異動先の上司の驚くべき持論
私が社会人2年目で、部署を異動したときの話です。新しい部署の上司・A男はすごく怖いという噂を聞いていたため、ちょっぴり緊張していましたが、やさしく迎え入れてもらいホッとします。
ところが異動してしばらくすると、A男が噂通りの人だと痛感するように。彼は日ごろから「パソコンは信頼できん! 仕事は時間をかければかけるほどいいものができる」と言っており、部下が効率化につながるシステムを使うことを毛嫌いしていました。
部下たちがパソコンを使うと激怒し、手書きで資料を作ることを要求。しかし、彼の指示により手書きで作り上げた資料は見づらいと不評で、なかなか契約が取れません。成果が出ないうえに残業は増える一方で、部下たちはみんな疲弊しています。
「業務の効率化が生産性を高める」と考える私は、そんなA男のやり方にモヤモヤしていました。
定時退社で目をつけられ…
同僚たちもA男のやり方に不満を抱えていましたが、「俺は社長と仲がいいんだ。お前らが俺に逆らうならすべて社長に伝えてやる!」と圧力をかけられると反論できません。
そのような状況下でも、サクサクと仕事を進め定時で退社していた私。ただ、A男は残業時間が多ければ多いほど優秀だと考えているので、いつも定時で上がる私のことが気に入らない様子。そして、「残業していないということは、もっと仕事量を増やしても問題ないだろう」と考え、私の仕事はどんどん増えてしまい……。
いつの間にか部署内で誰よりも多く仕事を抱えていましたが、それでも残業せず終わらせていました。なぜなら、私は自ら開発した効率化システムを使っていたからです。
システムが上司にバレてしまい!?
私はA男にシステムの存在がバレないように気をつけていました。けれど、どんなに仕事を振っても残業しない私を怪しんだA男は、私が席を外した隙にパソコンをこっそりチェック。ついに、私が開発したシステムがバレてしまいます。
怒り心頭のA男は戻ってきた私に「これはなんなんだ! すぐに消しなさい」「残業しないなんて頑張っていない証拠じゃないか!」と激怒。我慢の限界を迎えた私は「A男さんのやり方は効率的ではないし、成果もでません。私たちを苦しめているだけです!」と、負けずに反論します。
するとA男は「俺に従えないなら辞めろ!」と言い放ち、私の心は一気に冷めてしまいました。実は独自開発したシステムは、同僚たちも使えるようにしていたのですが、この一件でシステムをすべて消去し、退職することを決意。
同僚たちに申し訳なさを感じながらも、彼らから見送られた私は「あること」を心に決め、会社を去りました。
上司からいきなり電話が
退職から数日後。朝早くに着信があり、目を覚ましました。スマホの画面を確認すると、そこには辞めたはずの会社の番号が。
私が「案の定だわ」と思いながら電話に出ると、A男がひどく焦った様子で「今すぐ会社に戻ってこい」と言います。どうやら、残った同僚たちから一斉に「(私)さんが開発したシステムがなかったら仕事にならない。自分も辞める」と言われたようで、A男はシステムを戻してほしいと懇願。
けれど、すでに社員ではないのでA男の願いを聞き入れる気はありません。「それは大変ですね。でも、自力で頑張ってください」と電話を切ると、直後に再び着信が。
電話に出ると、なんと相手は社長でした。社長から「申し訳なかった。大事な社員たちが困っているからどうか助けてほしい」と言われ、私は会社へ出向くことにしたのです。
社長にある提案をした私
会社に到着するや否や、社長は「申し訳ないことをした。許してくれ」「君が作ったシステムが素晴らしいと聞いている。そのシステムがなくなって社員たちが困っている。どうか戻ってきてくれないか」と深々と頭を下げます。
さらに、「A男が社員たちにひどい持論を押しつけていたようだ。私は効率化こそ生産性を向上させると思っている。君のような優秀な人材はなかなかいない。今まで部署の実態を把握できておらず申し訳なかった」と謝罪。
私は、これでやっと元同僚たちがA男から解放されるとうれしくなりましたが、「会社には戻れません」とひと言。そして、「システムは導入します。そのために私の会社と契約してください」と続けました。
そう、実は開発したシステムに絶対の自信があった私は、自分で会社を立ち上げていたのです。社長は一瞬驚きますが、私の提案を快諾。見事に契約が成立したのでした。
横暴だった上司はその後…
後日、これまでの横暴な態度が原因で左遷となったA男ですが、改心して部下たちに心から謝罪をしたよう。さらに、私の会社が主催するパソコン教室に通うことになったのだとか。
私はというと、立ち上げた会社が軌道に乗り、多くの顧客を抱えるように。評判のよいシステムを次々に開発し、忙しい日々を送っています!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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