こんにちは。助産院ばぶばぶ院長HISAKOです。今日は「授乳中の抱っこ」ついてお話しします。
自分でミルクを飲んでくれればラク?
「哺乳瓶を渡しておけば、自分で飲んでくれるようになったので、その間に家事をしてしまうんです」ミルク育児をしているママから、しばしばそのような話を聞きます。そうですね、たしかに乳児期も後半に差し掛かると、赤ちゃんは両手で哺乳瓶を持って自分でミルクを飲めるようになります。
そして育児用品売り場では、哺乳瓶を固定して赤ちゃんが自力でミルクを飲める補助グッズも並んでいます。ママは毎日赤ちゃんのお世話だけしていればいいわけではなく、食事の準備や洗濯、掃除などでとっても忙しい。だから赤ちゃんが自分でミルクを飲んでくれたらどんなに楽でしょう。気持ちはわかります。
赤ちゃんは授乳によって安心や安全を感じる
おっぱいはママのカラダの前面にくっついているので、母乳育児の場合、授乳時には自然に赤ちゃんを胸に「抱っこ」することになりますよね。赤ちゃんがおっぱいを求めると、ママはその要求に応じて抱っこをし、おっぱいを含ませます。赤ちゃんも小さなおててでおっぱいを抱え込むようにするので、お互いが抱きしめ合うような形で「授乳」がおこなわれます。
そして温かくてほんのり甘い母乳が与えられ、赤ちゃんは満腹に、そしてママも張っていた胸がスッキリして快適になります。こうして哺乳類は、親子の絆を結んでいくのですね。
赤ちゃんが抱っこをしてもらっておっぱいを飲むというのはただ体重を増やすだけの栄養摂取ではなく、肌と肌との触れ合いを通して安心や安全を感じ、自分が大切な存在だと実感し、それがいつしか他人を信頼できるようになるという「人と人との円滑なコミュニケーション能力」の基礎をつくるのです。だから、ミルクも母乳と同じように、ひとりで飲ませるようなことはしないで、必ずママが胸に抱いて飲ませてあげてほしいと思います。
心地いい授乳タイムをすごそう
母乳・ミルクどちらも赤ちゃんの体を成長発育させるための栄養素です。そして「抱っこによる哺乳」は母と子の絆を結ぶ「心」への栄養素だと思います。
しっかりと抱きしめて「おいしいね〜」目と目を合わせ、やさしく声をかけてあげると赤ちゃんはママの愛情をしっかりと受け止めます。お互いが抱きしめられることによって心地いい授乳タイムになります。
赤ちゃんは例外なく抱っこが大好きです! だから、ミルク育児でも哺乳瓶を使うときには、やさしく抱っこをして、授乳してあげてくださいね。
総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門助産院を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2016年に11人目を出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。