嫁の抵抗
これまで何でも言うことを聞いていた私が一切何もしなくなり、腹を立てたのは義母でした。しかし義母は私たちの訪問を断ることはせず、「家族の分しか用意していない」と言って、私の分の食事を出さなくなりました。
夫は「自分のおこないが招いたこと」と言って、私を庇ってはくれません。義母が用意した食事をいつもおいしそうに食べ、義実家に行く回数を減らそうともしませんでした。
そんな義実家ですが、ご近所の方たちは本当にやさしく、私が義実家に来ているとみんなが顔を見にきてくれます。私もおしゃべりするのを楽しみにしていました。
外面のいい義母は、ご近所の奥様たちとやっているサークル「刺繍の会」でも「嫁がかわいい」とふれまわっているよう。そのためか、食事時になると「おいしいもの食べさせてもらいな〜」と言って、近所の人はみんな帰ってしまいます。
つまり、義母の本性は誰も知らないのです。
意地悪義母への反撃!
ある日、義母はたくさんの肉を用意していました。どう見てもいつもの人数では食べきれない量です。
もしかしたら私の分もあるかも……? と淡い期待に胸を膨らませていると、義母は白米だけ盛られたお皿を手渡し「今日のステーキも家族分だけ用意したから、あなたはみんなが食べるのを見ながら、食べている『つもり』で楽しんで!」と笑うのです。
私は怒りで震え、涙が堪えられません。その場にいるのも耐えられず、家を飛び出しました。
私が向かったのは、義実家のお隣で「刺繍の会」の仲間でもあるヤマダさんの家。義母の話を信じているヤマダさんは、私と義母が仲良しの嫁姑だと思っています。
泣きながらやってきた私を見て、ヤマダさんはひどく心配そうな顔……。どうやら近所の人を招いて食事会をしていたようで、家の奥からご近所さんがたくさん出てきます。
私はちょっとだけオーバーな演技をしながら「家族じゃないからごはんを用意してもらえない……」と、事情を説明しました。最初はビックリしていた近所の皆さんも、私の話を信じてくれたようで、だんだんと厳しい顔を見せました。
義母の言い訳
ちょうどそこに、義父母と夫が私を連れ戻しにやってきました。「食事中に席を立つなんて、子どもじゃないんだから」「そうだよ! 早く家に帰って一緒に食べよう!」とごまかしますが、ヤマダさんは私を帰さないと言います。
どういうことか? と近所の人たちに問い詰められた義母は、焦って言い訳を始めました。義母によると、私の姑いびりはひどいもので、食事を出してもマズイと言って残される。そんなことが続いたので、だんだんと食事を出さなくなったと言うのです。
あまりにしおらしくなった義母を見て、ご近所さんたちもどちらの話を信じていいのかわからなくなってしまったよう。困った顔をしていました。
義母が迎えた末路
そこで、私はとある画像を見せました。それは、夫と義母が毎日のようにやりとりしているメッセージの画面。夫がリビングでうたた寝をしているとき、手にしていたスマホの通知が見え、私の目に触れることになりました。
夫と義母は、連日私の悪口を言い合っています。夫が義母に送った「慰謝料を払わずに済むように私から離婚を切り出される日を待っている」というメッセージは、しっかり保存しました。
「どうしようもない嫁」「地味で華がない」「他の嫁と交換したい」など、酷い言葉のオンパレードに、ご近所さんも絶句……。
「こんなに愛想がよくて働き者のお嫁さんに、なんて酷いことを……」とヤマダさん。義母は開き直って、他人が人の家庭に口出しするな! と怒り出しました。
しかし、ヤマダさんは「嫁いびりを隠して、何食わぬ顔をしながらウソをつく人がいるなんて……。これは今度の刺繍の会で報告させてもらいます」と、バッサリ!
とにかく人目を気にする義母の表情は一変しました。取り繕うように私に謝りますが、許せるわけもなく、結局義母は拠り所だった刺繍の会も除名になったようです。
その後、私は夫と離婚したのですが、義母からもご近所さんにこれ以上何も言わないことを条件に、なかなかの大金をいただきました。
ちなみに、私は元義実家のご近所さんたちとは今も仲良くしていて、義母の代わりに「刺繍の会」に所属しています。義母はあわよくば戻りたいと思っているようですが、私がいるのでそんなチャンスはやってこないでしょう。
素敵なご近所さんたちでよかったですね。義実家との縁はこれで切れましたが、これからも素敵なつながりを持ち続けてほしいですね。