新婚旅行の帰りに待っていた「最悪のサプライズ」
新婚旅行からの帰路、飛行機の中で私たちは明日からの新生活について語り合っていました。夫は「お小遣いくらいは稼いでくれたら助かるけど、のんびりやればいいよ」と笑顔。どうやら私の仕事を趣味の延長程度に考えているようでした。私の仕事に対する理解の浅さに少しモヤモヤしましたが、そのときは「私を養おうとしてくれている頼もしさ」だと好意的に解釈していました。
空港に到着すると、夫は「実家にお土産を渡しに行こう」と言い出しました。明後日には新居への引っ越しも控えていたため、私は早く帰りたかったのですが、すでに連絡済みだと言われて断れませんでした。
しかし、義実家に到着するなり、義母が満面の笑みでこう言ったのです。
「やっと一緒に住めるわね〜! 荷物はもう部屋に運んでおいたから!」 横で義父も「サプラ〜イズ!」と笑っています。
私は耳を疑いました。慌てて夫を問い詰めると、「新居? ああ、あのマンションなら最初から契約してないよ。言ったら反対しただろ?」と悪びれる様子もありません。 なんと、夫は「手続きは俺がやっておくから」と言って私を安心させ、実際には契約などせず、裏で実家で夫の両親と同居する手はずを整えていたのです。
「嫌なら出て行け」豹変した夫
あまりに勝手な振る舞いに、私が猛抗議したのは言うまでもありません。すると、それまでやさしかった夫が急に豹変し、大声を張り上げました。
「うるさい! 嫌なら出て行け! 一家の長は俺だぞ!」 まさかの逆ギレでした。結婚した途端にモラハラ的な本性を現した夫に、一瞬「離婚」の二文字が頭をよぎりました。
しかし、まだ結婚したばかり。「新婚早々、離婚するわけにはいかない」という思いもあり、すぐには決断できませんでした。さらに、これまで住んでいた家は解約手続きをしてしまったので、住む家がなくなるのは事実……。
強引だけど、義父母は悪い人ではないと思っていたので、「今回だけは目をつぶろう」と、苦渋の決断で同居を了承することに。
その夜、私は改めて夫と二人で話し合いました。そこで、家事分担やプライバシーに関するルールを作成し、「あなたから義父母にしっかり共有して、徹底してもらって。もし守れなかったら即離婚だから」と突きつけました。私の覚悟の証として、お守り代わりに離婚届への記入も求めました。
夫は「はあ? 離婚して困るのはお前の方だろ?」と鼻で笑いました。
「まぁいいけど。ただの紙切れだし、それで気が済むなら書いてやるよ」
彼は私が本気で離婚届を出せるとは微塵も思っていない様子。
「稼ぎのないお前が、俺から離れられるわけがない」と高をくくり、余裕の態度でサインに応じたのです。
「稼いでないくせに」と見下される日々
しかし、そんな約束はすぐに破られ、私の淡い期待も裏切られました。あんなに歓迎してくれた義父母ですが、本性は「嫁を家政婦にしてラクをしよう」としていただけ。
義父母は「家政婦代わりの嫁が来たから、これからは遊んで暮らせる」と家事をすべて私に丸投げして、二人揃って遊び歩くようになったのです。
在宅の仕事とはいえ、一気に増えた家事に追われて仕事の時間が削られていきました。
限界を感じ、義父母と夫に気持ちをぶつけた私。
「家事の負担は全部私に押し付けて、同居のルールが守られていません! このままなら同居は解消するし、約束通り離婚も考えます!」
そう伝えると、夫は鼻で笑ってこう言い放ちました。
「稼いでいない奴が家事をするのは当たり前だろ? お前の稼ぎじゃ一人で暮らすことなんてできないくせに、偉そうな口をきくな」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かがプツンと切れました。
見下していた妻の「本当の収入」
もう黙ってはいられません。私は無言で自分の通帳を持ち出し、夫と義両親の前に突き付けました。
「私の収入、あなたの倍以上あると思うけど……。一人で暮らせないのはどっち?」
記帳された数字を見た夫たちは、みるみるうちに顔面蒼白になり、言葉を失っていました。
実は、交際を始めたころの私はまだ駆け出しで、収入も少なかったのです。夫はそのころのイメージのまま、「どうせ稼げていない」と思い込んでいたのでしょう。
本来なら、新居での生活が始まったらお互いの収入を改めて開示して、二人で家計管理をしていくつもりでした。しかし、夫が勝手な行動をしたせいで、その話し合いをする前に離婚することになってしまったのです。
慌てて態度を変え、機嫌をとろうとしてくる夫と義父母。しかし、一度失った信用は戻りませんし、私を見下した発言は消えません。
「約束通り、これ提出してくるから」
私はその足で、以前サインさせておいた離婚届を役所に提出しました。わずか1カ月足らずの結婚生活でした。
その後、元夫からは「不意打ちみたいなことをするな」と非難されましたが、最初に「相談もなく義父母と同居」という不意打ちをしてきたのは彼のほうです。そんなことを言われる筋合いはありません。 最愛の夫だと思っていた人の最低な本性を、傷が浅いうちに知ることができて本当によかった。今ではそう思っています。
夫婦にとって大切なのは信頼関係です。稼ぎや立場でマウントを取り、パートナーの意見を尊重できない相手とは、早めに見切りをつけて正解でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。