初めての育児で、疲労困憊の私。仕事帰りにミルクやおむつを買ってきてほしいと頼んでも、夫は「無理無理、そんなの自分で買ってこいよ」と言うばかり。
そんな夫が転勤を、私に相談もなく決めてきたのです。仕方なくついていくと言ったところ、「転勤先は治安が悪い地域で、家族で暮らすには不安があるからついてくるな」と夫。「生まれたばかりのわが子と一緒にいたくないの?」「これからどんどんかわいくなるし、大事な成長過程も見られないんだよ?」と言って引き留めましたが、夫は聞く耳を持ってくれませんでした。
「子どもはほしかったけど、生まれてみたら想像してた感じと全然違って、どうがんばってもかわいく思えないし」「転勤すれば部長には気に入ってもらえるし、社内評価上がるから全然OK!」「むしろ子育てでギャーギャー騒ぐ嫁からも解放されて最高だわ!」
数年間のワンオペが確定した私は、頭を抱えました。しかしその翌日、義母から連絡があって……?
義母が差し伸べてくれた救いの手
「息子から聞いたわよ!大変なことになったわね!?」と、慌てた様子で連絡してきた義母。
「あの馬鹿息子ったら!出産直後の妻と赤ちゃんを置いていくなんて……!」「しかも、赤ちゃんのことがかわいく思えないだなんて、親として最低の発言だわ!」「ものすっごくかわいいのに!!」
うちの子どもは、義母にとっても待望の初孫だったのです。それもあって、義母の怒りはおさまらないようでした。
「息子の最低な言葉は何も気にしなくていいからね!」「それに、私が育児でも買い物でもなんでも手伝うから!」「姑を頼りづらいのもわかるけど、家に入れたくないなら買い出しだけでも頼んでちょうだい、玄関に置いて帰るから」と義母。
その心遣いに、弱っていた私は泣きそうになってしまいました。
「ありがとうございます……」「実は、もう限界で……お言葉に甘えて、粉ミルクを買ってきてもらっていいですか?」「いつも飲ませてるミルクの写真を送るので」と言うと、「それだけでいいの?」「今日の晩ごはんのお惣菜や調味料は?トイレットペーパーはまだある?」と義母。
夫が転勤してからも、このように義母は献身的に私と子どもをサポートしてくれたのです。
転勤から帰ってきた夫の愚行
そして、夫が転勤してから3年後――。
ようやく家に戻ってきた夫から、「おい、旦那様が帰って来たのに出迎えのひとつもないのかよ?」と連絡が。
「しかも、俺の母親呼びつけて子どもの世話させて、一人でのんきに外出って……嫁としても終わってるな」と夫に言われて、カチンときました。
転勤先は飛行機の距離でしたが、週末だって帰ってこようと思ったら帰ってこれたはず。年末年始や夏季休暇も一切帰ってこず、家と子どものことを私に丸投げしておいて、出迎えを求めるなんて……。
「忙しいからって電話も出てくれないし、子どもの写真を送っても既読無視だし……私がこの3年間、どんな気持ちだったと思ってるのよ!」と言うと、「は?お前の気持ちなんて知るか」「俺のおかげで、お前は働かずに子どもと家にいるだけで暮らせたんだぞ!」と夫。
「しかも、子どもの教育もできてねぇし……」「パパが帰ってきたってのに、全然寄ってこないぞ」「お前、いったいどういう世話してきたんだよ」
私が黙っていると、夫はさらに「3年経ったとはいえ、俺は父親だぞ?子どもなら本能で俺のことがわかるはずだ!」「ていうか、よく見ると俺と似てるとこないよな?」「愛想もないし、見た目も全然似てないってことは……まさかと思うが、このガキ、別の男の子どもか?」と続けました。
「転勤から戻ってきた父親に駆け寄ってこないし、俺に全然似てないしw」
「ガチで俺の子じゃないとかありえるんじゃね?w」
「うん、違うよ」
「え?」
「今、うちでお義母さんに預かってもらってる子どもは、あなたとの子どもじゃありません」「もちろん、私と血縁関係はあるけどね」と言うと、「は、はああああ!?」と驚いた夫。
「お、おい、待てよ、え?冗談、冗談だよな?」「俺だって本気で言ってたわけじゃないし」と慌て出した夫に、「うん、父親が違って当然なのよ」「だってその子、私の妹の子どもだもん」と事実を告げました。
妹が結婚式に参加するというので、私は妹の子どもをうちで預かっていたのです。子どもたちは同い年ということもあり、仲良く遊んでいたのですが……ちょっと目を離したすきに、うちの子が転んで頭を打って泣き止まなくなってしまったのです。
困り果てた私は義母に妹の子どもの世話を託し、わが子を連れて病院へ。そんなタイミングで、ちょうど夫が帰ってきたのです。
「父親のくせに自分の子どもかどうかも分からないって、終わってるのはどっちよ」「あなたのことを知りもしない妹の子があなたに懐くわけないでしょうが!」「それをごちゃごちゃと騒いで、俺の子どもじゃないとか言い出して……!」
3年間、いやその前から溜まっていた鬱憤が私の中から溢れ出しました。
「私、子どもが怪我をして病院にいるって言ったよね?なのに、ここまで一切心配の言葉がないところも無理!」「あなたも仕事を理由に3年帰ってこなかったし、私たち家族よりも仕事のほうを愛してるんでしょ?」「そんな父親は必要ないから、離婚してください」
最後まで味方でいてくれた義母
30分後――。
子どもは軽い打撲のみでした。ほっと胸をなでおろしていると、この度は義母から連絡が。
「うちの馬鹿息子が本当にごめんなさい!まさか自分の子どもかどうかも見抜けなかったなんて……」「あなたとの電話を切ったあとすぐ、私のところへ来て『俺、離婚したくない!どうしよう、母さん!』って泣き出して……妹さんの子どもさんも、大の大人の号泣っぷりにドン引きしちゃってたわ……」
妹の子どもは引きながらも、夫にティッシュを渡してあげていたそう。妹に似て、やさしい子なのです。
「とりあえず、息子は実家に帰したわ」「病院が終わったら安心して帰ってきてね」と義母。
そして、義母は「私はあなたの味方だからね!」「離婚を言い渡されてもおかしくないことをしたのは息子のほうなんだし、もうとっとと別れちゃいなさい」「養育費も財産分与もガッツリ請求してやってちょうだい!逃げたり滞納したりしないよう、私とお父さんでしっかり見張っておくからね!」と言ってくれたのです。
その後――。
今更になって私が送ったわが子の写真や動画を見たらしい夫。わが子が夫の写真を見て、「パパ」と呼んでいる動画を見て、今度は感動して号泣したそうです。「これからはもっとちゃんと子どもに向き合う!」「だからもう一度だけチャンスをくれ!」と夫は言ってきましたが、私の離婚の意思は変わりませんでした。
義両親のサポートもあり、私はなんとか夫と離婚。私は元義母のサポートを受けながら復職し、シングルマザーとしてがんばっています。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。