日中も連絡が取れず、終電で帰ってくることが多くなった夫。「そんなに働いたら体を壊しちゃうよ……」と言っても、夫は「俺は妻を養うために仕事をがんばっているんだ!」と言って聞いてくれません。
そんな夫の態度にやきもきした私は、夫の残業時間を計算することに。すると、今月の残業時間はすでに120時間を超えていて……?
夫が残業に励む理由
その日も遅くに帰宅した夫。私は努めて明るく、「明日、労基に相談に行ってくるよ!」と声をかけました。
「今月だけで残業120時間超えだし、やっぱり異常だと思うんだよね」と言うと、夫は「あ、あれ……?俺、そんなに仕事してたっけ……?」と考え込んでいました。これはいけないと思い、「時間感覚もなくしてるなんて、相当やばい証拠じゃない!」「それに、これだけ残業が続いてるのに先月は残業代もなかったし!」と言うと、夫は激しく首を横に振りました。
「今、会社が繁忙期なだけで!」「このプロジェクトが終わったら、俺昇進するかもしれないんだよ」「なのに労基に相談したって上層部にバレたら、今までの俺の努力が水の泡になっちまう!」
夫の労働環境改善に燃えていた私。しかし、当の夫がそう言うなら仕方ありません。
「てっきり会社に無理やり働かされてるのかと……」と言う私に、夫はやさしく「プロジェクトが終わったら、久しぶりに温泉旅行にでも行こうか」「支えてくれたお礼に、素敵な旅行をプレゼントするよ」と声をかけてくれたのでした。
プレゼントが暴いた夫の嘘
数日後――。
夫は海外出張へ。私はいつもどおり家事を終わらせ、家でのんびりと過ごしていました。
そこへ、「いつもお世話になっております」と電話をかけてきたのは夫の上司の女性。
「先日は素敵な誕生日プレゼントをありがとうございました」「奥様が選んでくださったと聞いて……それで一言、お礼を申し上げたくてご連絡させていただきました」
「はぁ……」と私。というのも、私はその上司の誕生日プレゼントを選んだ記憶なんてないからです。
「うちは女性の管理職が非常に少なくて……私は反感を持たれることが多いんです」「そんななか、彼は日頃から良くしてくれて、さらにこんなうれしいプレゼントまで」「本当に彼の存在に助けられています」
「ごめんなさい、私はプレゼントなんて選んでないんです……」と言うと、「え!?」と驚いた彼女。しかし、すぐさま「もしかしたら、彼なりの配慮だったのかもしれません」「男性社員が女性の上司に贈り物をしたというだけで、いろいろ言われる可能性もありますし……奥様が選んでくれたと言えば、まわりも変なことを言い出さないですもんね」と彼女なりの解釈を述べてくれました。
しかし、その解釈も腑に落ちなかった私。そうだ!と思い立って、「すみません、もう少しお時間いいですか?」「夫の仕事量についてうかがえないでしょうか」と、夫の残業時間が120時間を超えていることについて聞いてみたのです。
「え!?120時間の残業とはどういうことでしょう……そもそもうちは働き方改革で、全員残業ゼロですよ?」「それに今、うちで抱えてるプロジェクトもないし、どちらかというと閑散期です」
そう言われて、驚いてしまった私。いったい夫は残業と偽って、どこで何をしているのでしょう……。
私がショックを受けたのがわかったのか、彼女は「もしよろしければ、今夜私と直接会いませんか?ぜひお話を聞かせてください」「聞きたいことがあれば、いくら聞いてもらっても構いません」と力強く言ってくれたのでした。
嘘つき傲慢夫の末路
さらに数日後――。
「初めての海外出張、本当に疲れたぁ~」「いやぁ~やっと日本に帰れるよ!」と連絡してきた夫。私は夫を気遣って、「疲れているだろうから、今日帰ってきたらすぐ休めるようにしておくね」と言いました。
すると夫は「あ!ごめん!」と言ってきたのです。
「今日帰れると思ったら仕事のトラブルで、飛行機には間に合いそうもないや!」
「当分帰れないけど、デキる嫁はわかってくれるよなw」
「もちろんよ!今あなたの上司が隣にいるから、詳しく伝えておくね!」
「え?」
先日、夫の上司の女性と直に会っていろいろと話を聞いた私。彼女も夫の勤務態度や休みの取り方に疑問があったのか、その話を社長に持っていったのです。
そしてその日、私は夫のことについて話をするために、夫の会社の社長室へ呼ばれていました。海外出張に行くと私に言っていた夫ですが、会社にはインフルエンザでの病休申請を出していたのです。
「な、なんで、お前がうちの会社に!?」「しかも上司と……え?社長までいるのか?」と焦る夫。私は「電話するから出てね」と言って、スマートフォンを操作し、音声通話に切り替えました。
スピーカーにすると、「だって、奥様が労基に駆け込むって言い出すんだもの」「まさか浮気隠しの言い訳で会社全体まで巻き込むなんてねぇ」と夫の上司。
「そもそもうちの会社に海外の取引先はいないし、海外出張もないわよね?」「でもなぜか海外の取引先がいてトラブって飛行機に乗り損ねたんだもんね?」「インフルエンザにもかかってるらしいし、もううちの会社に来なくていいわよ」と、彼女の勢いは止まりません。
「どうせ、浮気旅行にでも出かけていたんでしょ」「奥様に海外出張だと嘘をついて、浮気相手の家に転がり込んで、週末からのんびり浮気旅行」「で、彼女が『まだ一緒にいたい』とでも言ってきたからずる休み申請しちゃったってところかしら?」と彼女が推理を披露すると、「な、なんで全部バレてるんだよ……」と夫。
すでに夫への情は冷めていましたが、それを聞いて私は呆れ果てていました。社長も夫の上司に同調して、「君には我が社を去ってもらおう」と言っていたので、夫はクビ確定でしょう。この際だからと、私も夫にはっきりと別れを告げることにしました。
「あなたはずっと私に嘘をついて浮気をしていた」「私は本当に、あなたの体を心配していたのに……」「そんな人ともう夫婦でなんていられないわ」
その後――。
私と夫、双方の両親、そして浮気相手で話し合いの場を設け、私たちは離婚。私は元夫と浮気相手の両方に、希望通りの慰謝料を一括で支払ってもらいました。その中から、元夫の上司の彼女にはお礼として一部を渡しました。
元夫の上司は、今もあの会社でバリバリ働いています。昇進して、役員になることも決まったのだとか。私は数年間専業主婦でしたが、そんな彼女の姿を見て、「仕事をしたい」と強く思うようになりました。独身時代に取得した資格がいくつかあるので、それを活かした仕事に就けたらな、と思っています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。