出産直後から全開の義両親
出産翌日、朝から義両親が病室に来てくれました。 義母は「初めまして!ばあばが来たわよ〜♪ 」と嬉しそう! 義父も「じいじも有休とってきたぞ〜!」と、初孫誕生のために有休をためていたと張り切り、そんな2人に私はつい笑ってしまいました。
義母も「産後すぐはなにかと大変だから、私たちに甘えてね!」と、全面的にサポートを約束してくれて心強かったです。私は義両親の存在がこんなにもありがたく感じるなんて、思ってもみませんでした。 温かくて頼れる、「理想的なじいじとばあば」そのもの! 初孫の誕生に浮かれる2人に、私の心もどんどん和らいでいきました。そして、義父の嬉しそうな表情や義母の細やかな気配りに、出産直後で疲れ切っていた私も自然と笑顔になっていました。
ただ、このときはまだ、義実家の中に嵐を呼ぶ存在がいることを忘れていたのです——。
義姉の登場で一変!?
そんな幸せムードの中、現れたのが義姉のシズカさん。シズカさんは「赤ちゃん生まれたんだって?見に来てやったわよ〜♪」 と言いながら近づくと、開口一番「ブサイク〜!まるでサルじゃん、ギャハハ!」と爆笑。その言葉にマサルが「姉さん、その言い方なんだよ!」と怒りますが、シズカさんは止まりません。
「美人な私の姪がブサイクだなんて! 取り違えじゃない?托卵とか〜?」とニヤニヤしながら言うのです。するとマサルが「もう出てってくれ!」と病室から追い出してくれました。出産直後のデリケートな時期にこんな言葉を浴びせるなんて信じられません……。義両親も同じく呆れ、場の空気は一気に凍りつきました。実はシズカさん、容姿端麗で小中高と男性からはチヤホヤされる存在でした。その反面、性格は自己中心的で、同性からは嫌われるタイプ。 友だちの彼氏を平気で奪ったり、同時に複数の男性と交際したりと、噂の絶えない人でした。高校卒業後も定職にはつかず、実家を出たり戻ったりを繰り返していたそう。 現在もバイトで食いつなぎ、のらりくらりと暮らすという生活を続けているようでした。
正直、義実家にとっても扱いに困る存在だったのだと思います。いつ帰ってくるかもわからず、突然現れては何かと騒ぎを起こす。けれど家族だからこそ、厄介でも切り捨てきれない……。そんな義両親の葛藤も、少しずつ見えたとき「ある真実」を聞かされたのです……。
義実家での退院祝い、再びの修羅場
私と娘は無事に退院し、しばらくは義実家でお世話になることに。 義両親は私の体調を気遣ってくれながらも、「退院祝いにパーティーをしよう! 」と張り切っていました。
娘のお世話はもちろん、私の好きな料理をたくさん用意してくれて優しさに感動しました。 そんな和やかな空気の中、義母と私が料理の仕上げをしていると、玄関のドアが開き再びシズカさんが現れたのです。シズカさんは「姪っ子の成長を見にきたの! あと、ちょっとお願いがあって〜♪ 」と言いながら私に近づいてきました。そして、私の腕で眠る娘をじっと見て「……ブスのままじゃん!托卵確定じゃん!」とまたもや暴言を吐く始末。マサルと義両親は怒り心頭で「いい加減にしろ! 出ていきなさい! 」と追い詰めます。
しかし、シズカさんは「生活費が足りない」「少し援助して欲しいの♪ 」などと金銭の無心を続け……。ついに限界を迎えた義母が「もう庇いきれない……」と小さくつぶやき、意を決し真実を語り始めたのです——。
「シズカ、お前は……俺たちの実の子じゃない」
衝撃の告白と義姉の過去
実はシズカさんの実の父親は、義父の親友だった人で、母親はシズカさんを産んですぐ他の男性と失踪。義父の親友は病気に伏せってしまい、亡くなってしまったそうなのです。その後、親戚の誰もが引き取りを拒否する中、幼い彼女を不憫に思った義両親が2歳のマサルと一緒に育てることを決めたと言うのです。
衝撃の告白の後、義母は涙ぐみながら「シズカの母親もお金に汚く、迷惑をかける人で……あなたも似てきてしまった」と話します。さらに追い討ちをかけるように、義父が「お前とは養子縁組はしていない。親戚たちから、万が一お前の実の母親が金銭を目的に近づいてきたときのため、法的な関係は避けた方がいいと止められていたんだ。だからお前に遺産も財産も渡す権利はない」と言い放ったのです。
シズカさんは「そんなのおかしい!何ももらえないってこと!? 男とも別れて住む場所もないし……何よりお金がないんだってばぁ!」と叫びます。さらに「カードの支払いとスマホ決済の支払いもヤバい事になってんの!! せめて、最後の親心でそのお金は払ってよ! 肩代わりして! お願い! 」としがみつきます。そんなシズカさんを見て義父は「お前は……最後の最後までそれか」と呆れ顔。泣き叫ぶシズカさんを、義父とマサルが連れ出す形で義実家をあとにしました。
その後、シズカさんは、ボロボロのアパートを借りなんとか生活をしていると聞きました。あんなに美人だと言われていたのに疲れきって見る影もないそうです。
私たち家族は娘のお世話に悪戦苦闘! 義両親の支えもあり、楽しくあたたかな生活を送っています。
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人は誰でも、過去を抱えています。しかし、その過去に甘えたり、誰かを傷つける言い訳にしてはいけません。たとえ“家族”という言葉に守られていても、意図的に人を傷つける行為は、許されるべきではありません。どんなときも「人としての一線」は守りたいですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。