横暴な夫に
若いころから元気が取り柄だった私。まさかここ数カ月の症状が更年期だとは思ってもいなかったので、軽くショックでした。「更年期は人によっていろいろな症状が出るので、甘く見ず、無理せずに休むこと。ご主人にも理解してもらいましょう」と医者に説明を受け、薬を処方してもらいました。
帰宅後、夫に「私、やっぱり更年期だって。夫側にも理解してもらうようにって言われた」と伝えると……。
寝転がってテレビを見ていた夫は、私のほうを見ようともせずに「更年期? そんなの気の持ちようだろ。でなきゃ、子育てが終わってのんびり過ごすための言い訳か? 家事や料理をサボるのは許さねぇぞ!」と声を荒らげたのです。おまけに、「俺はずっと外に出て仕事をしているんだ!」と上から目線。
予想通りの夫の態度でしたが、さすがに言われっぱなしは癪(しゃく)に障ります。「私だってパートをしているわよ?」と言っても、「お前のは主婦の気晴らし程度だろ?」と小ばかにする態度は変わりません。
「何が更年期だ、使えねぇばあさんだな。家事サボるなら出ていけ!」とまで言われて、涙が出てきました。
そこまで言うなら、望み通りにしてやる……。これまで耐えに耐えて来ましたが、もう我慢の限界。翌日、夫が出社した後に私は家を出ることにしたのです。
ついに決断!
いつも通りにパートに行き、仕事を終えた私は長女の家に泊まることに。置き手紙には、「使えないばあさんは出ていきます」と書いておきました。
すると数日後……。夫が長女のマンションに飛んで来ました。今まで炊事や洗濯、掃除から家計の管理まで何1つやったことのない彼が、私に出ていかれたら生活がままならないのは目に見えていたので、想像通りすぎてあきれてしまいました。
長女は夫を見るなり一喝。「お父さん、お母さんがしんどい思いをしていたこと、気付いてもいなかったんでしょ。昔っから家事を手伝う姿なんて見たこともなかったし。そんなだからお母さんに捨てられても当然よ!」。夫は、ここにきてあたふたし出しました。「捨てられる……? 俺が?」
私は冷静に言いました。「知っている? 更年期を少しでもラクに過ごすには、夫の協力や理解が必要不可欠なんだってこと。それがないなら一緒にいる意味もない。離婚しましょう。召使い生活から自由にさせてもらうから!」
その後…
私は、スッと夫に署名済みの離婚届を渡しました。それを見た夫はおろおろして、「わ、悪かった……。お前のつらさを理解しようとしなかった。許してくれ」と文字通り土下座したのです。
私はため息をつきました。どう決断するか。すべては私次第です。
「あなた、心を入れ変える気はあるの? 対等なパートナーとして、人間として、ちゃんと私を尊重してくれる?」
「ああ、誓う! 家事も率先して俺がやる」
「あなたの態度がちょっとでもおかしくなったら、これを提出して即離婚だからね!」
私は離婚届に署名させ、この会話をボイスレコーダーにも録音し、やり直すという選択をしました。自分が選んだ相手をもう一度信じてみたかったのです。
それからというもの、夫は生まれ変わったかのように家事をしてくれるようになりました。やさしい言葉もかけてくれるようになり、本当に別人のよう。どのくらい更年期が続くのかわかりませんが、後から夫と振り返り、「幸年期」と呼べるようになる気がします。
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体調不良を理解してくれない横暴な夫とやり直すという選択するのも大変な決意でしたね。体の不調も心配ですが、夫が本当に改心して協力的になり、夫婦関係が良好になったとのことで、精神的にだいぶラクになったのではないでしょうか。
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