「夫婦2人の時間なんて老後何十年もあるんだから、まずはできるだけ早く孫を産んでちょうだい!」「最近お友だちみんなが孫自慢してくるから、私も早くみんなにかわいい孫を自慢してやりたいのよ!」と、顔を合わせるたびに言ってくる義母。
しかも、夫も「俺はひとり息子だし、早めに両親に孫の顔を見せてやらなきゃな!」「結婚式なんて後回し!母さんたちの期待に応えるためにも、早く子どもをつくろう!」と言ってくる始末。子どもは授かりものだし、私は結婚式も挙げたかったのに……。
結婚記念日に夫が放ったショッキングな本音
入籍から1年後――。
その日は結婚記念日だったので、私は腕によりをかけて晩ごはんを作っていました。なかなか帰って来ない夫に私はいつもより豪華な食卓を見ながら、「何時に帰ってくる?」と連絡を入れました。
すると、「お前さ、なんでそんな呑気でいられるの?」「まだ子どもができてないんだぞ!」「そんな状況でよく結婚記念日を祝おうなんて思うよな」と夫。
あんまりな言い方に、私はフリーズ。しかし、夫は言葉を続けます。
「俺の両親は孫を今か今かと待っているんだぞ!」「若くて健康的ですぐ子どもができると思ってお前と結婚したのに……」
夫の言葉にショックを受けながら「え……?私のことが好きだから結婚してくれたんだよね?」と思わず聞くと、「ああ、もちろん好きだったよ」と夫。
「でもお前ときたら俺の両親の希望を聞いても、子どものこと急ごうともしないし」「もういっそのこと離婚するか!」
そう言われて、私はますますショックを受けました。
「俺の両親の希望通り早く子どもを作る気がないなら田舎へ帰れ!」
「お前ならすぐできると思って結婚したのに、間違いだった!離婚だ!」
「じゃ、離婚で。私は子どもと帰ります」
「え?」
ヒートアップする義母
実は、妊娠していた私。といっても、やっと妊娠が確認できた超初期ですが……それでも、晩ごはんを食べながら、夫に報告しようと思っていたのです。きっと喜んでくれると思ったのに、まさか報告する前に離婚を言い渡されるとは思いませんでしたが……。
「に、妊娠が確認できたのか!?医者には診てもらったのか!?」「妊娠してるなら話は別だ!」と夫。しかし、とうに私の夫への気持ちは冷めきってしまっていました。
「妊娠していても、妊娠していなくても、私はあなたと離婚します」「嫁を子作りのための道具としか思ってもいない人となんて、一緒に暮らせません」「このまま実家に帰ります」
そう言って、私は手早く自分の荷物をまとめ、引き留める夫を無視して実家へ帰りました。
翌日――。
「せっかく妊娠したのに離婚なんてふざけるんじゃないわよ!」と連絡をよこしてきたのは義母。私からしたら、ふざけてるのはどう考えても義母や夫のほうなのに……。
「嫁を子どもを産む道具扱いする人たちとは一緒に暮らせませんし、子育てなんてもってのほかです」「でも、そんな人たちでもこの子の父親や祖父母にはなるわけですから、離婚はしても面会はさせるつもりです」と言うと、「そんなもの必要ないわ!」とさらに義母はヒートアップ。
「ちょっと面会できるだけじゃ意味ないもの!」「しかも、離婚した嫁の手元にいる孫なんて……全然友だちに自慢できないじゃない!」
……私のことを「孫を産む道具」扱いするだけならまだ許せました。まさか、産まれてくる子どもまでも、「他人に自慢するための道具」扱いしようとしているなんて……!!
「むしろ離婚してもらったほうがありがたいわ!」「そしたら今度は生意気田舎娘よりおとなしくて器量のいい子を息子の嫁にするわ!」
「わかりました、じゃあお望み通り離婚します」「認知だけして、養育費だけ支払ってください」「おなかの子どもとは一生会わないってことでいいですよね?」と淡々と言うと、「養育費だって一括で払ってやるわよ!」「もう私たち家族に近づかないでちょうだいね!」と義母。そして、私と夫が離婚すると、宣言通りこちらの希望通りの養育費を一括で支払ってくれたのでした。
自分勝手な元夫と元義母の末路
離婚から5年後――。
「頼む!俺と今からでももう一回やり直せないか?」「もう一度結婚してくれ!」と、いきなり元夫から連絡が。
「そんなのするわけないでしょ……」と呆れながら返した私。そして、「……あれ?でも、私と離婚してすぐ若い奥さんと結婚したんじゃないの?」「すぐにいい嫁見つけて孫を産んでもらうって息巻いてたのに」と聞くと、「それが……俺、まだ誰とも再婚できてなくて……」と元夫。
元夫が離婚直後からどんどんお見合いをしていることは、私も噂で聞いていました。だからてっきりもう再婚して子どももいると思っていたのです。
「俺、全員に振られたんだよね……」「離婚理由が広まっていたらしくて……『子どもを産ませるためだけに結婚する人は無理です』って会う前から断られることも多くてさ……」「だんだんと尾ひれもついて、『子どもを産んだら用済みで、家政婦扱いされるって聞きました』って断ってくるような人もいたし……」
思わず「うわぁ……」と言ってしまった私。それを同情と受け取ったのか、元夫は「だからもう俺たちにはお前しかいないんだ!」「いろいろあったけど、俺の唯一の子どもだし、母さんにとってはかわいい孫だろ?」「もう一度俺と結婚してくれよ!」と言ってきました。
「ごめんなさいね、お断りさせてもらうわ」「あなたのお母さんには『金だけは払ってやるから二度と近づくな』って言われてるし、私はその約束を守らないと」
その後――。
私も鬼ではないので、その後息子の写真を元夫に送ってあげました。元夫によると、元義母は「写真だけじゃ、余計にむなしくなるじゃない!」「どうにかして孫を連れてきなさいよ!」と怒っているらしいですが、息子を元夫や元義母に会わせるつもりはありません。
今私は両親と同居し、息子は両親にとてもかわいがられてすくすくと育っています。息子には、元夫のような大人にはなってほしくありません。他人を尊重できる人間に育ってほしいと思い、私自身が息子を一人の人間として尊重することを心がけています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。