同じ大部屋のお母さんが声をかけてくれた
入院した翌日に息子の手術がおこなわれ、終わったのは6時間後でした。その間、不安の中で私が病室で待っていると、2歳の男の子のお母さんが「どちらから来られましたか?」と声をかけてきてくれたのです。
お互いにどこから来たか、入院することになった経緯などを話しました。なんと、2歳の男の子とそのお母さんは、1カ月以上入院しているとのこと。退院する目途がたっていないことも知り、私はなんと声をかけてよいのかわかりませんでした。
息子が号泣! そのとき…!?
息子の手術は無事に終わったのですが、翌日息子は点滴がつながっていることが怖くて取れるまで横になっていました。私が朝ごはんの給食のお皿を私が返してくると言うだけで、息子は号泣。息子は動きたくないので、私が少しでも離れてしまうことに不安になったようでした。
息子が泣き始めてすぐ、2歳の男の子のお母さんが私に「私がそばにいるから行ってきて」と言って、息子には「大丈夫だよ」と声をかけてくれたのです。自分の子を抱っこしながら来てくれたお母さんに、私は感謝を伝えて、お皿を返しに行くことができたのです。息子は終始泣いてはいましたが、翌日から息子からあいさつをするようになりました。
その後も退院するまでの3日間、そのお母さんはさりげなく話しかけてきてくれたり、息子にもやさしく接してくれたりしました。
そして、退院日に私はそのお母さんに手紙を渡すことに。手紙には私たちを気にかけてくれたことへの感謝の気持ちと、1日でも早く息子さんが回復できるように祈っていることを書きました。
私は、入院中に出会ったこのお母さんのやさしさで、とても心が軽くなりうれしくなったことをこの先もずっと忘れることはありません。私自身、自分の子どものことで不安でいっぱいだったので、他人からのやさしさにとても感謝した出来事となりました。
入院中の子どもに付き添う保護者の中には、不慣れな環境でしんどくなったり、イライラしたりしていた方もいました。そんな中、自分の子どものことでつらい思いをしているのに、他人にやさしくできる2歳の男の子のお母さんを見て、私もどんなときでも強くやさしい人になりたいと思いました。
著者:北川さくら/30代女性。2018年生まれの男の子、2019年生まれの双子の女の子を子育て中のママ。幼稚園を2年、認定こども園を2年の勤務経験あり。自身の経験をもとに妊娠、出産、育児の体験談を執筆している。
イラスト:キヨ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年10月)