「アンチエイジングミネラル」とは?
あらゆる代謝に欠かせないミネラル「マグネシウム」
必須ミネラル16種類にはカルシウムや鉄などおなじみの成分もありますが、その中に「マグネシウム」があります。黒田先生によれば、この「マグネシウム」が健康や美容に影響を与える「代謝」をつかさどっていると言います。
「マグネシウムは体内の300以上の酵素の補因子または活性化因子として働き、さまざまな物質代謝に関わっています。
特に糖代謝によるエネルギー産生において、重要な役割を担っています。
食事からとった炭水化物は消化管でブドウ糖になり、全身の細胞に送られます。エネルギー産生はブドウ糖を細胞内で代謝して生じるATPという物質がもとになりますが、このATPが作られる過程で必要な10種類以上の酵素反応にマグネシウムが欠かせないのです。
また、脂質の運搬や分解に関与する酵素反応にもマグネシウムが必要です。
つまり、糖代謝や脂質代謝でマグネシウムは大量に消費されるため、糖質やアルコール、脂っこい食べ物が好きな人は不足しがちになります」(黒田先生)。
「マグネシウム」が不足するとどうなる?
肥満や肌荒れの原因になることも
マグネシウムが不足すると、美容面ではどんな影響が出るのでしょうか。
「マグネシウムは肌のバリアー機能に欠かせない、アシルセラミドという成分の合成に関わっています。マグネシウムが足りていないとバリアー機能が低下して、保湿機能が落ちて外部からの刺激を受けやすくなります。肌荒れ、炎症、乾燥が起こりやすくなりますね。
ダイエット面でも影響が出ます。肥満は、脂肪細胞の中に余分なエネルギーが中性脂肪の形で過剰に蓄えられた状態ですが、マグネシウムが脂肪分と反応すると体内に吸収されにくくなることがわかっています。
また、マグネシウムは脂肪細胞からのアディポネクチン(痩せホルモンと呼ばれ、脂肪燃焼作用がある)の分泌を高める作用があるといわれています」(黒田先生)。
肌や体形だけでなく、健康への影響も大きいと黒田先生は言います。
「マグネシウムは骨や歯を強くする作用があります。
歯や骨はカルシウムだけでできていると考える人は多いと思いますが、歯や骨はマグネシウムからもできています。実に体内のマグネシウムの50~60%が骨に存在します。カルシウムは骨の強度(硬さ)を高め、マグネシウムは骨の柔軟性や弾力性を高める役割を担うとされています。
マグネシウムは便秘解消にも有効です。
マグネシウムには水分を引き込む作用があり、これが便秘に有効に作用します。マグネシウムをとると、腸内で水分を引き寄せ腸の内容物を軟化、膨潤することで、大腸への物理的刺激が生じ排便が促進されます」(黒田先生)。
「マグネシウム」の摂取方法は?
欧米では経皮吸収が主流
マグネシウムを効率的にとるためにはどのようなことを気をつければ良いでしょうか。
「まずはバランスの良い食事を心がけることが大切です。糖質やアルコール、脂っこいものをなるべく控えることも必要ですね。
一般的に、マグネシウムが多く含まれる食品は、そば、バナナ、ひじき、豆、五穀、豆腐、抹茶、ごま、わかめ、野菜(緑色)、魚、しいたけ、いちじく、昆布、牡蠣(かき)、いも類、納豆、とうもろこしなどがあります。
私は食事以外にサプリメントでマグネシウムをとっていますが、注意してほしいのは、便秘の処方薬としてもらった酸化マグネシウムをサプリメントの代用品にしないこと。
酸化マグネシウムは体内に吸収されにくいため、サプリメントとしての役割はありません」(黒田先生)。
マグネシウムは便秘解消の作用がある分、とり過ぎると下痢の原因にもなるといいます。そのため欧米ではマグネシウムを経皮吸収で体内に取り入れる方法が主流だそうです。
「クリームやスプレー、入浴剤などがあり、日本でも手に入れられます。
私も入浴剤と外用剤(クリーム)を愛用しています。マグネシウムは血流を良くし、代謝を良くするので体が温まります。肌だけでなく髪にもよく、髪質改善や増毛も期待できます。私は入浴時、マグネシウムが入ったお湯を髪につけています」(黒田先生)。
まとめ
マグネシウムというと化学の授業で少し勉強した程度で、まさか美容に欠かせない成分であるとは思いもよりませんでした。なお、黒田先生によれば、ストレスが多い場合もマグネシウムが不足しがちになるということ。ストレスは健康と美容の大敵ですね。
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取材・文/mido
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。