嫌みとマウント…そしてなぜかマネされる私
「ところで、何階にお住まいなんですか?」と聞かれ、私は「5階です」と答えました。するとAさんは、「え~5階ってかわいそう。やっぱり最上階じゃないとね~」と笑いながら言ってきたのです。
以前から顔を合わせることはあったものの、こんなふうに話しかけられたのは初めてで、その物言いに私は少し警戒心を持ちました。
その後、同じマンションに住む他のママたちが集まり、私が雑貨屋で買ったノーブランドのバッグを「かわいい」と褒めてくれました。するとAさんが遠くから無言でこちらを見つめていて、その視線がちょっと怖く感じました。
そして夕方、またバス停で会ったAさんが、なんと私とまったく同じバッグを持っていたのです。
「びっくりしちゃった!これ、私がいつも使ってるバッグの10分の1くらいの値段だったの。プチプラが似合うあなたが羨ましいわ~」と、笑いながらもどこか嫌みな言い方をされ、私は何とも言えない気持ちになりました。
服や自転車、子どもの習い事まで一緒!?
次の日の朝、バス停で会うと、Aさんが「その服、どこで買ったの?」と聞いてきました。私は特に気にせず、近所の量販店だと答えると、「量販店で買い物するなんて、ほんと庶民って感じよね~」とニヤニヤ。
ところが、迎えの時間にまたバス停で会うと、Aさんが私とまったく同じ服を着ていたのです!
「この服、あまりにも安いから、使い捨てかと思っちゃったわ~」と、またも嫌みを言ってきて……。
バッグ、服、自転車、果ては娘の習い事まで、どんどん私の生活スタイルをマネしてくるのに、常に上から目線でマウントを取ってくるAさんに、私は次第に不気味さすら感じるようになっていきました。
冗談のつもりが…予想外の展開へ
あまりにも気になるので、私は夫に相談しました。すると夫は苦笑いしながら、「じゃあ、試しに“タワマン買うか検討してる”って言ってみたら? さすがにそこまではマネしないでしょ」と言ったのです。
私も「さすがにそこまでしないよね〜」と笑って、その数日後、バス停でAさんに「いま駅近のタワマンを見に行ってるの。◯階の部屋を見る予定なんだけど、気に入れば引っ越すかも」と、冗談半分で話してみました。
するとAさんは鼻で笑うように、「うちはすでに検討してたの。やっぱり住むならタワマンよね~」と、またも上から目線。まるで私の話を先取りしていたかのような言いぶりに、私は内心「また始まった……」とうんざりしてしまいました。
それからしばらくして、Aさんがうれしそうに「駅前のタワマンに引っ越すことになったの! あなたより1つ上の階だけど♡ やっぱり少しでも高層階じゃないとね〜」と報告してきたのです。
「……えっ?」と私は絶句。
まさか本当に買うなんて…!
慌てて、「うちは見に行ったけど結局やめたの。私たちにはちょっと合わなくて」と伝えると、「は!? どういうことよ!」とAさんは明らかに動揺しているようでした。
帰宅し夫に話すと、「マジで? 本当に買ったの?」と夫も驚愕。
「執着がすごすぎる……」と、夫婦でただただ呆然とするしかありませんでした。
引っ越し後、Aさんはタワマン生活を始めましたが、どうやらローンの返済が厳しくなったようで、以前のようなブランドざんまいの生活は控えるように。娘さんの習い事もやめてしまい、Aさんとの関係は自然と疎遠になっていきました。
私たちはというと、地に足のついた暮らしを大事にしながら、身の丈に合ったマイホームを購入。家族で過ごす時間が増え、何気ない日常の中に幸せを感じるようになりました。
見栄や競争ではなく、自分にとって本当に大切なものを見極めて選ぶこと。その大切さを、改めて実感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。