咲子は36歳の専業主婦。11歳になる娘・パニ子が通っている小学校のPTA役員をやっています。パニ子が仲良くしている花音ちゃんはとてもいい子なのですが、ママに問題があり……。
最強クレクレママが登場
今日はPTAの集まりがある日。娘のパニ子もその事を知っています。
「放課後に花音ちゃんと校庭で遊んでるから、終わったら声をかけて」と言ってきました。花音ちゃんと遊ぶのはまったく問題ないのですが、花音ちゃんの母親に問題があり……。
PTAの会合が終わって校庭へ行くと、花音ちゃんのママ・彩花が駆け寄って来ました。なんだか嫌な予感……。「パニ子ちゃんのママ、そのスカーフ素敵ね〜!ちょっと貸してくれない?」と挨拶もそこそこにクレクレ攻撃。そう、彩花は学校の誰もが恐る、最強のクレクレママなんです。
「ちょっと貸して」が口グセで、貸したものが戻ってくることはほぼありません。戻ってきたとしても壊れていたりーー。学校に相談もしていますが、彩花は学校でも有名なモンペなので、先生たちも対応に苦慮しているようです。
例えば授業中、娘の花音ちゃんがクラスで優遇されていないと感じると、すぐに学校に乗り込んできたり。去年は、娘を学芸会の主役にさせろとゴリ押し。彩花の被害にあった人の中には、PTA活動や授業参観など学校に行きたくないと言い出している人もいるのだとか。
ある人物のせいでバザーが中止に!?
彩花のせいで学校に来ないママが増えることに咲子は困っており……というのも来月にはPTA主催のバザーがあり、売上金を学校に寄付しています。掘り出し物が多く、ゲーム大会や出店などもあるので、子どもたちも楽しみにしています。でも彩花がいる限り、バザーの用意が無事に進むとは思えずーー。
そして、咲子の嫌な予感は当たってしまいます。バザーの出品が集まり出した頃から、彩花のクレクレ攻撃はますます熱を帯びていったのです。PTA役員が文句を言っても、バザーの品物を持ってきたママから紙袋を奪うようにもらうという行為が常態化。とうとう、今年のバザー中止を決断しました。
パニ子の話では、娘の花音ちゃんは自分のママのせいでバザーが中止になったと分かっているとのこと。彩花の言動が原因で、花音ちゃんはクラスで孤立気味なのだとか。花音ちゃんもママに対して怒っており、パニ子と何やら作戦会議をしているよう。なので、咲子も作戦に協力すると申し出ました。
うちのママは…と日頃の行いを作文で発表
バザーを中止にすることは、まだPTA役員の一部しか知りません。そこで思いついた案というのが、バザーが中止になったと言わずに、派手ハデな古いファッションを集めるというものでした。咲子はパニ子たちが何を考えているか分かりませんでしたが、とりあえず指示に従うことに。
半月後。パニ子の指示通りにママ友に声をかけた結果、タンスの奥底に眠っていたバブリーなファッション?が学校に集まりました。ただ、バザーの中止は学校から発表され、みんなが知ることになりましたが、パニ子にとってはそれも想定内だったようです。
数日後の授業参観日。先生が「誰か自分の作文を読みたい人はいますかー?」とクラスメイトに声をかけました。真っ先に手を挙げたのは花音ちゃん。先生は別の子に読ませようとしましたが、彩花がうるさいので花音ちゃんが作文を読むことになりました。
「私のお母さん。…私のお母さんはとてもハートが強い人です。いつも節約のために人からモノをめぐんでもらっています。お母さんのような人を、世間ではクレクレと呼ぶそうです。そんなお母さんは最近、学校に忍び込んで、バザーで出す予定だった品物を学校から盗み出し、盗ってきたものを並べていたので私はビデオで撮影しました。私は曲ったことが大嫌いな性格です。この経験をばねにして、正しく生きていきたいです」
続いて、パニ子が花音ちゃんがどんなに優しい子かを書いた作文を読みました。クラス中が拍手喝采に。驚いたのは花音ちゃんのママ・彩花。その日はみんなのタンスに眠っていたバブリーファッションに身を包んでいました。
その後、彩花は学校への不法侵入などで校長先生と話し合うことに。学校からの連絡で事態を知った彩花の夫は大激怒。その後、離婚することにーー。パパに引き取られた花音ちゃんは、今でもパニ子と大の仲良し。一緒に遊んでいます。
花音ちゃんがママの行為を冷静に判断できる子でよかったです。ママの言動を反面教師に、強く優しい子に育ってほしいですね。