パニ子は27歳。父親の会社で、社長秘書をしています。会社の業績はそれなりに良く順調な経営でしたが、あるときから急に取引先から契約を次々打ち切られ、倒産寸前まで追い込まれてしまいます。パニ子の毎日は苦労の連続……。そんなとき、家業を助けるための政略結婚が持ちかけられてーー。
家族のために決めた結婚
今日も会社の経営に頭を悩ませているパニ子。ウザがらみしてくる同級生・アヤミの嫌味も、耳に入りません。高校時代からソリが合わず、何かにつけて対抗してくるアヤミは、パニ子が苦しんでいるのが何よりも楽しいようです。
そんなとき、パニ子に政略結婚の話が持ちあがりました。相手は超有名な大手企業パニコレグループの御曹司・ツヨシ。冷酷な性格で、最近では気に食わない部下を退社に追い込んだと噂されています。
ツヨシはお見合いの席でもにこりともせず、終始無愛想。パニ子は夫婦としてやっていけるのか不安になりましたが、今回の結婚が決まれば、パニコレグループがパニ子の父親の会社を助けてくれると聞いたら答えはひとつしかありません。大事に育ててくれた両親に恩返しをしようと思い、結婚を決意しました。
結婚式でも相変わらずツヨシは無表情で「この結婚はお互いの家のためだ」 と一言。愛のない生活の始まりかと、このときは思っていました。
愛のない生活を始めたはずが…
しかし新婚生活をスタートさせると、ツヨシは次第にパニ子に心を許し始めます。日に日に夫婦として心の距離が近づいた2人。ついにパニ子は、ツヨシが無愛想にしていた理由を知ります。
これまで出会ってきた人はみんな、大企業の御曹司だとわかると、お金や地位を目当てに近寄ってきたそう。媚びたり陰口をたたいたりする人も多かったと言います。そんな話を「もう慣れたからどうでもいい」と、ツヨシはいじけたように話すのです。
それを聞いて、自分の耳に入ってきた噂は誤りだと気づいたパニ子。本当は不器用で思いやりのあるツヨシを愛しく思うようになります。それからというもの、2人の仲は急速に深まっていきました。
夫の嘘に気づいて…
しかし幸せな日々は長くは続きません。ある日、パニ子はツヨシが嘘をついてアヤミに会いに行っていることが発覚……。パニ子は泣き崩れてしまいました。
しかし後日、パニ子は意外な事実を聞かされます。
なんと、パニ子の父親の会社が倒産に寸前まで追い込まれたのは、アヤミが嘘を流したせいでした。それにいち早く気づいたツヨシは、仕返しをするタイミングを見計らっていました。
「あなたと結婚できて良かった」
チャンスは早々にやってきます。アヤミはいつもの嫌がらせをしようと、ツヨシに言い寄ってきたのです。それをツヨシが逆手にとり、アヤミから自白を引き出しました。その録音データを取引を止めた企業に送ったようで、パニ子の父の会社は信頼を回復することができたのです。
ツヨシと付き合っていると疑いもしないアヤミでしたが、ツヨシの罠だったと知り憤慨します。もっと嫌がらせをしてやろうと奔走しますが、パニ子への悪質な嫌がらせをしたことはすでに広まっています。もうアヤミを相手にする人は誰ひとりいないのでした。
愛のない結婚をしたはずのパニ子でしたが、ツトムの賢く勇敢な行動にますます心惹かれます。すべてを諦めていたツトムにとっても同様で、いつしかパニ子を守りたいと思うようになっていたのです。
噂を鵜呑みにすると、物事の本質は見えなくなってしまいます。自分の目で見て、肌で感じることが大切なのですね。