私のことをお荷物と呼ぶ夫は、自分に養ってもらっているのだから口答えするなと圧をかけてきます。
仕事が嫌で辞めたわけではない私は、それならまた仕事を始めようと思いましたが、夫は反対してきます。私が働けば世間に迷惑がかかる、人に言われて辞めるような人間には責任感がないから働く資格がない、家事と仕事の両立なんて能力のない私にはできっこない……。夫は、私のやることなすことすべてにケチをつける人。そのたびに、私の心はすり減るのでした。
私って、やっぱりだめねぇ〜♪
私が夜、居間でゴソゴソしていると、寝室で寝ていた夫が声をかけてきました。こんな夜中に何をしているのだと問われ、掃除をしていると答えた私。昼間にできなかったので、夫が寝てから静かにやっていたのですが……。気づいてしまったようです。不覚!
家事すら昼間のうちにテキパキできないとはあきれたものだと、夫はなげきました。私は、のろまな自分を反省し謝罪。ちゃんとやっておくので、安心して寝てほしいと伝えました。「これじゃ、念願の仕事再開も不可能だ」 と夫。「本当にこんな私ではみんなに迷惑をかけてしまうし、仕事なんて無理ね」 そう言う私に、夫はようやく自分を客観視できるようになったのかと、満足そうな顔をするのでした。
この際だから、夫を思いっきりヨイショしました。立派に働いている、仕事のできる夫に、自分はあこがれているのだと告白すると、自分は雲の上の存在だから俺と同じようになろうだなんて高望みはやめておけと……。
夫は「俺に養われていたらいいんだ」と言うので、私はこれからもよろしくねとお願いしておきました。
本当に、馬鹿で役立たずなのは…?
法事で親戚一同が会した日、なんと夫は、その場で私のことを見下す発言を繰り返したのです。「お前は馬鹿で役立たずの嫁なんだから」そう夫が言ったとき、親戚一同があざ笑うかような態度を示してきました。
みんな自分の意見に同意していると、信じて疑わない夫。自分はできる人間だから、客観的な見方ができて、私のことも的確に評価できるのだと思っているようです。
「俺のすごさを思い知ったか?」
「お前は親戚一同の笑い者だ」
自慢げな夫でしたが……あれ?できる人間なのに、自分を客観的に見られていないのでしょうか??
「笑われていたのはあんただよ」
「安月給のヒモ旦那って」
何もわかっていない痛々しい夫。私が何カ月も前から働いていることに全然気づいていないようでした。
実は、夫の専業主婦をバカにする態度や、再就職の話などを私は義母や親戚の人たちに相談していたのです。再就職は、伯父の紹介で叶いました。そのため、私がどんな仕事をしていて、月給がどれほどかということを、親戚のみなさんは知っているのです。
それを知っていて夫の話を聞けば、あざ笑ってもおかしくありません。自分の3倍の月給を稼ぐ妻に向かって、「馬鹿で役立たず」だなんて言っていたのです。私も、笑いをこらえるのが大変でした。
できる人間と自負したイタすぎ夫の末路
夫は入社10年もたつのに、万年平社員。入社当初と大して変わらない給料しかもらっていません。それに比べ、私は出世コースを歩んでいた身。寿退社するとき、上司がかなり引き留め、残念がったくらいです。
そんな私も、再就職したばかりのころは、家事と仕事の両立に苦闘しました。夫にバレてはいけないと思っていたこともありますが……。夜中に掃除をしていたのも、そのためです。しかし、もうこれからは堂々と仕事ができます。
そんな中、生活が一変する出来事が起こりました。なんと夫がリストラを勧告されてしまったのです。よって、今では私が一家の大黒柱。夫は家事を担当していますが、スキルもなく、時間もかかりすぎ。今まで私に言っていたことが、そのままブーメランのように自分に返ってきている状態です。やっと主婦の大変さが身にしみたことでしょう。
しばらく様子を見ていましたが、夫は主婦として満足に働けておらず、努力も見えません。私は義母の後押しもあり、離婚を決意しました。夫の今までの態度には、義母もあきれていたのです。そして、「無理しないで離婚していいんだよ」と言ってくれました。夫がリストラされる前からずっと私に同情してくれていたのです。
許してくれと夫に泣きつかれても、離婚すべきだと判断しました。家族を思いやれない自己中な夫のおかげで、さんざん苦しめられてきたので、今さら謝られても傷は消えないのです。これからは、自分の幸せを考えて生きていこうと決めました。
やってしまったことや言ってしまったことは、取り消せません。今回のことをきっかけに改心して、他者を思いやれるようになってくれると良いですね。
心を許しているからこそ、子どものように甘えて、威張ってしまうのかもしれませんが、客観的に自分を見つめ、相手のことを考え、行動できるようになりたいものです。
【取材時期:2024年10月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。