娘は今、お隣の子と一緒に旅行がしたいと言って、お手伝いでもらったお金を貯めています。もちろん、中学生の子どもたちだけでは行けないので、私たち母親も一緒に4人で行く予定です。娘の目標の3万円。そろそろ目標額に届きそうです。
自分の機嫌次第で意見も態度も変わる夫
とうとう、目標額までお金を貯めた娘。目をキラキラさせて喜んでいます。そのとき、ちょうど夫が起きてきました。自分には相談もせず旅行など許さないと、ふてくされていますが、この話は夫にもすでに報告してあります。
なぜ今さらそんなことを言うのかと不思議に思っていると、夫は「話は聞いたが許可はしていない」と続けました。娘は「どうして……」と困惑しています。
以前、この話をしたとき夫は、興味のなさそうな顔をして聞いていました。そして、「勝手に行ってこい」と言われたことを私ははっきりと覚えています。それなのにどうして、今になって反対……? 自分でお金を貯めたとしても、旅行なんて中学生にはぜいたくだとブツクサ言って、自分がいかに苦労しているかを語り始めました。
私の仕事など大したことではなく、そのお遊びみたいな仕事を手伝っただけで小遣いがもらえるなど甘い。苦労して働いている自分に対して敬意がない、「誰が食わせてやっいてると思っているんだ」と言う夫。俺は優秀なんだぞ、俺はえらいんだと、猛アピールしてきます。
夫はぶっきらぼうで、差別的なところがあり、機嫌次第で態度が変わるような性格です。そうだとしても、今回のことはひどすぎます。
もし夫が優秀なら、声を荒らげてどう喝するような話し方などせず、気分によって意見を変えることもないはずです。優秀な人であれば、自分の機嫌もコントロールできるでは? と思うのですが、夫は何か報告を受けても面倒がって生返事をして、適当にあしらうような人。きっと旅行を許可したことも忘れていたに違いありません。
そんな指摘を娘からされて、夫は真っ赤になって怒り、部屋へ閉じこもってしまいました……。
娘のお金が盗まれた!泥棒!?
数日後、娘の貯金箱からこつ然とお金が消えていることに気がつき、私と娘は大パニックに! 泥棒が入ったと思った私たちは、慌てて夫を起こしました。すると、夫がとんでもないことを言い出したのです。
貯金箱のお金を取ったのは自分だと……。
夫は、もともと自分が稼いだお金なんだから自分が使っても問題がないだろうと主張します。そして、1人上機嫌で出かけてしまいました。
私は、もう我慢するのはやめようと、娘と話しました。今夜、夫が帰ってきたら必ずケリをつける。そう誓ったのです。
その夜、夫はほろ酔いで帰宅。娘のお金で飲み食いしてきたのです。ガツンと言ってやろうと私が意を決すると、先に娘が話し始めました。
「あのさ……」
娘は夫を座らせ、夫の会社に訴え出る決意を伝えました。子どものお金に手を付けるような夫が勤める会社は、知育系のおもちゃを扱っています。家庭を大切にすることが社訓に書かれているような会社なのです。会社が夫の素顔を知れば……娘はそう考えたようです。
娘のお金を自分のお金だと言って騒いでいた夫ですが、そもそもそれも間違っています。実は、夫は家に10万円しか入れていません。家賃20万円の家に10万円しか入れない時点でおかしな話ですが、プライドの高い夫には何も言わず、私は夫が入れる10万円を娘の将来のために貯金しています。
実質、家賃も生活費もすべて私のハンドメイドと在宅の仕事の稼ぎでまかなっているのです。夫は稼ぎのほとんどを、自分のことだけに使っています。飲み食いにギャンブル、そして不倫。私は、娘が成人するまでは我慢しようと頑張ってきましたが、それももう終わりです。娘からの後押しもあり、離婚を決意。夫に離婚届を突きつけました。
娘に代わって夫の会社が成敗!
私は娘を連れて、すぐに家を出ました。夫は離婚も会社への通報にも反対してきましたが、私も娘も容赦しませんでした。
夫の会社は娘の話を丁寧に聞いてくれて、夫には地方への異動を命じてくれました。私たちへの支払いまで考慮してくれて、クビにはせず社訓に反した罰を与えてくれました。おかげで、養育費も慰謝料も、そして娘の貯金箱の3万円も無事に受け取ることができました。少し延期になってしまいましたが、念願の旅行も日を改めて楽しく行ってきました。
これから先もいろいろなことがあると思いますが、娘と2人楽しくやっていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
娘が旅行を楽しみにお金を貯めていたことを知っていて、貯金を取り上げ、さらには使い果たすだなんて……。いくら気に入らないことがあったからと言ってやっていいことのはずがありませんよね。娘から指摘を受け、会社からも罰が下った夫は、今回のことで今までの家庭内での態度を反省せざるを得ないのではないでしょうか。妻からも娘からも許しを得ることは難しそうですが、しっかりと養育費を支払うことで償ってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。