しかし、夫の実家ではそうはいきません。古い日本家屋で段差も多く、遊びに行くたびにヒヤヒヤしてしまいます。そんな事情もあって、来月に予定されている義祖父の法事に出席するか迷っていました。
夫の地元では法事は各家庭でおこなうため、女性は食事の支度や給仕で忙しいそう。私の足では満足にお手伝いはできないかもしれません……。
義実家の法事へ
夫は、手伝いなんてしなくていいと言ってくれますが、そういうわけにはいきません。私だけ座っているのも肩身が狭い思いをするに決まっています。親戚の方々に挨拶をしたかったのも山々ですが、とても迷っていました。
そんなとき、義母から1本の電話が入りました。「手伝いはしなくてもいいからぜひきてほしい」と声をかけられ、法事に出席することを決めたのです。
実家に到着すると、男性陣は買い出し・女性陣は食事の支度と、忙しそうに動いていました。しかし私は、義母から「神経質な親族から嫌味を言われるかもしれないから、足が不自由なことは隠して座っていて」と念を押されました。
これって方言?
しかし、自分だけ座っているのはさすがに気が引けます。義母にもう一度お手伝いを申し出ました。すると義母は「いいのよ〜でくのぼうのままで!」と笑顔で言ったのです。
実は私は海外育ちで日本語があまり得意ではありません。「でくのぼう」という言葉の意味を知らず、てっきり方言かと思って意味を尋ねると、義母はニヤニヤして黙ったまま。検索しようにも義実家のある地域は電波が弱く、スマホが役に立ちません。
そうこうしているうちに親族が集まり、法事が始まりました。食事の席では、義父が私の隣に座り、上機嫌でお酒を飲んでいます。
そんな中親戚のおじさんが「田舎の法事は独特だから、わからないことがあれば何でも聞いてくれ」と言うので、私は気になっていた「でくのぼう」の意味を聞いてみたのです。
言葉の意味を知ってびっくり
すると義父はビックリした表情を見せ、誰に言われたのかと逆に聞き返されてしまいました。私が義母に言われたと伝えると、その場の空気が一瞬で凍りついたのです。
何かまずいことを言ってしまったのかと思い義母を見ると、真っ青な顔で座っていました。状況がさっぱり理解できなかった私に、夫が「でくのぼう」は気が利かない人をののしる言葉だと教えてくれました。いつもやさしい夫ですが、とても怒っているのがわかります。
ニコニコ笑ってお酒を飲んでいた義父も一瞬で鬼のような形相に……。義母と離れに移動し、何やら話をしていました。キツく説教されたに違いありません。
後から義父母に謝られたときに、「座っていて」と言ったのも親戚からの印象を悪くしてやろうと思ってのことだったと知りました。
結果オーライ!?
義母のおこないは最低ですが、結果的には義母の意地悪を察した親族が私にやさしくしてくれました。「ずっと座ったままで図々しい嫁だ」と思われていたのでは……とビクビクしていたのですが、“意地悪な義母を笑ってかわせる器の大きな嫁”と私のイメージも良い方向へ……。
今回はそのイメージを保とうと、義母の謝罪を受け入れることにしました。もちろん、この恨みは忘れませんが……。
アウェイな環境で大人しくしている嫁には何をしても大丈夫だと思ったのでしょうか。意地悪な発言をしたことが明るみに出なければ、義母の意地悪はエスカレートしたかもしれません。早めに制することができたのがせめてもの救いですね。