話を聞かない新人55歳…
「俺は営業も現場も経験があるから、わからないことがあれば遠慮なく聞いてくれ」
いくら経験豊富でも、初対面で社歴の長い私たちにこの態度……? 高飛車なセリフに内心首をかしげつつも、早く慣れてもらおうと全力でサポートを試みたのですが、彼は、何を説明しても空返事でメモすら取らず、学びの姿勢が見られません。
おまけに「雑用は俺の仕事じゃない」と言いだし、与えられた業務を他の社員に丸投げしようとする始末。忙しい私たちの周りをうろつき、「この部署は無駄が多い。改善してやる!」と豪語して、一向に社内のシステムや取引先・仕入れ先のことを覚えないのでした。
若手が多い資材調達部を見下すタケイ。「若造に教わることはない!」と、ひとりでベテラン風を吹かせています。彼の登場で穏やかだった社内の雰囲気が一変し、私は嫌な予感でいっぱいに……。
増長する年上新人
そんな彼はある日、私が作成した見積書にイチャモンをつけてきました。
「この部品ならもっと安く手に入る! リサーチをして最も低コストの企業にシフトチェンジしないと、業績アップにつながらないぞ!」とやたらカタカナ用語を並べ、見積書をビリビリに破いたのです!
私は、「これは精密製品だからこのメーカーじゃないと」と反論を試みましたが、俺様状態でふんぞり返る姿を前にして、諦めるしかありませんでした。
それだけではありません。私の会社では、男女関係なく自分でお茶やコーヒーを入れる決まりになっているのに、「女が入れるのが常識!」と女性社員に命じるなど、彼の傲慢さは増長していくばかりでした。
大口の調達業務が発生し…?
それから数日後。新製品がヒットし大量の追加注文を受けた私の会社では、膨大な資材を調達することとなりました。部長に呼ばれた私は、この大役を任されることに。しかし、それに反対したのが彼でした。「部長、この大仕事は経験者の俺が!」と割り込んできました。困った部長が何とか諭し、いったんは収まったかに見えたのですが……。
私が実務に入ると、「調達は経験値が上の俺がやる。まずはコスト削減だ!」と首を突っ込んできたのです。「重要なのはコストだけではないですし、これまでの仕入れの経緯を知っているのは私なので……」と断りましたが、不服そう。おまけに、何かを思いついたような表情で、「フフ……。君はもう帰っていいよ」と強引に私を先に帰らせたのです。
驚きの事実が発覚!
1カ月ほど過ぎたある日、「大変だ! A社の部品が大量に届いている!」と部長が飛んできました。A社というのは、安かろう悪かろうの代名詞とされるメーカーで、これまで度々契約を断っていたいわくつきの企業。社長も血相を変えて、「誰か発注したのか?」と周囲を見回しています。
すると彼がドヤ顔で、「俺です! A社に知り合いがいるのでコストは以前の半分以下。誰も俺の忠告を聞かないから、ひそかに発注してあげました。ちなみに他の仕入れはキャンセルし、二重発注も防ぎました」と宣言したのです! A社の製品は低質だから今まで仕入れていなかったのに……。製造予定に合わせて私が発注した部品まで勝手にキャンセル済みと聞き、背筋が凍りました。
「A社の無駄な商品代に、直前キャンセルの仕入れ先への弁償代……」と社長は怒り心頭。「君は工場長の経験もあり、営業トップで10年勤続と履歴書にあったのに……」と言われて、悪びれもせず「それはちょっと脚色を……」と頭をかいています。なんと本当は、3日で営業をクビ&工場ではシール貼りを5年していたとのこと。「それは職歴詐称! 犯罪だ!」と皆もドン引きしてしまいました。
その後……
こうして、職歴詐称・社員へのモラハラ・粗悪品の勝手な大量発注による損害が理由で、会社は即刻彼を懲戒解雇。ちなみに、彼が内緒でキャンセルした本来の注文部品は、突然の電話での口頭依頼だったため仕入れ先の担当者に伝わっておらず、予定通り納品されました。おかげで製造は無事に進み、最終的な損害賠償もかなり減額されたそうです。
こうして社内は以前のように平穏に。さらに私は、日ごろの勤務ぶりを認めてもらい、なんと部長に昇進! 社長から直々に「これからもよろしく」と奨励され、ますます会社のために頑張ろうと決意を新たにしたところです。
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中途採用の新人が55歳の男性となると、社歴が長くても年下の社員は対応に困りますよね。しかも今回のように話を聞かない人の場合はお手上げです。勝手な大量発注やキャンセルは大問題。会社への損害が最小限で済み、快適な職場が戻ってきてよかったですね。昇進もしたことですし、今後はいっそう仕事にまい進できるでしょう。
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