いつもの詮索攻撃に遭い…
ある日、母と近所のスーパーに買い物に出かけると、偶然サトウさんに遭遇してしまいました。いつものように始まる詮索攻撃。カゴの中身をのぞき見して夕食の材料をチェックしたかと思えば、お米やビールの銘柄、果ては父のボーナスの金額まで聞いてくる始末。
さらに私のプライベートも知りたいらしく、「お母さんのお手伝いなんて偉いわね。花嫁修業? 彼氏はいる? 婚約中? いつどこで知り合ったの? 相手の家柄と年収は?」などと勝手に妄想し始めました。
婚約者どころか彼氏もいないのですが、何度言ってもやまない質問攻めに閉口し、私と母は猛スピードでレジへと逃げたのでした。
昔はピシッと断ればおとなしくなったサトウさんでしたが、最近は本当に手に負えないのです。それでも外でたまに会うときぐらいだからと、家族で笑って済まそうとしたのでした。
半月後の出来事
「あら、お帰りなさい! お邪魔しているわよ」
私が帰宅すると、あのサトウさんがなぜかわが家に。私の外出先を気にしつつ、座りもせずに室内を見回して置物や棚をしらみつぶしに調べています。引き出しの中の通帳まで開こうとするので慌てて制止したのですが、母はうんざりした様子でため息をついています。
聞けば、勝手に押しかけてきて強引に家に上がり込み、先ほどからああやって嗅ぎ回っているのだとか。キッチンや寝室まで探索しようとしたので、さすがに追い返しました。
それから数日。3人で食卓を囲んでいたとき、「最近なんか変なのよ」と母が首をかしげるのです。
母が抱いた違和感
「ほら、あのサトウさん。外で出くわしても質問攻めにしなくなったんだよ」
それはよかったと私たちは相づちを打ちました。しかし、「何も聞かないけどウチの様子がわかっているみたい」なのだとか。聞けば、父が夜半に帰ってきて居間で寝たことや黒い虫が出たことなど、家の中のことを全部知っていたと言います。
これは嫌な予感……。私は、「2人とも静かに!」と指を口に当ててリビングを探すことに。数分後、テレビの横のコンセントに見覚えのないタコ足タップを発見したのです。十中八九、盗聴器でしょう。驚いた私は声を押し殺し、仕掛けられた盗聴器を父母に見せて筆談で相談しました。
憤慨し、「今すぐ警察に届け出る」と書きなぐった父。しかし母の返事は、「このまま盗聴され続けるわよ」。「えっ?」と目が点になった私たちに向かって、母はあるプランを提案したのです。
逆襲を決行
まさかの盗聴器発見から数日後。のんびり家族団らんをしていた私たちのところに、「現行犯逮捕だ!」と警官が飛び込んできました。後からサトウさんも付いてきて、「ここに犯罪者が!」とわめいています。ところが、あくまで平和そのもののわが家を見て、2人は面食らった様子です。
「この家の母娘が共謀して、不倫した夫を亡き者にし、隠ぺいしようとしているって通報が……」と目を丸くする警官に、父は笑って答えます。「俺はピンピンしているし、不倫なんてめっそうもない! 俺は母さんひと筋。なんでウチで犯罪が起きたなんて話が行ったのですか?」
母がジロリとサトウさんを見ると、明らかにうろたえています。私は言ってやりました。
「この間あなたが来たときに盗聴器を仕掛けたことはバレています。盗聴だけでは罪に問えないらしいから、3人でお芝居を打ったの。バッチリ聞いてくれていたんですね」
「芝居!?」と慌てるサトウさんでしたが、勝手に盗聴して勝手に通報したのは彼女のほうです。「犯罪者扱いされたこと、名誉棄損で訴えますよ」と言うと震えだしました。
お仕置き成功!
真相を理解した警官は私たちに謝罪。そのまま、「盗聴自体は罪にならないものの、盗聴器の設置目的を隠して人の家に上がると住居侵入罪に問われる可能性もあります。署までご同行を」とサトウさんを連行していきました。
こうして、詮索好きが高じたサトウさんは警察でこってり油をしぼられたそうです。どうやら他の家でもやらかしていたらしく、夫婦の離婚問題にまで発展。実家に身を寄せることになったのだとか。
わが家は平穏な日々を取り戻し、一件落着です。おまけに、警官の前で「母さんひと筋」と宣言した父には母もほれ直した様子。ますます家族仲良く幸せに暮らしています。
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現時点の日本には、盗聴行為自体を処罰対象とする法律はないようです。しかし、家主に断りなく住居に侵入して盗聴器を設置した場合や盗聴内容を使っての名誉棄損はもちろん犯罪です。言葉通り一芝居打って詮索好きのご近所さんを懲らしめることができ、スカッとしましたね。
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