憧れの生活に向けて
私は若いときからキャンプや釣りなどのアウトドアレジャーが趣味で、定期的にソロキャンプや渓流釣りを楽しんでいました。レジャーそのものを満喫する目的もありましたが、自然の中に身を置くことで日常生活のストレスを発散できるというのも理由の1つです。
しかし、そんな楽しいアウトドアにも1つだけ移動の手間と労力という悩みがありました。東京にある自宅から近隣のキャンプ場まで車で片道2時間近く掛かります。力も体力もある若いときはそこまで気になりませんでしたが、年齢を重ねるにつれ徐々に運転がつらく感じるようになりました。
踏み切ったのは山の購入
高齢者の操作ミスによる事故の報道を新聞やテレビで頻繁に目にするたびに、自分もいずれは他人事ではなくなると感じ移住を決めました。移住というと地方に住宅を購入して生活するイメージを持たれがちですが、私が選んだのは山そのものの購入です。
山を購入してそこに住めば、車の運転や大きな荷物を持ち運ぶ必要もなく、毎日好きなだけアウトドアレジャーを楽しめると考えたのです。貯金や退職金など資金に余裕があったので購入自体は問題ありませんでしたが、いざ生活を始めるにあたって予想外の苦労が待ち受けていました。
安全を確保するための荒れ地の開拓
山を購入して最初に直面した問題が、荒れ地の開拓です。自分が購入した山は個人が所有していたもので、コテージはありましたが、長年に渡って放置されていたこともあって荒れ放題でした。
鋭利な枝やつまづいたら転倒して大けがをしかねない大岩など、障害物を退かさなければとてもではありませんが安心してキャンプなどできません。土地の開拓以外にも、夜更けに明かりに誘われて訪れる猪や鹿などの野生動物の対策も必要です。
自己責任で誰にも頼れない現実を目の当たりにして、心が折れそうになりましたが、大金を払って買った以上は後戻りはできません。その後、インターネット検索や山暮らしに詳しい友人に話を聞きながら開拓をしていき、3カ月後に何とか普通に暮らせる状態にできました。
まとめ
根気よく荒れ地を開拓した結果、念願だった毎日がアウトドアの暮らしを手に入れることができました。今は時間に追われて生活をしていたサラリーマン時代と違って、誰に気兼ねすることなくスローライフを満喫しています。苦労も多かった分、喜びも一入(ひとしお)です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
文/田中 康太
イラスト/マメ美
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