妻を傷つけた夫の言葉
結婚して10年を迎えた友人とその夫。いつも笑顔が絶えないこの友人夫婦は、私の憧れのおしどり夫婦です。毎日お互いに感謝の言葉を伝え合い、困ったことがあったときには2人で協力して解決するといった話を聞くこともありました。
ある日私は、普段から夫婦でぶつかり合うことはないのだろうかと疑問に思い、友人に尋ねてみました。すると、そんな友人でも夫とぶつかった過去はあり、夫から言われて、深く傷ついた言葉があるのだと教えてくれました。
それは、「出ていけ!」という言葉。口喧嘩の延長で、怒りをあらわにし感情的になった友人の夫は、友人に対して「出ていけ!」と言い放ったそう。ドラマや映画でも聞いたことがあるようなセリフですが、勢いでついこんな発言をしてしまう男性は、珍しくないのではないでしょうか。
ただ正直、この夫婦がそんなふうにぶつかることがあったのかと少し驚きました。それほど、いつも穏やかで、お互いをねぎらったり助け合ったりと、言動に愛がある夫婦だったからです。
その言葉に傷ついた理由
続けて友人は、その言葉に深く傷ついた理由を教えてくれました。答えはとてもシンプルで、「帰る場所なんて、ここしかないから」というもの。「今の生活はこの家にあって、実家を離れ新しい家庭を築いている。だから私の帰る家はここしかないのに、出て行けって言われてもどこに行ったらいいの!?」ととても悲しく、心細い気持ちになったそう。
その通りだと思いました。「出ていけ」ということはつまり、自分は必要とされておらず、居場所がないということ。勢いで発した本心でない言葉だったとしても、受け取る側がその言葉を真に受けてしまったら、強いダメージを与えてしまうのも当然です。
また、友人夫婦の間には、3人の子どもがいます。愛すべき子どもたちがいるのに、そんな無責任な発言ができてしまうことに、余計に悲しみや怒り、虚しさを感じたのでしょう。
友人夫婦のすてきなところ
その後、お互いの気持ちが落ち着いたころ、友人は傷ついたときの気持ちをしっかり言葉にして夫に伝えたそう。なぜ「出ていけ!」が言ってほしくない言葉だったのか、自分にとってそれがどんな意味を持つのか、具体的に夫に話したのだと言います。言葉の捉え方や、言葉の重みは人それぞれ違うもの。その溝を埋め合わせるには、自分の気持ちを言葉にし合うしかありません。
もちろん、お互い言葉にしたところで、夫婦間の考え方の違いまで解消されるとは限りません。それでも、どんなところで相手と考え方が合わないのか認識することが大切。これについては考え方が合わない、とわかってさえいれば、それを踏まえて相手を気づかった言動ができるためです。そんな小さなことの積み重ねで、どちらか片方だけが傷つき続けたり、誤解したまま夫婦関係を悪化させたりしてしまうリスクを減らせるのだと友人は話します。
自分が感じたことや思ったことを相手にもわかるようにかみ砕いて話すのは面倒でも、良い夫婦関係を築くために、しっかり夫に伝える友人はとても素晴らしいと思います。それと同時に、妻の話に最後まで耳を傾ける夫の姿勢にも驚きました。お互いのことを尊敬していて、信頼し合っているからこそ、面倒に感じがちな話もしっかり聞けるし、誤りは正そうと思えるのでしょう。
相手の言葉に傷ついたら、すねたり口を利かなかったりして、翌日には何もなかったように元通り……というのが当たり前の夫婦も多いと思います。もちろん夫婦それぞれに合う解決法があり、時間が解決してくれるのを待つことが悪いわけではありません。ただ、悲しさや怒りといった感情をそのままにしておくと、気付かぬうちにストレスが蓄積されて嫌悪感が増す可能性があります。そうならないためにも、モヤモヤした気持ちを残さずに2人でしっかり消化するところが、この夫婦のすてきなところだと感じられました。
まとめ
深い意味はなく発した言葉であっても、相手がストレートに受け取ってしまうこともあります。考え方やそのときの立場や状況によって言葉の重みは違うもの。だからこそ、人それぞれ言葉の受け取り方は違って当然です。良好な関係を築くなら、言葉は慎重に選ぶ必要があるのだと考えさせられました。友人夫婦が、結婚後10年たっても仲むつまじくいられるのは、日ごろからお互いを認め合い、理解しようとしているからなのだと思います。
大切な妻や夫、また子どもを傷つけてしまわないように、家族という近い関係性だからこそ、相手を思いやる気持ちを忘れないことが大切。それこそが、夫婦で良い関係を築くコツなのだと気付かされました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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