女性警備員を嫌う上司
私の仕事は「また今日も女と勤務か」という男性上司の嫌みから始まります。もう30年以上も警備員として働いている上司は、とにかく女性警備員が気に入らないようです。
上層部にもコネのあるこの上司は、私をクビにしようとしたことも。しかしそのときは上層部が昨今のジェンダーレス風潮を鑑みてしり込みしたのか、いったん保留に。それ以来、私と当番になるときはあからさまに嫌そうな顔をするのでした。
そんなあるとき、1週間連続でこの上司と同じシフトに当たってしまいました。
「それで警備のつもりか?」とあざ笑い、「突っ立っているだけじゃなくてちゃんと周囲を見渡せ! 俺の足を引っ張るな!」といちいち突っかかってくるのです。
しかしこのときの私は巡回を終え、しっかりと警備員としての勤めを果たしていました。他の警備員と同じように業務をしているのに……と、私の不満は爆発寸前でした。
不審者が侵入!?
こうして3日目、警備していたビルの10階でトラブルが発生しました。どうやら、凶器を持った不審者が侵入した様子です。マニュアルでは「トラブル発生時は2人で対応」と決められていたため、私は上司とともに現場へ向かおうとしました。
しかし上司は、「女が現場に来たって何の役にも立たないんだよ! お前は、マネキンみたいに一生突っ立っていろ!」と怒鳴り、ひとりで現場へ直行したのです。
私はマニュアルに従うべきか悩みましたが、こんなふうに言われては同行する気にもなりません。それでも彼に何かあったときは対応できるよう、すぐに動ける準備は整えていました。
あれでも一応ベテランだから大丈夫だろうと思っていたそのとき、無線で連絡が。
「あ、相手が思ったよりデカいんだ……。お前でもいないよりはいい、サッサと来い!」と偉そうな態度で私を呼びつけたのでした。
得意技は背負い投げ!
この要請を受け、現場に急行した私。到着するなり「何をやっていた、もたつきやがって! だから女は!」と言われてイラッとしましたが、緊急事態の今、無駄口をたたいている暇はありません。私は廊下の奥にいる不審者を撃退すべく体勢を整えました。
不審者は身長180cmを超える大男。しかし私は、一瞬の隙を見て背負い投げを決めることができました!
というのも私、実は柔道有段者。得意技がバッチリ決まり満足です。ところが上司はというと、いつの間にやら私とビルの利用客を置いて逃走していたのです。おまけに、後日その上司が作成した報告書には、単身で不審者対応をしようとしたことや、ひとりで現場から逃げた事実は書かれていませんでした。
しかし、この虚偽の報告は、目撃者の証言によりすぐにウソだと判明。警備員が持ち場を捨てて逃げたことが問題視され、彼は降格となりました。一方の私は、今回の功績を買われて昇格。今では男尊女卑の元上司を部下に持つ立場となりました。
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女性だからという理由で彼女を見下していた上司。しかし、彼女には実力もあり、十分警備員として働ける人材でした。見た目や性別だけで人を判断してはいけませんね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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