義母の家へ通い、身の回りの世話をしています。もし同居できれば少し楽になったのかもしれませんが、義母の嫁いびりがあまりにひどく、24時間一緒にいることは絶対に無理です。
夫に頼まれて義母の身の回りの世話をしていますが、心ない言葉やひどい扱いに傷つく日々。どれだけ努力しても、義母は私の存在自体を気に入らないようです。
そんな私の苦しみを夫に相談しても、「専業主婦をさせてやっているのだから責任を持って面倒を見ろ」と、一方的に私を責めるばかり。仕事が忙しいことを理由に、まったく助けてくれません……。
私ひとりだけが過酷な介護生活
夫を説得し、ようやく義母を病院へ連れて行くことに成功。しかし、検査結果は予想通りでした。まだ初期段階とはいえ、治療法はなく、進行を遅らせる投薬治療しか手段がないとのことでした。
「家族の目が必要です」という医師のアドバイスを受け、私たち夫婦は義実家での同居を決意。基本的には私が義母の世話をします。しかし、24時間365日、私ひとりでは限界があります。週末だけでも夫が手伝ってくれれば助かるのですが、忙しい仕事に出張続きで、期待はできそうにありません。
施設への入所も考えましたが、夫は「まだ必要ない」と言って、私の話を聞こうとしませんでした。
数カ月がたつと、義母の症状は急速に悪化。徘徊が始まり、大騒ぎになることが増えました。ある日、お風呂に入るため少し目を離した隙に、義母はひとりで外へ……。
そんな状況でも、夫は私を責めるばかり。「お前のせいだろ! ノロマだからこんなことになるんだ!」精一杯やっている私の努力を認めず、感謝もせず、疑いの目まで向けてきます。
義母も攻撃的になり、私がお金を盗んだと大声で怒鳴ったり、物を投げつけてきたりするようになりました。もう限界だった私は、夫からどれだけ責められたとしても、無理矢理にでも今後について話そうと決心。
私が話を切り出そうとすると「急な出張が入った」と言って出かけようとする夫。出張から帰る1週間後に話し合うことを約束し、私は夫を見送りました。
仕事中に連絡するなと言うけれど…
「出張中は連絡するな!」
「仕事に集中できないだろ!」
緊急の連絡があり、私が夫に電話をかけるとメッセージで返ってきました。いつもと同じように仕事中に連絡するなと怒っている様子。
「本命の彼女によろしく」
しかし、私は夫が電話に出ることができない理由を知っています。私はもう、夫との話し合いも、夫自身も諦めました。そのつもりで送ったメッセージでしたが、思いのほか夫は過敏に反応しました。
「え?」
私が返信して以降は、普段はまったく返信して来ない夫ですが、「どういう意味だ?」「何を言っている?」「おい! 無視するな!」と通知が鳴り止みません。メッセージを既読にすらしない私に痺れを切らしたのか、夫から怒りの電話が……。
私が夫に連絡したのは、義母が徘徊先で万引きを疑われ、警察に保護されたからです。迎えに行ったものの、義母は私とは帰らないと言って暴れられてしまい、どうしようもなくなり夫に助けを求めたのです。しかし、夫は私の電話を取らず、連絡するなと怒って、私の話をまた聞こうとしませんでした。
状況を理解した夫は、「介護はお前の仕事だろ? 俺に寄生してるくせに、忙しい俺を頼るな」と再び暴言。そして、ちゃんと義母を家に連れ帰れないなら離婚だからなと言って電話を切られました。私がさっき送ったメッセージの内容をもう忘れてしまったのでしょうか……。
衝撃の事実が明らかに、私の決断
夫は、私が離婚したいと思うはずがないと信じて疑いません。両親を早くに亡くした私には、帰る場所がなくラクな寄生虫生活をわざわざやめるわけがないと、あざ笑う夫。自分の親の介護を押しつけ、家事はおろか自分の身の回りのことすら満足にできない人がよくそんなことを……。
私はずっと我慢してきました。ひとりでは何もできないモラハラ夫と嫁いびり義母のお世話をする毎日。こんな生活はもううんざりです。
そんな毎日に嫌気が差して、そもそもなぜ夫は私と結婚したのだろうと、ふと気になって、興信所に調査してもらいました。そして、衝撃の事実がわかったのです。
私は本命彼女のダミーでした。夫は結婚前から付き合っていた彼女との関係を維持するため、介護と家事要員として選ばれた私。私が嫁いびりや介護に苦しんでいる間、夫と彼女は楽しい時間を過ごしていたのです。それならダミーの私は、本命の彼女に妻の座を譲ろうと思います。
後日、私は弁護士に相談し、離婚の話し合いと慰謝料請求を開始。家を出た私の代わりに、夫は義母の介護をしなければいけなくなりました。しかし、たった数日で音を上げ、泣きついてきた夫。すぐに本命彼女に助けを求めましたが、介護なんて無理と突き放され、あっさり関係は終わったようです。
義母から暴力を振るわれ、まともに寝る時間も取れず、目を離すとひとりで外に出てしまい、このままでは仕事を辞めることになってしまうと泣き言を言っていました。介護がどれほど大変かを身をもって思い知ったようです。
夫は必死に「戻ってきてくれ」と懇願しましたが、何を言われてももう戻るつもりはありません。自分の親の面倒を見るのは当然のこと。それを私ひとりに押し付け、バカにして、自分がつらくなったら助けを求めてくるなんて、最後までひどい人です。
その後、無事に離婚成立。慰謝料もきっちりもらった今、私はとてもすっきりしています。自分の人生をもう一度見つめ直して、再スタートを切りたいと思います。
◇ ◇ ◇
介護は多くの家庭にとって避けられない課題です。だからこそ、誰かひとりに負担が集中するのではなく、家族全員で協力して、家族みんなが納得のいく方法を取ることが望ましいでしょう。大変なときは、悩みを抱え込まず、専門家の手を借りるなどして向き合っていきたいですね。
【取材時期:2025年1月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。