突然始まった義母との同居生活
結婚当初は幸せな毎日でしたが、すぐに夫の金遣いの荒さが目立つようになりました。
毎月のようにスマホゲームに課金し、生活費が足りなくなることも。私は家計の見直しを提案し、何度も話し合いをしましたが、夫は聞く耳を持たず、喧嘩になることもしばしばでした。
それでも私は、「離婚はしたくない」「なんとかこの結婚生活を守りたい」と思っていました。
その気持ちを夫にも何度か伝えてしまったことで、きっと彼は「妻からは離婚できない」と高をくくっていたのだと思います。
そんなある日、夫が「来月から母さん、うちに住むから」と突然言ってきました。聞けば義母は浪費家で、亡き義父の遺産や貯金を使い果たしてしまったそうで、住む場所を失ったとのこと。
私は援助だけにとどめたいと提案しましたが、夫は「母さんに金だけ渡しても無駄。食費は払うって言ってるし、いいだろ?」と取り合わず、一方的に同居が決まりました。
義母の“マイルール”に振り回される日々
同居初日の朝5時、義母にたたき起こされ、「朝食が用意されてないなんてありえない!」と怒鳴られました。
「私は味噌汁と卵焼きと焼き魚って決めてるの! 5時に出して!」と“マイルール”を押しつけてきたのです。
私が仕事もあるから無理だと伝えても、「嫁なんだから、姑の世話をするのは当たり前でしょう?」と聞く耳を持ちません。洗濯や掃除にまで文句をつけてくる始末で、私は精神的に追い詰められていきました。
夫に相談しても、「仲良くなりたいなら、もっとお前が頑張らないと」と、私を責めるだけ。
義母との生活がつらくて、何度も「出て行ってほしい」「離婚になってもいい」と言いかけました。でも以前、夫に「私は絶対に離婚したくない」と何度も伝えてしまっていた私は、自分の言葉に縛られて、もう後戻りできないような気がしていたのです。
「離婚するくらいなら私が我慢すればいい」――そう思い込んでいた私は、夫と義母にはっきりと意見できず、2人は完全に私を見下していたように感じます。
クッション事件と夫の裏切り
ある日、義母が「お菓子を切らすなって言ったでしょ!」と怒鳴りながら部屋に入ってきて、私にクッションを投げつけてきました。
バランスを崩して倒れた私を見て、夫は「母さんのお願いくらい聞いてやれよ」と言っただけ。まったくかばってくれませんでした。
夫と2人きりになったときに「さすがに物を投げつけるのはひどいと思う。お義母さんのワガママがどんどんエスカレートしているし、もう一緒に住むのはしんどい……」と打ち明けました。
すると夫は「お前が気が利かないから、母さんもイライラするんだろ? 母さんを悪く言うなら離婚だ」と、記入済みの離婚届を見せてきたのです。
私を脅して従わせようとしたその態度に、私は一気に気持ちが冷めました。
指輪事件と決定的な亀裂
数日後、義母が「大切にしている指輪がなくなった! 高価なものなのに!」と騒ぎ出し、私を犯人扱い。
「あなたが盗ったんでしょ!」と責め、夫まで「家族でもそれはダメだろ。早く返しなよ」と私を疑ってきたのです。
私は必死で家の中を探し、洗濯機の下から指輪を見つけましたが、義母は謝りもせず、
「なんで掃除のときに気づかないのよ!」
「どさくさに紛れて自分のものにしようとしたんでしょ!」
とさらに責めてきました。
私が反論すると、夫は「母さんを悪者にするなんて最低だな! 離婚になってもいいのか?」と怒鳴り、
「まぁ、お前が誠心誠意謝れば、離婚はやめてやってもいいけど?」と信じられない言葉を口にしたのです。
「じゃあ、離婚します」妻の逆転の一言
私は静かに言いました。
「本当? じゃあ、離婚するので、2人とも出て行ってください」
以前夫が用意していた離婚届に、私も署名を済ませ、目の前に突き出しました。
夫と義母はぽかんとした顔をしていますが、私は話を続けます。
「この家は私の名義です。父が私にくれたもの。あなたも知ってたよね?」
慌てた夫は「いや、そうだけど……離婚なんて冗談だし……」としどろもどろ。
私は冷静に言いました。
「人として尊重してくれないような夫や義母と、これから先も一緒に生活していくなんて考えられないの。今は離婚することしか考えてないよ」
夫の焦りと義母の逆ギレ
「は? 本気で離婚する気なのかよ? お前、“離婚だけはしたくない”って言ってたじゃん!」
焦る夫に、「その言葉に甘えて、私を見下してきたんだよね」と言い返す私。
すると横から、義母が声を荒らげました。
「この家は夫婦の家でしょ!? そんな勝手なこと、通らないわよ!」
私は淡々と返します。
「結婚前に父が私にくれた家なので、共有財産ではありません。すでに弁護士に相談していますので、早く出ていってくださいね」
義母は青ざめ、「弁護士って……。ご近所や親族に知られたらどうするのよ……!」とうろたえます。夫も何も言い返せず、ついに2人は家を出ていくことになりました。
その後、無事に離婚が成立。私はようやく、自分の人生を自分の手に取り戻すことができたのです。
誰かに見下され、利用され続ける関係の中では、自分らしさを守ることはできません。
「離婚したくない」という気持ちは本音でも、それを盾にされて尊厳を踏みにじられるなら、一歩踏み出す勇気が必要なのだと実感しました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。