牡蠣の「生食用」と「加熱用」はどう違う?
“生食用のほうが新鮮?”と思う方も多いかもしれませんが、実は「生食用」と「加熱用」は“育った場所”が違います。
牡蠣は1日に約300Lもの海水を吸い込んで成長するので、海中にいるノロウイルスや食中毒菌が体内に蓄積されやすいのが特徴。
そのため、保健所が指定した安全な海域で獲れたものは「生食用」、それ以外の海域で育ったものが「加熱用」と区別されています。
また、「生食用」は出荷前に滅菌処理をする決まりもあり、厳しい基準を設けることで食中毒のリスクを抑えているんです。
どちらにも良さがあるので、つるんとした食感を楽しみたいなら「生食用」、鍋やフライにするなら「加熱用」を選びましょう。
生で食べる?それとも火を通す?栄養を無駄なく摂る方法
牡蠣には、肝臓のサポートや視力回復に役立つ「タウリン」、貧血予防に効果的な「ビタミンB12」など、体に嬉しい栄養素がたっぷり。
これらの成分は水に溶けやすいので、煮たり茹でたりする際に煮汁に流れ出てしまいます。
そのため、栄養を効率よく吸収したいなら生食がおすすめ。
加熱する場合は、鍋料理やスープなどにして汁も飲み干すと無駄なく摂れますよ。
下ごしらえのコツは「塩水」にあり
「生食用」は、滅菌処理と洗浄した上でパック詰めされているので、水洗いせずにそのまま食べられます。
一方、「加熱用」は洗われていない場合があるので、汚れとぬめりを取ってから調理しましょう。
真水で洗うと水を吸って味が薄くなってしまうため、海水に近い濃度の塩水で洗うのがおすすめ。
ボウルに水500mlと塩大さじ1で塩水を作り、牡蠣を入れて身がつぶれないように優しくこすります。
汚れが取れたら水気を切ってペーパータオルで拭き取りましょう。
※「生食用」も商品によっては「軽く洗ってください」と案内されていることがあります。パッケージの表示を確認し、指示に従ってください。
牡蠣鍋にするならコッチ!
寒い季節、熱々の牡蠣鍋で温まるのは最高ですよね。お鍋に入れるなら断然「加熱用」がおすすめ。
河口近くの沿岸や湾内は栄養分やプランクトンが多いので、そこで獲れた「加熱用」の方が身が大きく、旨みも凝縮されているんです。
しかし食中毒のリスクが高いため、しっかり火を通してから食べるのが鉄則!
二枚貝に含まれる「ノロウイルス」は、中心部を85〜90℃で90秒間以上加熱をすれば感染性がなくなるといわれています。お鍋にするときは加熱時間にも注意しましょう。
また、触った後はハンドソープでの手洗いを忘れずに。
「生食用」と「加熱用」を鍋にして食べ比べてみた!
「生食用」と「加熱用」とでどんな違いがあるのか、鍋にして実際に食べ比べてみました。「加熱用」の方が身が大きくなりやすいといわれていますが、見た目はほぼ変わりません。
まず「生食用」から食べてみると、なんだか物足りない……。牡蠣特有の旨みとコクが薄い印象です。
続いては、「加熱用」。
これこれ!口に入れた瞬間、磯の香りと濃厚な旨みが押し寄せてきます。
目をつぶって、どっちがどっちかわからない状態で食べても、明らかに違いがあります。
食べ比べてみるのは初めてだったので、こんなにも差があるのか!と驚きました。
違いを知って牡蠣をもっと楽しもう
牡蠣は「生食用」と「加熱用」で育つ環境や出荷前の処理方法が異なり、それぞれに合ったおいしさと楽しみ方があります。
「生食用」はつるんとしたのど越しとほのかな潮の香り、「加熱用」は濃厚な味わいとクリーミーさが魅力。
特徴や向いている調理法、下処理方法を覚えて、旬の牡蠣を存分に楽しみましょう。