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2024年の出生数は約69万人!愛子さまを取り上げた医師が語る!少子化対策のカギは「卵子老化」と「プレコンセプションケア」

令和6年(2024年)12月24日、厚生労働省は令和6年10月分の人口動態統計速報を公表しました。速報値などを基に計算した結果、令和6年の出生数は68万7,081人になるとの見込み。昨年の出生数72万7,288人(確定値)よりも5.5%程度減る見通しとなりました。

下げ止まらない日本の少子化。ベビーカレンダーは2024年11月、1人以上の子どもを出産した経験があるベビーカレンダー会員ママ432人を対象に、妊娠・出産への意識調査をおこなったところ、全体の約半数(47.22%)が「現在の子どもの人数はもともと希望していた人数ではない」と答えており、その理由として養育費や教育費の負担など経済面を挙げる人が3割以上(32.7%)いることがわかりました。

 

しかし、課題は経済面だけではありません。
 

希望人数の子どもを持てない大きな理由は「年齢」と「仕事」!

アンケートでは、希望していた人数ではないと回答した人に「希望人数より多いか少ないか」とも質問。「希望していた人数より少ない」と答えた人が約8割(79.2%)にものぼり、理由のトップは「経済的な理由」(32.7%)、次いで「年齢的な理由」(28.9%)、「健康上の理由」(20.8%)、「仕事上の理由」(20.1%)、「心理的な理由」(12.0%)という結果になりました。

 

「ベビーカレンダー」アンケート調査結果


2022年10月にも同様の意識調査をおこないましたが、当時も約3割の人が経済的不安を起因に希望人数の子どもが持てないと回答しており、妊娠・出産を取り巻く環境はそれほど変わっていないようです。それでも、2023年12月22日に政府が策定した少子化対策「こども未来戦略」では、子育て世帯に対する経済的支援の強化策も盛り込まれているので、すべて実施されれば経済的負担はかなり軽減しそうです。

 

一方で、「年齢的な理由」「健康上の理由」「仕事上の理由」と回答した人も少なくはありません。年齢を重ねるにつれて妊娠・出産へのリスクや自身の体力面に不安を感じる人、加えて仕事と育児の両立に難しさを感じている人も多いようです。

 

また、「希望していた子どもの人数より少ない」と答えた人を年代別に集計すると、30~34歳が最も多くて43.1%、以下、35~39歳24.4%、25~29歳15.0%と続き、40~44歳の方も13.1%でした。

 

希望人数の子どもを持てない背景には、経済面だけではなく晩婚化・晩産化も大きく影響しているようです。

 

「高齢妊活」により不妊に悩む夫婦が増加

さらに、「第1子の妊娠に至るまで、想定よりも時間がかかりましたか?」との問いでは、「はい」(39.4%)と答えた人の19.2%が、想定と実際の妊娠時期に3年以上の開きがあったと回答。

 

「第1子出産時の年齢は、子どもを持つタイミングとして理想の年齢でしたか?」という質問にも、半数以上(53.5%)が「理想よりも遅かった」と回答しています。

 

その理由には、「そもそも結婚するのが遅かった」「なかなか授かれず、4年不妊治療してやっと体外受精でできた」「仕事が優先だった」「職場の状況や自分の心理状態を考えて妊娠を延期した」などがあり、なかには「妊活したのが遅く、なかなか実らず流産もあり、経済的にも精神的にもしんどかった。助成金が出なくなる43歳で妊活をやめた途端、自然妊娠した」という声もありました。

 

「ベビーカレンダー」アンケート調査結果

 

日本生殖医学会によると、女性は30歳から徐々に妊娠する力が低下し、その傾向は35歳を過ぎると顕著に表れて、40歳以降は急速に減少すると言います。妊娠力が下降すれば、上昇していくのは不妊症。つまり、子どもを授かれるか否かは、妊活のタイミング次第と言えるのです。

 

そこで、山王病院 名誉病院長 堤 治先生に、日本の妊活事情や不妊治療の現状と課題などを解説していただき、脱・少子化を目指して成功率を高める妊活のヒントを探りました。堤先生は1979年から卵子の研究に従事されてきた日本を代表する産婦人科医の1人。皇后雅子さまご出産の際は、東宮職御用掛として主治医を務めています。

 

【プロフィール】

堤 治(つつみ おさむ)
医療法人財団順和会山王病院 名誉病院長
国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻 生殖補助医療胚培養分野責任者・教授


医学博士、日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医として、不妊治療・生殖医療全般を広くおこなっている。過去には日本受精着床学会、日本産科婦人科内視鏡学会の理事長を歴任。また、東宮職御用掛として皇后雅子さまご出産の主治医を務め、愛子さまのご誕生を支えた。

 

 

年齢を重ねるほど卵子は老化する!

年齢を重ねるほど卵子は老化する!

 

卵子は胎児のときに作られ、出生後新たに作られることはありません。減る一方です。そのスピードは37歳を過ぎたころから加速し、質も低下していきます。45歳で体外受精を受けた場合、採れる卵は35歳のときの1/10、移植して妊娠する可能性は1/10。つまり45歳の体外受精は35歳より100倍大変なのです。

 

しかも流産率や染色体異常の確率は高くなり、ダウン症の確率は、35歳の1,000人に約3人に対し、45歳では1,000人に50人まで跳ね上がります。『卵子の年齢=実年齢』。これはぜひ覚えておいてください」。

 

社会については、初婚年齢が相関していると言う堤先生。厚生労働省の2023年人口動態統計(確定数)によると、女性の平均初婚年齢は29.7歳、第1子出産時の平均年齢は31.0歳でした。

 

