的に大変だと思いますが、私にはもう関係ありません。
その後、弁護士を通じて協議し、離婚が成立。聞いた話によると夫は、お金を稼ぐために家族と離れて暮らすことになったのだとか。私は慰謝料を使って、マンションを購入しました。優雅なおひとりさま生活を満喫中です。今も私は両親と仲が良く、たまに3人で旅行に行って、穏やかに過ごしていくつもりです。
◇ ◇ ◇
不妊治療に苦しみながら励む妻の姿を、すぐ隣で見ていて、不倫、さらには子どもまで作っていた夫。二重生活とは衝撃でした。ここまでのひどい仕打ちを受けても、取り乱して怒りに任せて行動するのではなく、冷静に対処し、次の生活へ。今を大切にして、ひとりの生活を堂々満喫する姿は、潔く、かっこいいですね。心の傷は、完全に癒えることはないかもしれませんが、穏やかな生活を通して、少しずつ癒していけると良いですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。