保険未加入の状態で入院生活へ
ある日、1歳の息子が気管支炎を患い、総合病院へ入院することに。検討中の医療保険がありましたが、まだ未加入のままでした。理由は、自治体による“子どもの医療費実質無料”に慣れてしまっていたことと、まさか入院することになるなど思ってもいなかったため、油断していたからです。
個室は満室のため、差額ベッド代無料の大部屋に入院することに。私は「このまま大部屋で済んだら、金銭的には助かるなぁ」とのんきなことを考えていました。
過酷な大部屋生活!
大部屋は、私たちには過酷でした。入院先では、親はベビーベッドでわが子と寝るか、椅子に座って寝るかのどちらかでした。同室の子どもたちも具合が悪いため、昼夜問わず常に誰かの泣き声が聞こえます。また、機械や点滴が外れるたびに部屋にはアラーム音が響き、ゆっくり眠れない状況。
私は、「この過酷な環境では、息子の病気が悪化するのではないか。私も睡眠不足で倒れてしまう……」と思い、個室への移動を希望することに。幸いにもすぐに個室が空いたので、私たちは2日目の夜から個室に移ることができたのです。
快適な個室。でも不安が…
個室は快適でした。親は小さなソファで横になることができ、夜は息子も落ち着いて眠れました。しかし、1日の個室差額ベッド代は8,800円、食事代は1,380円。つまり、入院1日につき約1万円かかります。
当初、入院生活は4日程度と言われていたので、経済的にも問題ないと思っていました。しかし、思った以上に治りは遅く、医師は「数値が良くなれば退院です。もう少し頑張りましょう」と具体的な日数を避けて言うようになったのです。いつ終わるかわからない入院生活で、この金額は恐怖でした。
1日1万円加算されていく入院費。このままではすぐに家賃の金額も追い抜いてしまう……と心配になるばかり。しかし、大部屋に戻ったら息子が安眠できません。私たち夫婦は息子の健康を優先し、個室での入院を継続すると決めたのでした。
幸いにも、入院生活は8日で終わりました。しかし、もし息子の入院生活がもっと続いていたら、金銭的負担はかなり大変だっただろうなと思います。医療費の負担を軽減させる高額療養費制度も、差額ベッド代は原則自己負担で対象外でした。私は、「医療費実質無料に油断せず、医療保険は早めに入っておけばよかったなぁ」と後悔したのでした。
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監修/助産師 松田玲子
イラスト/森田家
著者:長谷川 なぎ
4回の体外受精の末に男女の双子を授かった、2児の母。営業事務やコールセンターのオペレーター、イベントスタッフ、工場ワークや物流会社での肉体労働など、学生時代からさまざまな職種を経験。現在は、多彩なジャンルでライターとして活動中。