世間は狭い!
夫は頻繁にヒナノとリョウと飲みに出かけていますが、どうやら費用はほとんど夫が負担しているよう。本当に友だちなのか、疑ってしまいます。
そんな夫は、ヒナノとリョウをわが家に招いてBBQをしたいと言います。BBQと軽く言うものの、準備や片付けを考えると面倒なことばかり。できれば断りたいけれど、夫の顔を立てるために渋々了承しました。
BBQ前日、私はBBQコンロや必要な器具を兄の家に借りにいくことに。ついヒナノとリョウの愚痴を、兄にこぼしてしまいました。
すると兄は怪訝な顔を見せます。兄からヒナノとリョウのことを詳しく聞かれ、答えていると、どうやらヒナノとリョウの広告代理店はデザイナーである兄の会社の取引先なのだそう。それだけでなく、兄はヒナノさんから熱烈なアプローチをされているから驚きです。
ヒナノさんが兄に宛てたメッセージは「一目惚れしちゃった」「運命の人はあなただった」など、見ている私が赤面するようなものばかり。連日連夜メッセージが届いているようで、兄も困り果てていました。
一生懸命準備したのに、私は空気…?
そんなこんなでBBQの日がやってきました。ヒナノとリョウ、夫の3人は、私を手伝おうとする素振りさえ見せずくつろぎだし、ヒナノに至ってはお酒やおつまみを冷蔵庫から勝手に出しています。
私が声をかけても無視。しかし「お肉が焼けた」というときだけは、3人揃って集まってきました。私はまるで空気のような扱いです。
冷蔵庫にあったお酒を軒並み飲まれ、私の分の肉まで食いつくされたことで、私の我慢はリミッターを超えました。そっちがその気なら、私も好きにやらせてもらうことにします。私は、兄と考えたとある作戦を実行しました。
そんなところに不倫の証拠!?
ひたすら私を無視して宴会を続ける3人に、私は焼きたてのお肉を届けました。当たり前のように受け取ったヒナノでしたが、次の瞬間「ちょっと!!!! なによこれ!!」と大絶叫! 男性陣もヒナノさんの視線の先にあったお肉に目をやります。
次に叫んだのはリョウさんです。「おい! おまえ、どういうことだ!」と怒り出して、ヒナノさんのスマホを取り上げます。
実は私と兄は、ヒナノさんが兄に送った熱烈なメッセージを印刷した紙皿を作っておいたのです。さすがの兄! 完璧なレイアウトで「不倫の証拠皿」をデザインしてくれました。
「まだありますよ」私は、ヒナノとリョウが兄との取引でやらかしたミスの数々を印刷したお皿にサンチュやレモンをのせて、リョウに手渡しました。「兄はもう取引をやめると言っています」と伝えると、激怒していたリョウの真っ赤な顔が真っ青になったのでした。
まるで地獄絵図!
ヒナノとリョウは修羅場に突入。その間も私は、次々とオリジナルの紙皿にのせた料理を届けてあげました。
離婚はやめてとリョウにすがるヒナノ。なんとか取引を続けるよう兄に言ってほしいと私にすがるリョウ。まるで地獄絵図のようなBBQでした。
その後、ヒナノとリョウは離婚。広告代理店も、兄の会社に続くように取引停止の申し出があり、あえなく倒産したようです。
そして「ヒナノのこと怪しと思っていた」「実はあんな経営で大丈夫かなと思っていた」と言う夫にも、私は「どの口が言うんだか……」と呆れてしまいます。私たち夫婦も、このままでいいのか、見直さなければならないと密かに感じているのでした。
友人を大切にするのはとても素敵なことですが、だからといってパートナーをないがしろにしていいわけがありません。パートナーが付き合う人には、せめて人を思いやる気持ちや常識は持っていてほしいと思ってしまいますね。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。