仕事中に突然の訃報
60代の知人が、30代のころに体験した話を聞かせてくれました。彼女は夫の家業である花屋を夫と義両親と一緒に営んでいました。
知人がどこから仕事を片付けるか悩んでいると、義両親はすかさず「あなた、ここの花を飾ったら次はあっちね」と、効率的に動けるように的確な指示をしてくれます。知人はそんな義両親を尊敬しながら、毎日働いていました。
ある日、一本の電話が入りました。それは、夫の親戚であるAさんの妻からからAさんが亡くなったという連絡だったのです。知人は電話を切ると、花を仕入れに行っている夫と義両親にAさんの訃報を伝えることに。葬儀は明日ですが、明日もお客さんからの注文が入っていてお店を休むことはできない状況。そのため、葬儀には行かずに四十九日などで手を合わせに行くか、義両親だけ葬儀に参加するのか……、いろいろパターンを考えました。
葬儀で夫がまさかの行動
家族みんなで話し合った結果、知人夫婦が先に葬儀に参列し、義両親は間に合えば参列するということに。知人は、喪服をクローゼットから出し、お香典の準備を整えてから眠りに就きました。
翌日、知人夫婦は葬儀が執りおこなわれるAさんの自宅に向かうことに。Aさんの家は昔ながらの平屋で、畳の広い部屋に多くの人が正座していました。
葬儀は進み、順番にお焼香をすることに。知人は、お焼香のマナーについては自分の両親から教えてもらっていたので、自分より先にお焼香をする夫を「次はこうやるだろう」と予測しながら見ていました。
すると夫は、先程までお坊さんがお経を唱えているときに座っていた、立派な金の刺繍が施された分厚い座布団を、当然のように自分の前に引き寄せました。そして、その座布団に座ってお焼香を始めてしまったのです。
知人は、夫の行動があまりにも予想外すぎて固まってしまいました。そして、われに返るころには夫のお焼香は終わっていたのです。次は知人の順番だったので、慌てて座布団を元の場所に戻し、お焼香をしました。
元の座っていた場所まで戻ると、知人は隣に座る夫に「あの座布団、座っちゃダメよ」と指摘すると、夫は「え、そうなの? 知らなかった」と注意されてもあっけらかんとした表情を浮かべるだけ。そんな様子を見て、知人はあきれるしかありませんでした。
この親にしてこの子あり
思っていたよりも早く仕事を切り上げることができた義両親から「今からそっち(葬儀会場)に向かう」と連絡が来たので、到着を待つことに。到着した義両親の姿を見た知人は思わず「お葬式なのに、その格好ですか?」と口をついて言ってしまいました。
義両親は2人とも喪服ではなく、黒っぽいTシャツに黒のデニムズボンというカジュアルな格好で登場したのです。かろうじて黒い服は着ていましたが、誰がどう見ても普段着。「仕事終わりだから仕方ないでしょー」と義母が言いながら、受付に進んで行ってしまいました。この時点で知人は、頭から火が出そうなほど恥ずかしい気持ちになっていましたが、この後も義両親の仰天行動は続いたのです。
義母が受付で取り出したお香典を見てさらに驚きました。そこには薄墨ではなく、通常よく使う濃さの筆ペンで「御仏前」と書かれていたのです。ここまで来ると、知人もどこから突っ込んでいいのかわからなくなっていました。
夫に「ねぇ、あれを見て恥ずかしくないの?」と聞いてみると「何が?」と葬式のマナーを何も知らない様子。そして、まさかそんなはずはないだろうと思いましたが、義両親は夫と同じようにお坊さんの座布団に座り、お焼香を始めたのです。知人は、「この親にしてこの子ありだわ」とあきれ返りました。
夫と義両親と帰宅すると、「もう、あんな恥ずかしい思いしたくない!」と葬式の作法をたたき込んだそうです。教えているときの知人の表情がよっぽど怖かったのか、夫と義両親はおびえながらひたすら聞いていたんだとか…… 。
まとめ
今回の夫や義両親のように正しい作法を知らず、大勢の人の目があるところで堂々と間違った作法をしてしまえば、一緒に参列した人に恥をかかせてしまいかねません。私も、周りの人に恥ずかしい思いをさせてしまわないよう、日ごろから日本人としての正しい作法やルールの知識を身に付けておかなければいけないと思わされました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:勝 さとみ/30代女性・ライター。2015年生まれと2020年生まれの2人姉妹を育てるシンママ。肌の悩みが多く、よくSNSでおすすめのスキンケア情報などを収集して試して、日々美肌研究中!
イラスト/マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年9月)
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