実家で豹変した彼の態度
結婚あいさつの日、父が急な仕事で不在になり、母だけが在宅という状況になってしまいました。改めようかと彼に相談したところ、「別にいいよ。さっさと済ませたいし」との返答。
少し引っかかるものを感じましたが、緊張の裏返しだと自分に言い聞かせ、予定どおり実家へ向かい、母に紹介することにしました。
ところが実家に到着した彼は、あいさつもそこそこにズカズカと家に上がり、用意された席にどかっと腰を下ろして、お菓子に手を伸ばし無言で食べ始めたのです。
動揺しながら私が「まずはあいさつを……」とうながすと、「男がしゃべりだすまで、女は黙ってるもんでしょ?」と信じられない一言。
普段の彼とはまったく違う態度に、私は言葉を失いました。
堂々の関白宣言!?
その後も彼の発言はエスカレート。
「嫁をしつけるのは夫の役目」「仕事と家事は完璧に両立してもらう」「子どもが生まれても里帰りはナシ」「育休は最小限にして、母親(私の母)に世話をしに来てもらえばいい」など、理不尽な要求を並べ立てました。
極めつきは「お義母さんならわかってくれますよね?」という発言。母は一瞬の沈黙のあと、「よ〜くわかるよ。あなた、いい人を夫にしてよかったねぇ」と苦笑まじりに返しました。
彼は褒められたと勘違いしたようで、満足げにその日は帰っていきました。
父の逆襲!彼の反応は…
彼が帰ったあと、母はため息まじりに「あれは完全に、釣った魚にエサはやらないタイプだね」と一言。
私が結婚を急ぎすぎたことを反省していると、「お父さんにも話しておいたよ。近いうちに彼に会ってもらおう」と母。
そして次の週末、再び実家を訪れた彼の前には、厳しい表情の父が待ち構えていました。
「前回の君の様子は妻から聞いたよ」と言う父に、母が続けます。
「前はえらそうにふんぞり返ってたけど、今日はおとなしいのね?」
彼はおどおどしながらも、「僕の考え、男同士なら理解してもらえるかと……」と話を切り出しましたが、父は即座に否定。
「まったく理解できん! 娘を“しつける”だ? お前は何様だ!」と一喝。
最後に母が「何をグズグズ言ってるの? まったく情けない男だねぇ!」と追い打ち。彼はしばらく沈黙したのち、「申し訳ありませんでした……」とだけ言い、すごすごと帰っていきました。
慰謝料請求!? まさかの金目当て
これで破談、と思いきや、しばらくして彼から「婚約破棄だから慰謝料を払え」と連絡が。驚きつつも、対応は万全でした。というのも、私の父は弁護士なのです。
詳しく調べると、彼はすでに仕事を辞めており、私の収入をあてにして結婚を申し出たことが判明。母にも育児要員として働かせようと考えていたようで、まさに“ラクして暮らすための結婚”でした。
大きなショックではありましたが、結婚前に気づけて本当によかったです。家族が冷静に見抜いてくれたことで、私は不幸な結婚を回避することができました。
「失敗から学ぶこともある」。今ではこの出来事を、そう前向きにとらえています。次こそ、心から信頼できる人と出会いたいと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。