やさしかった夫が…
とある日のこと。夕食の準備を終えておなかが張ってきた私は、寝室で横になっていました。すると仕事帰りの夫から電話があり、「駅に着いたら雨が降ってきた。すぐに車で迎えに来い!」と命令口調で怒鳴るのです。
私が「ごめん、今おなかが張っていて……」と言うと、「妊婦だからって言い訳しやがって!」と電話をガチャ切り。その後、夫は深夜に帰宅し、雨宿りのために入った居酒屋で女の子たちにおごりまくって散財したと豪語していました。
もう、怒りを通り越してため息しか出ません。ちょっと前まで、とてもやさしい人だったのに……。いちいち腹を立てていたらおなかの子に良くないと思い受け流していると、夫の言動はエスカレート。私への暴言を繰り返し、物に当たり、さらには仕事帰りに遊び歩くようになりました。
私に無断で子ども用の貯金も崩してしまい、そろそろ我慢の限界に。そんな中、決定的な事件が起こったのです。
あらぬ疑いをかけられ…
ある朝私は突然、夫に強い口調で問い詰められました。
「お前、浮気しているだろ? コソコソ寝室を抜け出して、別の部屋に移動しやがって! 俺とはもう一緒の空間にもいたくないってわけか?」
「何それ、誤解よ! 浮気なんてするわけがない!」
ただ、部屋を移動していたのは本当。というのも、彼のイビキがうるさくて眠れないためです。本人はイビキをかいている自覚がなく、説明しても納得してくれません。仕方なく私は、録音アプリをスマホにダウンロードし、イビキを録音することにしました。
そして翌日の夜。無言で夫が帰宅したかと思ったら、ひどく興奮した様子で私に声を荒らげたのです。
「お前、今日の昼間、男と外を歩いていたよな? その腹のガキも、俺の子どもじゃないんだろ?」
この暴言はさすがに聞き流せません。私は病院の先生にばったり会っただけだと釈明しました。
「それ、産婦人科の先生よ! ばったり出くわしてさ」
しかし、一向に信じない夫。「俺に隠れて不倫して、ガキまで作って。そいつを俺に育てさせようって魂胆だな。なんて女だ」
「そのガキって言い方、何? 信じられない。人の話も聞かずに妄想して、そんなひどいことをよくも……。この子はあなたの子なのに!」
すると突然、夫はニヤリ。口角を持ち上げ、不気味に笑い出したのです。
「そうだよなぁ、身重のお前には、父親が必要だよな? 離婚されたくなかったら、俺に立てつくな!」
あることに気がついた私
そして夫は言ったのです。
「ガキの本当の父親からは、慰謝料と養育費をふんだくってやる!」
私はこの言葉に耳を疑いました。こんな人間が子どもの父親になるなんて、恐ろしすぎる! 黙って離婚届を書いて出ていこうかと考えましたが……。実家の両親に離婚を告げようとスマホを操作したとき、私はあることに気がついたのです。
翌日、もろもろの準備をすませた私が待つ家に、夫はのこのこ帰ってきました。私は玄関チェーンをがっちりかけて、扉のすき間から宣言。
「あなたは出ていって。この家に入るな!」
「何だと!? 身重のお前はどうせ俺とは別れられないくせに……」
私は黙ってスマホを取り出し、夫があの日私を罵倒しまくった音源を流しました。
「あんたのイビキを録音するつもりで入れたアプリが偶然起動していたの。この音声、義両親に送信しておきました。お義父さんカンカンに怒っていたわよ? もちろん離婚も承諾してくれたから」
ちなみにこの家の名義はお義父さん。
「息子が迷惑をかけたおわびに、家財はすべて私とおなかの子に差し上げますって!」
そのタイミングで、夫の後ろから4つの影が登場。私はようやくチェーンを外しました。
離婚が成立し慰謝料も
やってきたのは義両親と私の両親。みんな、連絡したら飛んできてくれたのです! 私に平謝りの義両親は、逆ギレしてわめき散らす息子の首根っこをつかみ、実家へ引きずっていきました。
その後、夫とは無事に離婚が成立。あの音声が決め手となり、慰謝料も受け取りました。そして、生まれた子どもを認知し、養育費を支払うという条件つき。
私は無事に娘を出産。現在は、義父からもらった一軒家で元気にシングルマザーをしています! 私やおなかの子に暴言を吐いた夫とは絶縁したものの、義両親とは交流を継続。ちょくちょく育児や家事を手伝いにきてくれるので、とても助かっています。
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