初めて義実家に泊まったのは、結婚して半年ほど経ったころ、夫の親族の法事に呼ばれたときでした。義実家はあまり広くないので、私はてっきりホテルを予約するのかと思っていたのですが、夫は義実家に泊まる気満々。
その日、義実家に泊まるのは自分たちを含めて総勢10人。地獄の帰省となったワケは……。
義両親と雑魚寝…
義実家に親族が集まると、家の中はぎゅうぎゅうです。食事をしても隣の人と腕がぶつかり、くつろぐ場所もありません。そんな状況でも夫は楽しそうにしていて、義両親もまったく恐縮する素振りがありません。居心地がわるそうな私を見ても、笑い飛ばすだけ……。
最悪なことに、夜は狭い部屋にすし詰め状態で寝ることになりました。もちろん男女も混合です。
1枚の布団に2人で寝るので寝返りを打つこともできません。義母の歯軋りに何度も目覚め、漂ってくる義父の加齢臭に鼻をつまみ、寝た気がしませんでした。
俺の家族がきらいなのか!
その後も冠婚葬祭や帰省で義実家に泊まるときは、みんなで雑魚寝は変わりません。私は何度経験しても慣れることはなく、ついに我慢の限界を迎えてしまいました。
そこで、次回からはホテルに泊まろうと夫に提案したのですが、その言葉が夫を怒らせてしまったようで「俺の家族がきらいなのか!」と、話は思わぬ方向へ……。
夫は私の提案を「ワガママ」だと言い、「俺がお前の立場だったら、目いっぱい頑張って役に立とうと行動するぞ!」と豪語していました。
そこまで言うなら、私にも考えがあります。
目には目を歯には歯を!
数週間後。今度は私の親族の法事があり、実家に帰ることになりました。いつもはホテルを予約するのですが、今回は実家に泊まると夫にも伝えています。何も知らない夫は、遠足でも行くかのように楽しそうにしていました。
もちろん私の実家でも夫の寝床は雑魚寝用布団です。正直寝相が良いとは言えない父とガタイの良い弟、寝言のうるさい母に協力してもらい、ぎゅうぎゅう詰めで眠ることにしました。
明らかにテンションが下がる夫を横目に、私は「身内と雑魚寝が大好きだもんね!」と付け加えておきました。
義実家での雑魚寝を体験した夫は…
翌朝。まだまわりが寝静まっているなか、私は夫に起こされました。どうやら、一睡もできなかったようです。そして、自分が体験してみてようやく私の気持ちがわかったようで、丁重に謝ってくれたのでした。
この出来事を機に、どちらの実家に帰省するときもホテルに泊まると約束。これまで気が重かった義実家帰省も、大分気が楽になりました。
自分の実家では気にならないことでも、立場が変われば目につくもの。結婚したと言っても、相手の家族は他人です。自分の実家に滞在するときは、互いに相手の立場に立って居心地が悪くないか気にかけたいですね。それが夫婦や家族が円満でいられる秘訣なのではないでしょうか。