来ないでって言ったのに…
義母との仲がますますこじれる中、私の祖父母が遊びにきました。祖父母は外国に住んでいて頻繁に会うことができません。私の家族と祖父母、水いらずの時間を過ごしたいと思い、祖父母滞在中の訪問は控えてほしいと義母にお願いしました。
しかし義母は聞く耳持たず、わが家を訪ねて「私にはこんなおいしそうな手料理を振る舞ってくれない」と嫌味を言います。それはいつも突然訪ねてくるからで、事前にちゃんと連絡をくれればこれくらいのおもてなしはするのですが……。
次から次へと出てくる義母の嫌味に祖父母は恐縮しつつも、私や娘に次々と海外のお土産を渡してくれました。どれも素敵なものばかりで、私も娘のテンションがあがります。
義母は自分にも何かあると思って目を輝かせていましたが、義母の存在は祖父母にとっては想定外。何も用意はしていません。
だんだんと義母の機嫌が悪くなるのが手に取るようにわかりました。
消えた腕時計
しばらくして、娘が部屋中をウロウロして何かを探し始めました。さっきまでテーブルの上にあった腕時計が見つからないと言うのです。
私は嫌な予感がしました。疑いたくはないけれど、義母が怪しいと思ってしまいます。
そしらぬ顔で義母に「ここにあった時計知りませんか?」と尋ねると、義母は誤魔化すこともなく、「嫁に高級時計は不要!」 とニヤリと笑います。主婦の私には高級時計を持つ資格がないと義母は言い、あっても邪魔だから破壊したと高らかに笑ったのでした。
一気に青ざめた私……。ゴミ箱を見ると、無惨に破壊された時計が捨てられていました。
しかしこれは娘の時計です。大人になったら使ってと祖父母から贈られたもので、「おばあちゃん、私の時計を壊しちゃったの?」 と目に涙を浮かべています。義母は明らかに「ヤバい」という顔をしていました。
あの腕時計は…
それを聞いた祖父母も大慌て! それもそのはず、あの腕時計は、祖父の古い友人からの贈り物だったのです。
義母が破壊した理由を知ることになった2人は激怒。大切な孫娘が嫁いびりされていると聞いたのならば、放っておけるわけがありません。
言い訳もできず、誤魔化すこともできなかった義母は、ヤケクソになって弁償すると言い放ちました。しかし、あの時計はアンティークの1点もの。一般人には一生かかっても返せない金額なのだそうです。
しかし「弁償する」と言った義母を逃しません。バラバラになった時計をすぐに査定に出し、請求額を提示しました。
収入のない義母は、実家や車を売却したものの、到底足りません。再就職先を探し、働きづめの毎日を送ることになりました。
残念な老後確定!
返済のために働いて、休む暇すらない義母。もちろんわが家を訪ねる余裕などなく、それ以来平和な日々を送っています。
あの時計はというと、祖父が腕ききの時計職人を見つけてくれたので、無事修理ができました。娘の宝物として、大切にしまってあります。
いくら相手が気に食わなくても、物を壊してしまうのはよくありませんね。今回は修理できましたが取り返しのつかないものも多くあります。
相性が悪い人がいるのは仕方がないことかもしれません。そんなときは嫌がらせをするのではなく、そっと距離を取るのが良いかもしれませんね。