義姉の母親は、学歴や社会的地位に弱いようです。ご本人はそうではないらしいのですが、義姉や親戚には高学歴で、立派な職業についている高収入の人たちが多いと自慢していました。
私の兄のこともエリートだと思っているようで、いい結婚相手を見つけたとうれしそうです。
兄の結婚式で大暴れする義姉の母親
しかし、私が中卒の在宅ワーカーだと知ると突然、義姉の母親は顔色を変え、目も合わせてくれなくなりました。義姉の母親は、私は学生時代、不登校で引きこもっていたため、学歴もなく今も在宅の仕事しかできないのだと思ったようです。家業にも携わることができず、今も親のすねをかじって実家に住んでいると勘違いした様子です。
義姉はその後、私に謝罪してくれました。そして、学歴や社会的地位にこだわる母親には、ずっと悩まされてきたと打ち明けてくれたのです。しかし、父親が早くに亡くなったこともあり、たった1人の親を無下にすることができなかったと言っていました。義姉の今までの苦労を考えると、胸が痛みます。とりあえず、私は極力関わらないようにしようと心に決めました。
結婚式を欠席することはできないので、その日を最後に義姉の母親との接触を絶とうと思っていた私。しかし、あいさつをしても無視され、あまりにも感じの悪い態度を取られるので、本当に傷つきました。
義姉の母親は披露宴中、あちこちのテーブルに出向いては、いつものように品のない話題でマシンガントーク。兄の友人たちにも声をかけ、学歴がないと聞くと軽蔑。そして、大声で「出ていけ!」と怒鳴ったのです。周りが見えず、醜態をさらす義姉の母親。招待客たちから、冷たい視線が送られていました。兄が慌てて止めに入ると、「あなたが底辺と付き合ったら、うちまで恥をかく」と兄に怒鳴りました。
さらに、出来の悪い妹の私とも縁を切れと兄に言ったのです。私が義姉の母親をにらむと、「中卒はエリート一族の恥! お帰りください」と言って私を鼻で笑いました。
会場にいた招待客たちは、あ然として、会場が静まり返りました。そしてその後、大爆笑が……?
エリート一族の恥?中卒の私の正体は…
実は、私の兄も中卒なのです。そのことは招待客のほとんどの人が知っていました。
私たち兄妹が幼いころ、わが家はとても貧しかったのです。そのため、兄も私も母を助けたい一心で、中学卒業後は進学をせず就職しました。幼いころに父親を亡くし、母が苦労して私たちを育ててくれていることを知っていたからです。
そんな生活をしているとき、縁があって親戚が経営する会社を母が継いだのです。私は絵を描くのが好きで得意だったので、母を助けるために独学で勉強して、今では母の会社で商品デザインを担当しています。
兄が、私は自分の会社のトップデザイナーで、母や兄よりも高給取りだと告げると、義姉の母親は驚いて、腰を抜かしてその場に座り込みました。
披露宴を中断して大騒ぎして、妹の私にひどい言動をした義姉の母親。怒った兄は、「あなたのような人が家族になるのは恥ずかしいから、あなたとは縁を切ります」と宣言したのです。すると、義姉の母親は兄をさげすみ、娘をもらう立場で生意気だと言い放ちました。そして義姉に、兄と縁を切れと言ったのです……。
それまで黙っていた義姉は、立ち上がり「私がお母さんと縁を切ります」と言い、会場から母親を追い出しました。泣き叫ぶ義姉の母親は、式場のスタッフに外へ連れていかれました。
その後は、兄の友人たちが披露宴を盛り上げてくれたおかげで、表情を曇らせていた兄にも義姉にも笑顔が戻り、感動的な式になりました。
娘から縁を切られた母親の哀れな末路
義姉は社会人になってからずっと母親を養っていましたが、その仕送りを止めたそうです。亡くなった父親の遺産を食いつぶしてしまっていた母親は、これから苦しい生活を強いられることになると思うけど、自業自得だと義姉は言っていました。
私は、兄が出て行った実家で今も母と一緒に暮らし、在宅でバリバリ働いています。兄は義姉とタワマンに引っ越し、ラブラブな新婚生活を満喫中です。義姉の妊娠も発覚して、新しい家族の誕生を心待ちにしています。
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義姉にとってたった1人の家族である母親。縁を切るというのは相当勇気のいる決断だったのではないでしょうか。しかし、実の母親に結婚式を台無しにされて、大切な人の家族を貶され、縁を切れとまで言われてしまっては、仕方がなかったのかもしれませんね。学歴や社会的地位が高いことはすばらしいことですが、第三者がそれを基準に評価、判断することは間違っているように思えます。相手の肩書きにとらわれず、その人の内面や人となりを見て付き合いたいものですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。