平日は帰りが遅く、休日は1人でどこかへ出かけてしまいます。家にいるときは、スマホを見てはニヤニヤ……。不安が募り、私は「もしかして……」と考えるようになりました。
夫に探偵をつけると
どうしても気になった私は、探偵に夫の調査を依頼しました。そして出産直前、夫が会社の後輩と不倫をしていることが明らかになったのです。その瞬間、心の中で何かが壊れる音がしました。
それでも娘とおなかの赤ちゃんの存在だけが、私を支えてくれていました。
出産と面会
その日、私は急に産気づきました。夫に電話をすると、「今会議中だから無理」と冷たく言い放たれ、電話を切られました。夫を頼ることを諦め、娘を義両親に預けて、1人で病院へ向かいました。そして数時間後、元気な赤ちゃんを出産しました。
翌日、両親と義両親、そして娘が面会に来てくれました。赤ちゃんを囲みながらみんなが喜び、病室は明るい笑顔でいっぱいになりました。家族が食事に出かけた間、私は少し眠ることにしました。
ところが、誰かの気配を感じ、目を覚ましました。そこには夫と見知らぬ女性が立っていました。
赤ちゃんを奪おうとした夫
夫は開口一番、「出産お疲れ! この子は俺が彼女と育てるから!」と言い放ち、なんとベッドの上のおくるみを抱えて出て行こうとしました。
私は何が起こっているのかわからず、あっけにとられました。夫が手にしていたのは赤ちゃんではなく、娘が大事にしていた赤ちゃんの人形だったのです。赤ちゃんは新生児室で眠っています。
娘は「お姉ちゃんになったら赤ちゃんのお世話をするの!」と義両親に買ってもらったその人形をとても大切にしていて、私に預けて食事へ出かけたのです。夫が人形だと気づき、慌てていたところに家族が戻ってきました。
夫と離婚へ
「おい、その女は誰だ?」と義父と父に問い詰められ、うつむく夫。状況を悟った義両親と私の両親は、夫に激怒しました。さらに「この人、今赤ちゃんを盗もうとしたの……」と伝えると、「何を考えてるんだ!?」と義父の怒声が病室に響きました。夫は言い訳を繰り返していましたが、もはや聞く耳を持つ者は誰もいませんでした。
このとき私は心を決めました。この人と一緒にいる意味はない、と。夫と離婚し、これからはひとりで子どもたちを育てていこうと決めました。
その後、夫と浮気相手に慰謝料を請求し、離婚が成立。
出産直後に思いもよらない出来事に巻き込まれてしまいましたが、「私にはこの子たちがいるから大丈夫」そう心に言い聞かせ、両親と義父母、そして周囲の助けを借りながら、子育てに奮闘しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。