結婚式を間近に控えた私のもとに、「お姉ちゃん、ついに彼と結婚するんだって!?」と連絡してきた妹。今まで私にも私の婚約者にも一切興味なんてなかったのですが……!?
妹からの略奪宣言
「高学歴な男は必ず高収入になる」「だから私は絶対に高学歴の男としか結婚しない」が口癖の妹。私の婚約者が地方大卒であることを知った途端、私たちの結婚に対しての興味をなくしていました。
しかし、その妹が「私、お姉ちゃんの婚約者の彼のこと、見直したわ!」と言ってきたのです。
どうやら妹は、母から私の婚約者の職場が大学だということを聞いたそう。
「まさかあの大学に彼がいるなんて……!」「地方大学卒でも、あの大学で働けるなんて超賢い人じゃない!」「だから、お姉ちゃん、彼を私にちょうだい」
独自の理論を展開したうえで、婚約者を譲れと言う妹。私が「ふざけたこと言ってんじゃないわよ」と怒ると、「くれないなら、力ずくで奪ってやるまでよ」と妹は不敵に返してきたのでした。
婚約者の裏切り
数カ月後、私の結婚式前日――。
「明日の結婚式は中止だ!」「今すぐ俺と別れてくれ!」と連絡してきた婚約者。
突然のことに驚いた私。心を落ち着けて事情を聞くと、「俺はお前との結婚をやめる」「そしてお前の妹と結婚する、いや結婚しなきゃいけないんだ」「俺、あの子を妊娠させてしまったんだよ!」と婚約者。
私に隠れて、婚約者と妹は浮気をしていたのです。「つまり、あなたが原因の婚約破棄ってことね」「私との結婚を白紙にするつもりなら、それ相応の慰謝料を払ってもらうわよ」と言うと、婚約者は「浮気されたっていうのに、冷静に金の話かよ」「まぁ俺は責任を果たす男だから、慰謝料は言い値で払ってやる」と開き直った態度。
「仕事も寝坊しないし、家事も完璧……そんな完璧人間のお前と一緒にいると、息が詰まってしょうがなかったんだ」「全然泣きもしないし、すがっても来ない」「そういう可愛げのないところが嫌だったんだ」
まるで私にも非があるかのような物言い。「一緒にいると息が詰まる」「可愛げがない」という婚約者の言葉が頭から離れず、私はしばらく落ち込むことになるのでした。
それから1時間後――。
「ごめんね、宣言通りに彼を奪っちゃった!」「今、彼が婚姻届を提出しに行ってくれているわ」「結婚前日に婚約破棄されちゃうなんて……お姉ちゃんったら恥ずかしい」と勝ち誇ったような態度で連絡をしてきた妹。
「姉の婚約者との略奪婚のほうがずっと恥ずかしいわよ」と言うと、妹は「うるさいわね!」「お姉ちゃんよりも私のほうが、有名大学教授の妻にはふさわしいんだから!」と言ってきました。
「婚約者奪われて悔しい?w残念だけど諦めてね♡」
「大学教授の妻になるなんて夢みたい…♡」
「誰のこと言ってる?」
「え?」
婚約者の仕事内容
妹は私の元婚約者のことを「いずれ大学教授になる男」だと思っているようですが、実際は教授秘書。研究に関わっているわけではなく、メールチェックやスケジュール調整などがメインの仕事です。
「で、でも秘書になれるってことはそれだけ教授から目をかけられている秀才ってことでしょ?」「給料だって軽く1,000万は超えるんじゃないの?」と焦ったように言う妹に、「今回のお仕事は学歴不問で普通に募集されていたわよ?」「手取りは20万を超えるくらいね、福利厚生はいいみたいだけど昇進もないし」と真実を伝えました。
「それに、彼が教授秘書を始めたのもつい最近よ」「彼は前職での人間関係がうまくいかなくて、私が教授秘書の仕事を紹介したの」「私の友だちがその大学で准教授として働いていてね……あ、でも友だちは女性だから乗り換えようとしても無駄だからね?」
「そ、そんな……」と言う妹に、さらに事実を伝えます。「たしか教授秘書の仕事は1年間の契約だったはずよ」「安定職ではないから、そのあたりも彼と一緒にしっかり考えておきなさい」
数時間後――。
真実を知った妹が慌てて連絡するも、私の元婚約者はすでに婚姻届を提出してしまっていたそう。
「今すぐ離婚したい!」「お姉ちゃんが教えてくれなかったのが悪いんだから、責任取って養育費を月10万払いなさいよ!」
私はため息をつき、「これ以上ふざけたことを言うなら、慰謝料を請求するわよ」「もし今後二度と私に関わらないと約束するなら、慰謝料の請求はやめてあげる」「おなかの子どもに罪はないし、その分子どもを育てるために使ってほしいわ」と言いました。
続けて、「あと、両親には全部私から話しておいたから」と言うと、妹は「なんですって!?」と絶叫。「実家を出されたら私の行く場所がなくなるじゃない!」「もうこのまま彼と結婚生活を続けるしかないっていうの!?」と言う妹に、「追い出されて当然のことをしたのはそっちじゃない」とだけ告げました。
その後――。
怒り心頭の両親に家を追い出され、妹は私の元婚約者の家に転がり込むことに。妊娠中だったこともあってか、元々の性格なのか、妹は暴れたり泣いたりを繰り返しているようです。彼から「もう彼女と夫婦生活は続けられない、復縁してほしい」と連絡がありましたが、「妹を妊娠させたんだから、ちゃんと責任取ってください」とだけ言ってブロックしました。
准教授の友だちによると、昼夜問わず暴れる妹に疲弊した元婚約者は、仕事でもミスを頻発。結局、契約は今年いっぱいと告げられたそうです。
私は結局やらずに終わった結婚式の後片付けをしながら、招待客に事情を説明。「こんな真面目で品行方正な女性はなかなかいないのに」と言ってくれる人が多かったこともあり、徐々に自信を取り戻しました。今後は地道に婚活をしてみようかなと思っています。
【取材時期:2024年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。