上司に言われた心無い言葉…
必要最低限の会話や行動はできていましたが、それでもつわりで気持ち悪く言葉をなかなか発することができなかった私。そんな私に向かって施設長は、「こんな妊婦に払う給料なんてないんだから、さっさと辞めてほしいわよね〜」と利用者にも聞こえる大きな声で言ったのです。
また、切迫流産で自宅安静になったときには毎日のように電話が来て、「ねぇ、いつ辞めるの? あなたがいても邪魔なのよ。切迫流産って言ってもね、流れる子は流れるし、流れない子は大雨の中マラソンしたって流れないのよ。あなたは育てる能力がないから、赤ちゃんが流れたいって言ってるんじゃないの?」と毎日暴言を浴びせられていました。耐えられなくなった私は退職を選び、今は別の仕事につき穏やかに生活できています。妊娠中、同じ女性である、ましてや子どもも孫のいるはずの施設長に言われた数々の言葉は、一生忘れられない深い傷です。
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切迫流産とは、流産しかかっている状態のことを言い、妊娠21週6日(22週未満)までの間に、妊娠が継続できない状態になりかけていることです。主な症状は、出血と下腹部の痛みや張り。こうした症状があったら、必ず病院で診察を受けましょう。
流産の原因はよくわからないことも多いのですが、「妊娠12週未満」の早期流産のほとんどは赤ちゃん側に原因があり、特に胎嚢(赤ちゃんが包まれている袋状の物)のみの状態で、赤ちゃんの心拍がまだ確認できない「妊娠5〜6週」に最も多く起こると言われています。次に流産が起こることが多い時期は、赤ちゃんの心拍が確認できるようになる「妊娠7〜8週」。染色体の異常が原因の多くとされていますが、これらの異常は遺伝ではなく、まったく偶然に起こると考えられているのです。
一方、「妊娠12週以降」の流産の場合はお母さん側に原因があることが多く、子宮筋腫や子宮頸管無力症、糖尿病、甲状腺の病気などが挙げられます。
このように、切迫流産はさまざまな原因で起こるため、確実に予防するということは難しいのです。しかし、普段からの生活習慣に気を配ることはとても大切。なるべくストレスを感じない生活を心がけ、重い物を持ったり、立ちっぱなしになったりするようなことは避けましょう。また、体を冷やさないような服装をしたり、食事にも注意したりしていきましょう。喫煙や飲酒の習慣がある方は控え、カフェインの入った飲み物を取らないようにすることも重要です。
切迫流産と診断されても、妊娠の継続が可能な場合があります。切迫流産の一番の薬は安静にすること。しかし、「動き回らなければ大丈夫」という訳ではありません。なるべく何もしないでベッドに横になり、ゆったりした気持ちでいられるようにし、自分の体や心を労わって過ごしてくださいね。自宅安静を指示されることが多いですが、妊娠週数や状況によっては入院が必要になることもあります。
妊娠中に出血や下腹部痛がおこったらパニックになるかもしれませんが、落ち着いて症状を観察し、医師に相談して指示を仰ぎましょう。
作画/さくら
著者:こばやし れな
生後9カ月の女の子を育てるワーキングママ。