回転寿司でガリとお茶だけ……それって無料?
その親子が来店して1時間ほど経ったころ、何やらレジ付近で騒ぐ声が聞こえました。様子をうかがうと、そこにはあの母親の姿が。ものすごい剣幕で怒っており、対応している店長はとても困った顔をしています。
あとから話を聞いたところ、その親子はガリとお茶しか飲み食いしていないので支払いはゼロだと主張したそう。ガリやお茶は食事をされた方へのサービスだと説明しても、そんな注意書きはどこにもないと言われ、結局支払いはせずに帰っていったのだとか……。
要注意人物として、私たちは彼らをマークすることにしました。
衝撃の瞬間を目撃
翌週、何食わぬ顔で来店した親子は、また無料のガリだけを食べ、お茶を飲んでいました。さすがに見逃せず、再び、無料提供商品はお寿司を召し上がるお客様へのサービスであることを告げると、悪態をつきつつも、100円の皿のお寿司を数皿注文。母親は苦虫をかみつぶしたような顔で店を後にしました。
さすがにもう来ないのではないかと思っていた、その数日後、親子は再び来店。またしても100円の皿のお寿司を数皿頼んでいました。
ほっとしたのも束の間、通常2貫のっているはずなのに1貫だけになった寿司の皿がレーンを回っていることに気付きます。次の瞬間、私は衝撃の光景を目撃! なんと、親子は回っている皿の寿司を、人目を盗んで1貫だけとって食べていたのです。
何度か繰り返していたので、その様子はきちんと動画に収めておきました。
私は彼らが手をつけて1貫だけになった皿を回収し、親子の目の前に並べました。母親は知らないと言い張りますが、私には証拠の動画があります。それを見て母親は罪を認めました。
1貫しか食べていないから半額!?
しかしこれだけでは終わりません。母親は、1貫ずつしか食べていないのだから支払いは半額だと主張します。1貫だけになったお寿司はほかのお客様には出せないので、廃棄するしかありません。そうなる以上、支払う義務があると思うのですが……。
らちがあかないので、こっそり警察を呼んだ私たち。到着を待っていると、店の駐車場に停まったパトカーに気付いた母親が急に席を立ち、帰ろうとしました。自分に非があるとわかっているのでしょう……。
しかしこの親子を野放しにするわけにはいきません。こんなふうに外食をするのが普通だと、子どもにも思ってほしくありません。
店のドアを出ようとする親子を阻止しようと小走りになったところ、親子の向かいに座っていたお客様が立ち上がり、出入り口のドアを通せんぼ! 無事警察に引き渡すことができました。
子どもに恥じない行動を
そのお客様は、お寿司の盗み食いにいち早く気付いていたよう。一部始終を見ていたそうです。子どもの教育にも良くない! と憤慨していました。
親子は他の飲食店でも同じような行為を繰り返していたそう。とりわけ、サービスの漬物を3つもテーブルに置いている近所の天ぷら屋さんは、漬物だけを頻繁に食べに来られて困っており、警察に相談していたとのことでした。
その後、コロナ禍を経て、うちの回転寿司店はオーダーされたお寿司を席に届けるシステムになり、近所の天ぷら屋さんも漬物のテーブル置きをやめました。あれ以来、あの親子が来ることもありません。
あの母親が自分の行動を改め、同じようなことを繰り返していないことを願うばかりです。
子どもにモラルや道徳心を教えるのは親として大切なこと。大人は、子どもたちの見本になるような行動を心がけたいですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。