32歳のパニ子は夫・隆夫との間に、待望の第1子妊娠中。最近、41階建てのタワマンの3階に引っ越してきました。しかし隆夫は3階でも青ざめるほど、極度の高所恐怖症なのです。
ある日、パニ子がエレベーターに乗ると、とんでもない住人と出会ってしまいました……。
高層階の住人との出会い
エレベーターの中で、「あれ、見慣れない顔だけど、新しい入居者さんかしら?」と声をかけられたパニ子。彼女は41階に住む米田と自己紹介してきました。
パニ子が3階に住んでいることを伝えると、「見るからに貧相な匂いが漂っているわねぇ」「高層階の人間がエレベーターを頻繁に使うから、あなたは階段を使って」と言ってきたのです。
パニ子が妊娠中だからエレベーターを使いたいと言っても、「低層階の連中は目障りなの!」と言ってくる始末。
タワマンを牛耳る女
パニ子が隆夫に相談すると、「そんなの絶対におかしいよ。俺は高所恐怖症だから無理だけど、管理費は払っているからパニ子が41階にある展望ラウンジやジムも使用する権利はある」と憤慨。夫婦で週末に開かれるマンションの集会に参加することにしました。
しかし、そこで出会った9階の住人から、タワマンには上層階の人が作った独自のルールがあることを知らされました。「9階以下の住民はエレベーターを使用できない」「集会のとき、低層階の住民は立ったまま話を聞く」という謎のルールがあるそう。このタワマンをコントロールしているのは米田で、他の住民たちはルールに従うしかない状況でした。
迷惑住民の部屋に貼られた張り紙
腹が立ったパニ子は、タワマンの規約を確認してオーナーに報告。オーナーは勝手なルールを作られていることに驚き、パニ子と一緒に米田の玄関に張り紙を貼りに行きました。
ちょうど家に帰ってきた米田は大激怒! その張り紙には「売却済」と書かれていたのです。
「この人、パニ子さんの夫でしょ? 売却済なんて張り紙を人の家に貼るなんて信じられない!」と騒ぎ始めました。
実は、パニ子の夫とタワマンのオーナーは双子の兄弟。弟夫妻からの話を聞いて、オーナーは迅速に対応してくれました。
低所得者だと思っていたのに……
オーナーは「弟は僕なんかよりも高所得なのに、かなりの高所恐怖症で3階に住んでいるんだ」「そんなことより、米田さんのせいでここ数年、退去者が増えて困ってるんです。これ以上、あなたをここに住まわせておけないと判断しました。ご主人にもお話させてもらって、了承を取れましたので」と説明。
米田は、パニ子の夫が高所得者だったことに驚き、夫に今回のトラブルを知られたことに意気消沈。それから1週間もしない間に米田は夫に怒られながら引っ越していきました。
取り戻した平和な日常
米田が退去してからは、またマンションに平和な日常が戻ってきました。それから数カ月後、パニ子は無事元気な女の子を出産。運動のために階段を使うときもあれば、必要なときにはエレベーターを使い、快適なタワマン暮らしを楽しんでいます。
人を住む場所で判断するのは大間違い。どんな人にも平等に接することが、人間関係を豊かにする秘訣かもしれませんね。