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遅刻を正当化する社長の息子「重役出勤は当然」⇒社長「お前が重役になる未来はない」顔面蒼白になったワケ

現在私は、とある老舗企業の総務部に勤務中。大会社ながら気さくな人柄の社長に憧れ、少しでも社に貢献できるよう頑張っています。そんなある日、私の部署に社長の息子さんが新人として配属されることに。経験を積ませたいという社長の意向があるようで、私も先輩として張り切っていたのですが……。

 

やる気ゼロの御曹司

御曹司の初出勤日。何と彼は30分近くも遅刻してきた挙句、「よろしくっス」と軽く手を挙げただけ。私たちが仕事を中断し、そろってあいさつをしたにもかかわらず、彼は自分のデスクにどっかり座ってスマホをいじり始めたのです。

 

ついこの間まで留学していて社会経験もないらしいので、初めは仕方がないのかなと思っていました。

 

しかし、次の日からもやる気ゼロの彼は、何を頼んでもダメダメでした。書類を作成してもらったら誤字脱字だらけで計算も間違いばかり。しょっちゅう総務部を抜け出しては、かわいい受付嬢とおしゃべりをしに行ってしまうのです。

 

おまけに遅刻癖も悪化。昼過ぎにノンビリやってくるような日もあるのです。本人は、「俺は社長の息子だからいつ出社しても自由。次期社長なんだから重役出勤は当然」と豪語する始末。

 

私は何度もこの問題児について課長に訴えましたが、「まあまあなんとか穏便に」と繰り返すばかり。社長ご自身は、息子を新人社員として厳しく鍛えてくれ、と言っているようなのですが、気の弱い課長は強い態度に出られないのです。私は、仕事に支障が出ないことを祈り毎日ハラハラしていました。

 

恐れていたことが…

数カ月後。恐れていたことが現実となりました……。

 

「えっ、会場がない!?」。なんと、年1回の株主総会で使用する会場ホテルが未予約だというのです。

 

わが社は株式非公開で、株主はオーナーである会長のみ。しかし会長は、株主総会で社員や取引先の方々と交流したいと、毎年ホテルを借りて懇親会をしています。会場予約は総務部の重要な業務。これは一大事です。

 

予約は御曹司に任せたと言う課長。「俺、ちゃんと申込控えをプリントアウトして課長に渡したけど」と言う御曹司に、課長は「ああ、私も控えを確認した。だから大丈夫だと思って……」と真っ青です。

 

慌ててPCの記録やメールの受信箱を確認するうちに、その申込控えが、予約完了前の確認画面を印刷したもので、その後に申込完了ボタンが押されていなかったらしいと判明。なんという凡ミス……。課長の確認漏れにもガックリです。

 

 

思わず叱責!

しかし今日はもう株主総会当日。私たちは総務部総出で社内の大会議室を片付け、何とか全員分の椅子を並べました。

 

するとダメ御曹司は、手伝いもしなかったくせに「貧相だな~。もっとドーンと派手な設営はできないわけ?」と文句を言ったのです。自分のミスが原因で急ごしらえの会場になったというのに、何という態度でしょう。

 

その言葉を聞いて私はブチキレました。「いいかげんにしなさい! 社長の息子だからっていい気になって。反省どころか自分のミスを棚に上げて文句をつけるなんて!」

 

皆の前で注意されたことに逆ギレした彼は、私に反論してきました。「生意気な! 親父に言ってクビにしてやる! いや、どうせ将来は俺が社長になるんだから、この場で俺が直接クビにしてやる!」

 

と、そのとき……。

 

祖父が登場

会議室の入り口から男性の声がしたので、私たちはいっせいに振り返りました。するとそこには私の祖父が立っていたのです。

 

そして、廊下からやって来た社長も顔を出しました。「これは会長! 今年は突然会場が変更になって申し訳ありません。私も今朝聞きまして……」

 

「いやいや、ワシも懐かしい会社に来られてうれしいよ。孫とも久しぶりでな。最近遊びに来てくれないからバアさんも寂しがっているぞ」「ごめんごめん、最近忙しくて……。でも、社内でプライベートな話はだめよ。孫だろうと何だろうと社員は皆同じだって、おじいちゃん自身が言ったのよ」

 

私たちの会話についていけない御曹司は、「か、会長? ま、孫娘?」とぼう然としています。

 

「知らなかったのか? 彼女は総務部の優秀なメンバーであるだけでなく、オーナー会長のお孫さんだよ。私はただの雇われ社長。何の勘違いか知らないが、お前が社長になどなれるはずがない」

 

どうやら社長は今回の騒動で初めて、自分の息子が仕事もせずに横柄な態度を取っていたという実態を聞いたようでした。

 

 

ダメ息子の末路

泡を食ったような顔の御曹司に、私は伝えました。「会社のトップには、血縁関係ではなく仕事ができる人間が就任すべし。会長である祖父の信念ですから。私も、一般採用試験を受けてこの会社に入り、特別扱いされることなく仕事をしてきました」

 

一方で社長は、ガックリ膝をつきました。「オーナーから経営を任されているというのに、役立たずの息子を入社させてしまった……。総務部で社会経験を積ませたいと思ったが、それも私のエゴだった。申し訳ない」

 

祖父はそんな社長の肩をたたきながら笑いました。「君も人の親だったということじゃ。息子さんを鍛え直すためにも、ワシが所有する山奥で管理人をしてもらおうか?」

 

こうして、ダメ息子は祖父が持っている田舎の山小屋の管理人に就任。生活のため、朝から水汲みとまき割りをする必要があるほどの奥地のため、『重役出勤』をしている場合じゃないそうです。10年もしたら甘ったれた根性がたたき直されて、まともな人間になると期待しています。

 

一方の私は、いつか祖父の会社を継げるだけの実績を積むのが目標です。これからも頑張っていきたいと思います。

 

--------------

「社長の息子」の座にあぐらをかいて、仕事をしないどころか横柄な態度を取る御曹司。実は会長の孫娘が先輩だったとは、さぞビックリしたことでしょう。実力と人柄で人を採用する会長はさすがですね。御曹司も心を入れ替えて、いつか社会の役に立ってくれるといいですね。

 

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