ママ友の告白で知った、夫の裏切り
ある日、ママ友のA美から突然電話がかかってきました。A美は同じ幼稚園に子どもを通わせているママ友で、私と同い年のシングルマザーです。以前から何度か子ども同士を遊ばせたり、育児の相談をし合うような関係でした。
電話越しのA美は、少し探るような口調でこう切り出しました。
「ねえ、ちょっと聞きづらいんだけど……離婚とか考えたことある?」
唐突な質問に戸惑いながらも、「全然ないけど……なんで?」と答えると、彼女から信じられない言葉が続きました。
「私、あなたの旦那さんと付き合ってるの」
頭が真っ白になりました。そんなまさか……、突然何を言い出すの?
意味がわからず「冗談はやめてよ」と返すと、「本当なの。私たち、本気なんだ」と言い放つママ友。
「お、おかしなこと言わないで! 忙しいから、切るね」
私は動揺して、A美からの電話を一方的に切ってしまいました。
混乱しつつも、夫の口から真実を聞かなければと思い、夜に帰宅した夫に直接問いただしました。すると夫は、明らかに動揺した様子で言葉を濁すばかり。それを見て私は、しっかりと話し合いの場を設ける必要があると感じました。
翌日、夫に仕事を休ませ、子どもたちが幼稚園に行っている時間にA美を自宅に呼び出して、3人で話し合うことにしたのです。
不倫カップルと話し合い…離婚へ
最初は誰も口を開かず、重い沈黙が流れました。私は静かに切り出しました。
「本当のことを話して。2人は不倫関係なの?」
すると、夫は小さくうなずきながら、「ごめん」とだけ一言。そして、視線をそらしたまま、「自分からちゃんと話さなきゃと思ってたけど……言い出せなかった。離婚してくれ」と続けました。
A美は少し戸惑ったような顔をしながらも、「私が悪いのはわかってる。でも、本気なんです」と口を開きました。
その言葉に私は内心で怒りを抑えつつ、「本気なら、責任を取ってもらうよ」とだけ告げました。そこから、冷静に離婚の意思を伝え、子どもたちの親権について話を進めました。
「子どもたちのことは、私が育てる。異論はある?」
夫はしばらく黙った後、「……あの子たちにとっては、それが一番だと思う」と絞り出すように答えました。
A美は「もちろん親権は譲るし、私はこれから彼と一緒にやり直すつもり」と夢見がちに語り始めます。
私はその場では感情を表に出さず、「後日、弁護士を通して正式に手続きする」とだけ伝え、2人を帰しました。
その直後、私は荷物をまとめ、双子を迎えに行った足でそのまま実家へ。両親にはすぐに事情を説明しましたが、驚きつつも私の判断を尊重してくれ、「今はゆっくり休みなさい」と受け入れてくれました。温かく迎えてくれた実家で、久しぶりに気持ちを落ち着けることができました。
金に目が眩んだママ友の誤算
離婚が成立して数週間後、突然A美が私の実家を訪ねてきました。よく顔を出せるなと思いつつも、玄関先で「ちょっと話がある」と言われ、私はリビングに通しました。
開口一番、A美は不満げにこう言いました。
「ねえ、本当に彼の年収って2千万円なの?」
私は驚きました。「そんなはずないでしょ。彼の年収は大体500万円ちょっとじゃない?」と返すと、A美は一瞬呆然とした顔をしてから、顔色を変えてまくし立てました。
「うそ……彼は、2千万円って言ってたわ! あなたたち家族、いい暮らしをしてたじゃない!」
どうやら夫は、私と暮らしていたときの生活レベルを“自分の稼ぎ”だと思わせていたようです。実際には、私の収入が家計の多くを支えていました。
A美がそれを知らずに夢を膨らませていたことにも驚きましたが、夫がそこまで見栄を張っていたことにもあきれました。
「私、お金のために彼と一緒になったわけじゃないけど……こんなの、話が違う!」とうろたえるA美。
もともと浪費癖があり、自分の給与の多くをブランド品や趣味に使っていた元夫。そのためわが家は貯金も多くはありませんでしたが、傍から見ると裕福そうに見えたのかもしれません。
さらに、今回の不倫による慰謝料に、養育費の支払いも重くのしかかり、2人はまったく余裕のない暮らしをしているそう。
夫はA美に対し、「今は貯金ないけど、稼ぎはあるから問題ない!」と大口を叩いていたようですが、現実は甘くありません。A美は青ざめた顔をして、帰っていったのでした。
一方、私は実家のサポートを受けながら、在宅ワークを続け、子どもたちと穏やかな日々を送っています。
欲や見栄にとらわれてしまうと、大切なものを簡単に失ってしまう。今回の一件でそれを痛感したのは、きっとあの2人でしょう。私はこれからも、子どもたちの笑顔を守るために、まっすぐに歩んでいきたいと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。