隣に引っ越してきたわがまま親子
引っ越してきたのは、A子さんとその夫、小学3年生の娘・B美ちゃんの3人家族。A子さんはB美ちゃんをとにかく甘やかしていて、わがまま放題。うちの娘がランドセルを持たされたり、嫌なことをされたりすることもありました。
夏休みのある日、娘が「宿題の風景画を描くために公園に行きたい」と言ったので、私と娘は一緒に公園へ行きました。娘が夢中で絵を描いていると、隣のA子さん親子がやってきて、B美ちゃんが「私も描くー!」と隣に座り始めました。
ところが、B美ちゃんは「やっぱめんどくさ〜い」と言ってまったく筆を進めません。
そのとき、公園内で男の子が倒れているのを発見! どうやら熱中症のようで、私と娘が駆け寄って介抱しているうちに、A子さん親子の姿が見えなくなっていました。
自分の絵のもとへ戻った娘が言いました。
「え……? 私の絵がない……」
消えた娘の絵が学校に貼り出され…!?
私はA子さん親子が娘の絵を持ち去ってしまったのではないかと疑いましたが、証拠がありません。結局、絵は見つからず、娘は他の絵を描いたのでした。
そして学校が始まり、授業参観で学校に行くと、廊下には、娘が最初に描いていたあの絵が貼られていたのです。
「えっ……なんで?」
驚いて確認すると、絵の作者名にはB美ちゃんの名前が書かれていました。A子さんはその絵を見ている他の保護者たちに、「うちの娘って天才でしょ!」と自慢げに話しています。
そのとき、校長先生がA子さんに「この絵、校内のコンクールで金賞に選ばれましたよ」と告げる声が聞こえました。
「校長先生、それはうちの娘の絵です!」と思わず叫んだ私。
その場は少しざわついてしまいましたが、校長先生は事実確認のため、後日改めて、私と娘、A子さん親子に校長室へ集まるように言いました。
娘の絵だと証明された瞬間
そして当日、校長室に集まった私たち親子と、気まずそうな表情のA子さん親子。
校長先生はB美ちゃんに、「この絵は何を描いたのですか?」と訪ねました。
B美ちゃんは戸惑いながら「ひ、昼間の公園……」と答えます。
続いて、娘にも同様の質問をする校長先生。
娘は「昼と夜の公園です」と答えました。
すると、その場にいた先生たちは一斉にカーテンを閉め、絵にUVライトを照射。その瞬間、昼間の風景だった絵に、星空が浮かび上がったのです。
実は娘は、UVライトでしか見えないインクを使って、夜の星をこっそり描いていたのでした。
校長先生は言いました。
「これが本当の作者を証明しています。金賞は、あなたです。おめでとうございます」
先日の授業参観の日、娘は自分の絵がB美ちゃんの作品として飾られていることに気づき、担任の先生に相談。その際に、UVライトの仕掛けについても説明し、この場で証明したいと伝えていたのです。
絵に施した工夫のおかげで、無事に娘の作品であることが証明されたのでした。
騒動のあとに訪れた静かな変化
A子さんは何も言い返せず、ただうつむいていました。B美ちゃんも、ばつが悪そうに「ごめんなさい……」とつぶやきました。
校長先生は「今回の件について、学校として表立って発表することは控えたいと考えています。まずはご家庭で話し合いをお願いします。学校としても、今後の様子を見守らせていただきますね」とだけ言って、その場は静かに解散となりました。
数日後、A子さん一家がわが家に訪ねてきました。
玄関先で、A子さんは娘のB美ちゃんと一緒に深く頭を下げました。そして、後ろからは旦那さんも現れ、「仕事が忙しいことを理由に、妻と娘のことをほったらかしにしていた自分にも責任があります。本当に申し訳ありません」と、静かに謝ってくれました。
それ以来、B美ちゃんがうちの娘にちょっかいを出すこともなくなり、A子さんも以前のような身勝手な言動はなくなりました。
子どもの作品を他人に横取りされるなんて、まったく想像もしていませんでした。勇気を出してはっきりと伝えたことで、無事に真実を知ってもらうことができました。何より、娘の努力が正当に評価されて本当によかったです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。