「女性が活躍することは素晴らしいことですが、そうなるとどうしても結婚が遅れがちで、結婚しても“今は子育てできないから”と妊娠・出産が後回しに。そして40歳を過ぎたころに “子どもを作りたい”という方が、どうしてもいるわけです。これは日本社会の問題でもあると思います」。

 

続けて、こうもおっしゃいます。

 

「キャリアとの両立が難しいという点については企業側の課題でもありますね。働いているから結婚年齢、妊娠・出産年齢が上がり、不妊症の方が増えて4.4組に1組が治療を受ける。でも日本の企業風土が、不妊治療を公表して治療のために休みをとりたいと言えない空気にしています。

 

それに不妊治療は時を選べません。ある程度計画はできても、卵の育ち方などにバラつきがあるので、あらかじめ日にちを確定できない。数回おこなう必要があるホルモン検査は結果が出るまで時間がかかり、採卵も当院では麻酔をかけておこなうので、半日がかりになります。

 

周囲に言えず、自由に動けなくて仕方なく仕事を辞める人は多いです。治療がステップアップするにつれ、離職率も上がっています。活躍するさなかで離職せざるを得ないのは残念です」。

 

いろいろ課題が見えてきましたが、少子化対策になりうる一手はないものでしょうか。堤先生は言います。

 

「それは近年注目されているヘルスケア、『プレコンセプションケア』をおこなうことです」。

 

妊娠に備えた健康管理「プレコンセプションケア」

『プレコンセプションケア』とは、女性やカップルを対象に、将来の妊娠に向けて性や妊娠に関する正しい知識を身に付け、健康管理をおこなうよう促す取り組みを言います。

 

海外では2006年にCDC(米国疾病管理予防センター)が提唱し、2012年にはWHO(世界保健機関)が「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義。

 

日本でも2015年に国立成育医療研究センターで初のプレコンセプションケアセンターが開設されましたが、まだ広く普及していないのが実情です。

 

ベビーカレンダーの意識調査でも「まったく知らない」と答えた人は約8割(79.2%)に達していました。

 

「ベビーカレンダー」アンケート調査結果

 

プレコンセプションケアには正しい性の知識を得ること、もっと自分の体に関心を持つことが大切と、堤先生は力説します。

 

「日本は性や生殖に対する教育が先進国のなかで最も遅れている性教育後進国です。それは日本の学校教育に問題があり、学校では性教育がタブー視されているから。

 

先ほど卵子の年齢=実年齢と申しましたが、知らずにいる患者さんは結構多く、このことを説明すると“知らなかった。もっと早く教えてくれなきゃ”って逆にお叱りを受けてしまう。

 

卵子の数には限りがあって、年齢とともに老化することを日本ではなかなか教えてもらう機会がない。教育が不十分だからです。完全にプレコンセプションケアの欠如と言えるでしょう」。


これは女性に限ったことではないと言う堤先生。旧来、不妊の原因は女性側にあると思われてきましたが、今は男性側にもその可能性があり、原因はフィフティフィフティという考え方なので、男性もプレコンセプションケアに取り組むことが大事だとおっしゃいます。

 

 

「卵子凍結」もプレコンセプションケアのひとつ

先の解説にもあった通り、卵子は誕生後から減り続け、質も年齢とともに低下します。そんな卵子の老化を食い止め、かつ将来の妊娠の可能性に備える有効な一手として近年注目されているのが『卵子凍結』です。

 

2023年、東京都が都道府県としては初めて、加齢等で妊娠機能の低下を懸念する人に対して卵子凍結にかかる費用の助成制度を導入。説明会には想定を超える応募があったとニュースになりました。ほかの自治体も追随する動きがみられ、脱・少子化に向けた期待度の高さがうかがえます。

 

「卵子の時計は戻せないけど、止めておくことはできるのが卵子凍結。35歳のときに採卵したなら35歳時のクオリティを半永久的に保持できるのです。

 

前に45歳の体外受精は35歳のときより100倍大変と説明しましたが、不妊治療の効率化という点ではメリットは大きい。子宮は老化しませんので、今すぐには妊娠・出産できない、あるいは考えていないという方は、緊急避難の手段にするのもいいかもしれません」。

 

「出産のことだけを考えたら、早めの結婚と妊娠が望ましいですが、相手のいることですしキャリア形成期で叶わない場合もあるでしょう。そのときプレコンセプションケアで正しい知識を身につけ、将来を見据えた健康管理をしておけば、ライフプランの選択肢は広がると思いますよ」。

 

 

プレコンセプションケアの重要性、特に正しい性知識を持つのと持たないとでは、その後の人生設計に大きな影響を与えることがわかりました。これは女性だけでなく男性も同じ。パートナーと一緒に学びつつ、健康な体づくりに努めること、ライフプランを考え将来への不安を少しでも解消し前向きに捉えることが、少子化問題解消の糸口になると感じました。

 

性教育は、家庭や学校など身近な環境のなかで自然に吸収することが望ましいですが、残念ながらまだ日本では堂々と言及しにくいのが実情です。そんな空気を少しでも払拭するためにも、メディアが確かな情報を提供し続けることも重要であると、堤先生はおっしゃいます。

 

ベビーカレンダーが発信するさまざまな情報が、パートナーやお子さんとの会話のきっかけ、ご自身の体に向き合うきっかけになり、ひいては少子化対策の一助となるよう、今後も情報発信に取り組んでいきたいと考えています。

 

 


【調査概要】
調査タイトル:「結婚・妊娠・出産」に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2024年11月14日(木)~11月18日(月)
調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用した方
調査条件:1人以上お子様がいらっしゃる方(432人)
【出典について】
本調査内容を転載される場合は、出典が「株式会社ベビーカレンダー」であることを明記していただきますようお願いいたします。

 

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