ママ友は「妊婦様」
何度も断る私に、ママ友は「国の未来を担う子をおなかで育てているのだから協力すべき」と強く主張します。言っていることはわかりますが、こういう人がいるから世間一般の妊婦や母親像の印象が悪くなってしまうのではないでしょうか……。頑張っている人たちもいると思うと、許し難い気持ちになってしまいます。
ある日も朝からリナちゃんを連れてきた彼女……。妊婦であることを盾にされ、また悲しそうな顔をするリナちゃんを前にすると、強く言えずに受け入れてしまいます。
夫からひと言言ってもらったこともありますが、「男には妊婦の気持ちがわからない!」 とキレられるだけでした。
彼女が出産するまでの我慢だと思ったものの、もしかしたら出産しても、産後の疲れが……と言い出して、新生児を預けかねません。今のうちにどうにかしなければ……。私はある作戦を考えました。
ママ友の隠し事
それから1週間、ついにママ友をこらしめる準備ができました。夕方、いつもどおりわが家にママ友が迎えにきたので、私は探しておいた託児サービスのチラシを渡しました。
「預けるところがないって言ってたでしょ? ここ、空きがあるみたいだよ!」というと、ママ友は勝手なことをするなと怒り出します。さらには、私が勝手にやったことで、ここに預ける代わりなのだから責任を持って託児料を支払えと言い出す始末。
出産とこれからの養育にお金がかかる自分には払えない、国の未来を支える子どもを産んであげるのにそんな仕打ちをしていいのかと大威張りです。
そんな話をしている最中に、ママ友の単身赴任中の夫がやってきました。もちろん呼んだのは私です。
「妊娠をしているのに教えてもらえないなんて悲しいなぁ」と、ご主人。現在何カ月かと尋ねても答えないママ友に「このおなかだと4カ月くらい? それなら単身赴任中だし……おかしいな」と不倫を疑うようなことを言いました。
焦ったママ友は、不倫を否定。妊娠は、託児をしてもらうための嘘だったことを白状しました。
本当にその嘘、必要?
ママ友が妊娠していないことに私が気付いたのも、ごく最近のこと。あまりにおなかが大きくならないのでご主人に聞いてみたところ、そんなことは知らないというので、確信を持ちました。
ママ友は、「夫が家族をないがしろにしたせい」「リフレッシュのために必要な嘘だった」と主張しますが、だからと言って私の家に無理やり子どもを預けるのはどうかと思います。
ワンオペである自分は悲劇のヒロインであるとでも言うようにぎゃーぎゃー騒ぐママ友。結局、ご主人に連れられて帰っていきました。
その後、彼女はご主人の単身赴任先に引っ越しをすることになったのでした。
ママ友のその後
単身赴任先はご主人の実家のすぐ近く。だからこそ付いていきたくないと言っていたママ友でしたが、問答無用で決まったようです。
お姑さんは子煩悩だけれど厳しい人だと聞いているので、人として叩き直されるかもしれません。しかしリナちゃんにとって、成長を見守ってくれる大人が増えるのは好ましいことでしょう。
そして、今でもわが子とリナちゃんはとても仲良しで、頻繁にテレビ電話で会話をしています。今度久しぶりにこちらに来るようなので、再会を家族で楽しみにしています。
他人の子どもを預かることには、少なからずリスクが伴います。子育てをする中で頼り合うことはとても重要なことですが、何事にも限度がありますね。
また、そんな中でも子どもを預かってくれる人の存在はとてもありがたいもの。当たり前だと思わずに、しっかりと感謝する必要があるのではないでしょうか。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。