テレビは便利な存在ですが、赤ちゃんに見せてもいいのかと戸惑うママもいると思います。ここでは、赤ちゃんにテレビを見せてもいいか、日本小児科学会が2004年におこなった提言、赤ちゃんにテレビを見せるときの注意点をお伝えします。
赤ちゃんにテレビを見せてもいいか
大人にとってはあまり気にならないテレビの音や色、光などは赤ちゃんにどのような影響を及ぼすのでしょうか。
大きな音を聞き続けると、大人でも聴覚器官がダメージを受けることがあります。赤ちゃんにも同様のことがいえるでしょう。赤ちゃんの聴覚に問題が生じていることに気づかず、放置しておくと、言葉を正確に聞き取れず発音が悪くなるなど、言葉の発達の遅れにつながることもあるといわれてます。
また、生まれたばかりの赤ちゃんはほとんど何も見えていませんが、成長とともに視力が上がり、1~3歳ころには1.0までになるといわれています。今のところ、テレビを見ることが赤ちゃんの視力低下に影響を及ぼすというような医学的根拠はないようです。しかし、近視は近くのものを見ることによって進行するといわれているため、視力の低い赤ちゃんがテレビに近づいて映像を見ることが視力に影響を及ぼす可能性もゼロとはいいきれません。
そしてテレビの音、光、色の変化、情報の多さは、赤ちゃんにとって刺激が強いものといえます。これらの刺激を多く受けることによって、赤ちゃんの寝つきが悪くなったり夜泣きの原因にもなるともいわれています。
日本小児科学会の「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」
日本小児科学会は、2004年に「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」をおこなっています。
●「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」
1.2歳以下の子どもには、テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう。内容や見方によらず、長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります。
2.テレビはつけっぱなしにせず、見たら消しましょう。
3.乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう。見せるときは親も一緒に歌ったり、子どもの問いかけに応えることが大切です。
4.授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう。
5.乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう。見おわったら消すこと。ビデオは続けて反復視聴しないこと。
6.子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう。
※引用:日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会
「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」では、テレビの長時間視聴による子どもの言語発達への影響とともに、テレビを見せるときの注意が書かれています。つまり、赤ちゃんにとってテレビを見せることがよくないのではなく、テレビの見せ方・見方が大切だといえるのではないでしょうか。
赤ちゃんにテレビを見せるときの注意点
●テレビの視聴時間
「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」では、テレビの長時間視聴はよくないといっています。多くの小児科医の見解は2時間以内を目安としているので、その範囲で注意しながら見させるようにしましょう。
●テレビを見るときのルールをつくる
テレビの視聴時間だけでなく、「乳幼児のテレビ・ビデオ視聴に関する提言」にもあるように、テレビはつけっぱなしにせず、見たら消す。授乳中や食事中はテレビをつけない。ビデオは続けて反復視聴しないなど、ルールを守ってテレビを見るようにしましょう。
●コミュニケーションも忘れずに
子どもの言語の発達は、誰かとのやり取りによって発達していきます。テレビからの情報は一方的で赤ちゃんが話しかけても反応がありません。テレビを見ながら、親が一緒に歌ったりお話ししたりして、赤ちゃんとコミュニケーションをとりながら見るようにしましょう。
※参考:ベビーカレンダー「赤ちゃんにテレビを見せても大丈夫?いつから見せられる?メリットとデメリットは?」
先輩ママたちの体験談
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子どもが1歳を過ぎたころ、好きなアニメをつけると集中して見てくれることが多くなったので、手が離せないときにテレビに頼ることが増えていきました。気がつけば、1時間以上が経過していたことも。こうしたテレビとの生活を小児科医に指摘されたこともあり、わが家なりのテレビのルールを決めることにしました。1回に見せる時間は15分以内、1日に30分以内を目標にすることに。また、わが家ではテレビを見せるときに、なるべくひとりにしないように気をつけています。テレビ内容に一緒に共感してあげることで、双方のコミュニケーション体験もできると思っています。もうひとつ、わが家で決めているテレビのルールがあります。それは食事中はテレビを消すことです。いちばん大切なことは家庭なりのルールを決めることだと思っています。これからも貴重な時間をテレビだけに当てないようにしていきたいです。(田中由惟さん)
- わが家では時間はもちろん気にしますが、テレビを見せているときの大人の過ごし方にいちばん気をつけています。大人の反応次第で、テレビも子どもの成長が見られるひとつのツールになると思います。テレビは一方的に情報を発信するツールなので、子どもが何か問いかけても返ってくることはありません。テレビとの一方的な時間が長ければ長いほど、子どものコミュニケーションの機会が奪われていきます。そこでわが家では、子どもと一緒に楽しむことを忘れないようにしています。テレビは上手に使えば、子どもにとっても大人にとっても楽しい時間になります。年齢に応じて工夫された番組も多く、キャラクターなども魅力的なので、子どもの反応をしっかりと見ていると、歌ったり踊ったり、言葉が出たりと成長しているところを感じることができます。また食事中はテレビを消すなど、メリハリをつけることも大切だと思っています。(mingoさん)
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テレビっ子で育った私たち夫婦。息子がテレビを見るようになってきた1歳過ぎからは、子ども向け番組も一緒に楽しんでいます。子どもと一緒になって、歌ったり踊ったり、言葉を教えたり。さらに、電車が出てくるDVDが大好きになった息子は、繰り返し見ているうちに新幹線や各種電車の名前を自分で覚えていきました。注意点は、テレビに長時間釘付けにさせないこと。公園などに連れ出し、適度に外遊びもさせるように気を付けています(唐木田幸さん)
赤ちゃんにまったくテレビを見せないというのは難しいかもしれませんが、テレビを見せる時間を決めたり、ママやパパも一緒に見て子どもの問いかけに応えてコミュニケーション手段にするなど、テレビとじょうずに付き合っていけるよう工夫するといいですね。