パパやりがちNG1:保育園や幼稚園へ朝しっかり送っているつもり。しかし……
朝、子どもを保育園へ送るだけで子どもの持ちものや連絡帳の準備はママ任せなパパ。ママが送り担当のときは、ひとりで全部をやっているのに……と、毎日のことなのでママにとってストレスになっているかもしれません。なぜ全部をやらないパパが多いのでしょうか。
小崎先生
一番の原因は、保育園の送り迎えを「子どもを家から保育園へ移動させることが仕事」という認識でいるからなのかもしれません。ですが実際には、子どもを送る保護者には、必要な持ちものを揃える、子どもの体調を保育者に伝えるなどの役割もあります。
パパが送り迎えをするケースは昨今増えていて、それ自体は喜ばしいのですが、パパが送迎担当の場合に起こりがちなことがいくつかあります。例えば、私が働いていた保育園では、月曜日は週末に洗った布団カバーを持ってくることになっていましたが、忘れるパパは少なくありませんでした。
また、着替えやおむつの補充を忘れる、連絡帳はサインだけで昨日の様子を書かないパパも。パパに子どもの傷や発疹のことを聞いても、いつ起こったのかなど答えられないことが多かったように思います。
保護者と保育者は子どもを一緒に育てていくパートナー
保育園に子どもを預けるということは、子どもを育てるという大事な使命を保育者と一緒に果たすということ。家庭と保育者での「連携」が、子どもたちの健やかな成長を支えるのです。ぜひ、パパたちにも保育者とコミュニケーションをとってほしいと思います。
連絡帳を書くことも重要なコミュニケーションの1つですよね。また、子どもの身の回りの準備を丁寧にすることは、保育者が子どものお世話をしやすくなるのはもちろん、パパたちが保育者からの信頼を得ることにもなるでしょう。
一緒に子育てをするパートナーとして、保護者と保育者が心強い味方同士になれると子どもに良い影響をもたらすだけでなく、パパたちも子育てがラクになるのではないでしょうか。
パパやりがちNG2:おむつ替えをしておしっこなどのお世話はバッチリしているつもり。しかし……
おむつ替えはするけれど、おむつやおしりふきシートの買い足し、ゴミ箱に溜まったおむつのゴミ捨て、袋替えなどは知らん顔……。それなのにおむつ替えをしただけで、おしっこなどの排泄関連のお世話をやっているつもりになっているパパが多いようです。ママからしたら、こうした面倒な作業はママだけというのはなんだかやるせないですよね。
小崎先生
これは、パパたちに育児経験が少なく、先のことまで見通せていないことが多いというのが原因の1つなのではないでしょうか。例えば、パパにおむつ替えを頼んだら、おしりふきシートを一度に10枚使ってしまったという話をママから聞いたことがあります。
一度に何十枚もおしりふきシートを使ったら、いくらストックがあっても足りませんよね。ゴミ箱もすぐにいっぱいになってしまう。しかしママも最初からおしり拭きを効率よくできていたわけではありません。おむつやおしりふきシートのじょうずなストック管理などもやっていくうちにできるようになっていったのです。
そこで、パパがおむつ関連の家事や育児を担当してみましょう。ただ休みの日や仕事が終わったあとに子どものおむつを替える担当なのではなく、おむつやおしりふきシートの買い出し、在庫管理、ゴミ袋替えも担当するというもの。おむつ替えは家事や育児の中でも頻度が高いので、担当することで「おむつ替え」とひと口に言っても、やることがたくさんあるということを実感しやすいはずです。
経験の少ないパパの場合は、ママにやり方など細かく確認することも必要でしょう。パパがこれらを主体的にできるようになれば、ママの負担は軽減されます。
パパだとうまくできないからとママが全部やってしまうご家庭は多いと思いますし、自分がやったほうが早いなどと感じるママもいるかもしれません。しかし、まだまだ育児は続くのですから、長いスパンで考えてみてはいかがでしょうか。
これらの経験は、日々の家事にも生かせる視点がたくさんあり、「先のことを見通す力」をパパたちが身につけることにもつながるのではないでしょうか。
パパやりがちNG3:子どもの相手をしているつもり。しかし……
子どもの相手はするけれど、子どもが泣いたとき、機嫌が悪いときにママにバトンタッチをしようとするパパ。そんな姿にママたちはモヤモヤしてしまうようです。「機嫌のいいとき=ラクなとき」しか対応しないのに「今日はよく遊んだ」などとわがもの顔なパパにはモノ申したくなるのではないでしょうか。
小崎先生
まさに、ママからしたら「おいしいとこ取り」と言いたくなってしまいますよね。子どもが泣き始めたら「ママを呼んでるよ〜」と言ってしまうパパ、多いですよね。つまり、パパはママのほうがスムーズに対応できるだろうと思ったり、子どもが赤ちゃんのころなどは泣いている理由がわからなかったりしてママにバトンタッチしてしまうのかもしれません。
ですが、ママも泣いている子どもの対応は大変で、赤ちゃんのころは泣いている理由が全部わかっているわけではありません。大変な思いをしながらも日々、試行錯誤していくうちに少しずつ理解しているのです。
とはいっても、なかなか子どもと関わる時間がとれず、子どもが機嫌の悪いときにどのように対応すればよいのかわからないパパも多いはず。そんなパパにオススメしているのが、子どもとパパ、2人きりで外へ出かけること。近くの公園へ散歩しに行く、地域の子育て支援センターの乳幼児向けの遊び場へ行ってみるのも良いですね。
はじめは子どもの機嫌が悪くなり「ママがいい〜」と大泣きされてしまうこともあるかもしれません。はじめはうまくできないかもしれませんが、子どもにグズられたり大泣きされたりしても、最後まで子どもと関わりきったという経験を少しずつ増やしてみてください。
パパたちの主体的な育児参加が家族を幸せにする!?
私は、育児経験は将来の親の介護をするときにも役立つと思っています。今の社会で深刻な問題となっている「高齢者の虐待」ですが、加害者は息子が1番多く、次いで夫というデータ(※)があります。つまり1位と2位は男性です。おむつ替えの経験と関連するとは一概には言えませんが、少なくとも赤ちゃんのおむつ替えを、臭いから嫌だ、苦手だと遠ざけて経験しなかったパパには親の排泄関連のサポートはハードルが高くなってしまうでしょう。
ほかにも、親が施設に入所する場合や入院する場合の洋服の準備やスタッフとのコミュニケーションなども、保育園の準備や保育所と連携をとった経験が生かせるかもしれません。
多くのパパはがんばって育児をしていると思いますが、3つのケースでお伝えしたように、ママ任せな部分がある中で「やっているつもり」になっている場合もあると思います。ぜひ一度、ママが何をしているのか観察してパパも主体的に育児に参加しましょう。
大変そうなことからも目を背けずパパたちが育児に向き合っていく経験は、家族が幸せになるため、そして何よりもパパ自身が幸せになるために大切です。楽しいことだけでなく、大変なことも同時に経験して初めて達成感や喜びを心から感じられるでしょうし、「楽しいこと」と「しんどいこと」の2つを夫婦で共感し合うことで、きっと夫婦の絆も深まっていきますよ。(小崎先生)