結婚後、ひどい嫁いびりを受けていた私。作ったごはんは捨てられて、仕事に着ていくシャツはわざと色落ちする服と一緒に洗濯されて……。私が黙っているのをいいことに、嫁いびりは加速。洋服をごっそり捨てられたり、アクセサリーを売られたりすることもありました。
あまりの扱いのひどさに、体調を崩してしまった私。夫もさすがに見かねたのか、同居を解消して、今は夫婦2人きりでマンションで生活しています。
しかし、新生活が始まると、私のものだけが次々となくなっていくようになったのです……。
落ち着かない家
新しい家に越してきてから、自分の物が次々となくなっていることに気が付いた私。まとめ買いしていたパックや、ストックとして買っておいたシャンプーなど、消耗品ばかりがなくなっているのです。
ついには、スチーム美顔器まで見当たらなくなってしまいました。夫に聞いても、「知らない」の一点張り。「しばらくしたら意外なところから出てくるかもよ?」と言われて、私はうなずくしかありませんでした。
数日後――。
新しいシャンプーを買って帰った私は、早速お風呂場に置きに行きました。すると、日中誰かが入っていたかのように、お風呂場がひどく濡れていたのです!
さらに、洗濯機の中には私のものではない花柄の靴下が。怖くなった私は、近くのコンビニに避難して夫に連絡しました。
「お風呂はたまたま乾いてなかっただけじゃないか?」「こないだ職場でお茶をこぼされて、慌てて靴下を買ったら花柄だったんだよ」と夫。
念のため、「お義母さんがうちに入ってるんじゃないよね……?大丈夫だよね?住所も教えてないんでしょ?」と聞くと、「当たり前だろ」との返信が。嫁いびりのトラウマからまだ完全に回復していない私は、自分が敏感になり過ぎているのだろう、と結論付けたのです。
犯人は…
1週間後――。
荷物をまとめ終えた私は、夫に「実家に帰るね」と連絡しました。「あれ?今日仕事休みだから遊びに行くの?」と呑気な返信をしてきた夫。
あれからも、私のものはなくなり続けました。美顔器は見つかったものの、やはりこの家には誰かが入っていると確信を持った私。「心配しすぎだって」と言う夫に、私は証拠を突き付けることにしました。
「いや~隠しカメラ置いててよかった」
「あ?」
侵入者を特定するため、防犯カメラを家のあちらこちらに仕掛けた私。最初は夫の不倫を疑っていたのですが……防犯カメラに映っていたのは義母でした。
夫は私に黙って、義母に新居の合鍵を渡していたのです。この家だって私名義で契約したのに……。
義母は私の美容パックやお菓子などを、カバンに入れて持って帰っていました。美顔器はさすがにまずいと思ったのか、元の場所にいそいそと戻していましたが……。
「俺たちだけ新築のマンションとか、母さんがかわいそうじゃん!」「これは親孝行だよ!親を大事にして悪いのか!?」と反論してくる夫。私が義母に何をされたのか、もう忘れてしまったのでしょうか。
私だって、できることなら義母と良好な関係を築きたかったのです。しかし、義母にはその気はありませんでした。「反省している」と口で言いながら、人の物を盗むような義母とは金輪際付き合いたくありません。
「私も自分の親に親孝行したいなって思ってたし、あなたも私の両親にしてくれるでしょ?」と聞くと、「もちろん」と夫。「その言葉を忘れないでよ」と返信し、私は自分の母に連絡したのです――。
改心した夫
数週間後――。
「いい加減帰ってきてくれないか……?」と、実家でのびのび過ごしている私に夫からメッセージが届きました。「ていうか、お義母さんどうにかしてくれない……?」と、だいぶ消耗している様子。
夫が義母に勝手に合鍵を渡していたので、同じように私も自分の母に合鍵を渡したのです。私から事情を聞いた母は、私たちの新居でのんびり。本当に居心地が良かったのか、なかなか帰ってきません。
もちろん、私の母は夫をいびるようなことはしません。しかし、夫は他人が家にいるというだけで気が休まらない様子でした。義母もうちの母と鉢合わせたようですが、「うちの娘に何してくれてるんだ!」と母が一喝。それから新居に寄り付かなくなったようです。もっとも、母はまだまだ義母に対して言いたいことが山ほどあるようですが……。
「俺板挟みだったんだよ!?これでもがんばったんだよ……」と泣きついてきた夫に、「私との結婚生活を続けたいなら、もう二度とお義母さんと私を関わらせないで」「勝手に家に入れるのもナシよ。そうしてくれないなら離婚しようと思ってる」と離婚をちらつかせた私。
「そんなにお前のこと追い詰めてたのか……」とショックを受けた様子の夫。「これからはお前のことを一番に考える」「母さんからは合鍵を返してもらって、絶対にもう家に入れない」「もううちの実家にも、親戚の冠婚葬祭にも出なくていい」とまで言ってくれたので、いったん離婚は保留にすることに。
「本気でやり直したいと思ってるなら、うちの実家で3カ月間同居してね?」と言うと、夫は「え?」と一瞬驚いたものの、「わかった、同居します」と同意してくれました。私は2年間義母との同居生活に耐えたのですから、3カ月はだいぶ譲歩したと思います。
その後――。
夫は義母から合鍵を返してもらい、私の実家で肩身狭く暮らしています。義母は私の肩を持った夫にターゲットを変更。夫の会社にまで突撃し、夫に暴言を浴びせたそうです。
夫は「母さんがこんな人だったなんて……」と落ち込んでいます。自分がターゲットになってはじめて、私の気持ちがよくわかったそう。
あと少しで、私の実家での同居生活は終わります。夫は義母から逃げたいらしく、あのマンションも引き払って新しい土地に移り住むことを提案してきました。今は、心を入れ替えた夫をもう少しだけ信じてみようと思います。もちろん、2度目はないのでサイン済みの離婚届は私の手元にしっかりと保管しています。